一粒万倍日 (旧暦 師走廿八日)

 知らんかったわー。
 つか、気づかんかったわー。

https://news.yahoo.co.jp/articles/bb41fa459c751c584e3faaada23040a375ba24ed

 なるほど。
 プルトンロケットで自爆したのは禊ぎだったのですか。
 確かに言われてみれば、デストロン科学者時代には、拉致された人々を改造してきたはずで。しかも洗脳されてではなく自分の意志で。
 となれば、贖罪なくして「仮面ライダー4号」には、なれんわな。
 贖罪ったって、V3に味方するだけでは無論のこと桁違いに足りない。
 これは気づかぬ自分が阿呆でした。

 このあたり、平成令和ライダーは甘いんですよね。
 気づけばシレッと味方になってて正義ヅラしてやがる元悪ライダーの何と多いことか。

 しかしながら。
 昭和ライダーのメイン・ライターである伊上勝氏の御子息で、平成ライダーで何作も書いておられた井上敏樹氏が独りですべて書き上げた『555』では、人を殺めたキャラは、後に善側になっても例外なく最期を迎えています。これだけは徹底していた。
 馬オルフェノクに覚醒した木場は、自分を裏切った従兄弟と元恋人を餌食にしました。
 鶴オルフェノクに覚醒した長田も、自分を虐めていた部員たちを消し去ります。
 二人とも善人なんですよ。それが悪人どもに虐げられた結果ブチ切れただけで。でも、罪は消えないので無念のまま死んだ。つまり贖罪させられた。
 無差別殺人を繰り返していた蜘蛛オルフェノク・澤田は最後には良い人になったけど、それでも贖罪としてでしょう、よりにもよってラッキー・クローバーと闘っている最中に、カイザの横槍で倒されました。
 そのカイザこと草加は、たっくんへの度重なる陰謀の積み重ねの末路でか、ズタボロになったところで木場に首を折られた。こいつ、オルフェノク以外は殺してないんだけどね。でもまあ性根が身勝手で陰湿邪悪だったからなぁ(苦笑)。
 オルフェノクを滅ぼすべく暗躍していた山羊オルフェノクの花形は、しかしながらドライバー開発のため一般人を実験体にした罪でか志半ばで灰に。
 温厚な愛犬家で、溺愛する愛犬チャコが迷子になったときなど「二度と離しちゃダメ」と叱ってきた少女に謝るほどのジェイ@鰐オルフェノクとて例外ではなく。
 一方で。
 蛇オルフェノク化した自分を面白がって悪ぶっていた海堂は、実は一人も手にかけていなかった(殺人犯に対する正当防衛が一回だけあった)ためか、最終話でも元気そうにしてました。
 同じく、百足オルフェノクの琢磨も、ラッキー・クローバーに属する悪役幹部ながら結果的にとは言え劇中で一人も殺めていなかったことの褒美なのかどうか、最終話では井上敏樹現場監督(笑)に怒鳴られながら工事現場で真面目に汗を流しています。
 ロブスター冴子だけは判断が難しいところではあります。彼女が劇中で手にかけたのは、オルフェノクの力を使い果たして変身できなくなった後の長田なんですよね。このときの長田が人なのかオルフェノクなのか、よく判らない。だからでしょうか、冴子は生き残ったものの人間を完全に辞めて百%バケモノになった。
 他ライダー作品ではあれこれやらかした井上氏ですが。『555』の展開だけは、罪を犯した者は贖罪させる、悪役でも罪を犯していない者は救われる、と一貫してました。ここだけは平成ライダーにおける氏の仕事を高く評価できます。ヒーロー番組は教育番組(@風見志郎の中の人)なのですよね。