一粒万倍日 (旧暦 葉月十六日)

 そして、スサノオ

 伊弉諾命から産まれた神様であり、天照大御神月読命の弟。
 ということで、出自は天津神なのに、いろいろやらかして高天原を追放、天津神の資格も剥奪された。

 本当に?

 個人的には、スサノオは元から國津神だったんじゃないのかな、と思っています。
 水木サンが『古代出雲』で述べておられるように、出雲王朝の初代王様だったんじゃないのかな、と。だからこそ、大国主命も出雲の長だった。

 では、なぜに元天津神などとしたのか?

 たぶんですが。
 あまりにもスサノオが強すぎたため、高天原出身としてしまったほうが、出雲を支配するのに都合が良かったのではないかな、と思います。
 で、そのままだとスサノオの血筋であるオオクニヌシが出雲の長であることが正当化されてしまうので、スサノオにあることないこと罪を着せ、追放され地に堕ちた者としたのかもですね。
 この考えに従うと、スサノオはカガセオやアラハバキに近い立ち位置だったと言えるのかもしれません。
 少なくとも妖之佑は、スサノオのことを生粋の、そして最強最高の國津神だと考えています。

 高天原から追われて出雲に降り立ったのであれば、スサノオもまた渡来神ではないのか?
 という疑問も出てくることでしょう。
 手塚先生の『火の鳥 黎明編』では、天孫降臨のニニギは大陸・半島から渡来した侵略者として描かれていますし。
 水木サンも、天孫族を遡れば、元々は半島の人々だったのでは、と言っておられますから。
 海を渡ってきた渡来神となれば、天之日矛もそうなのですが。天之日矛は、はっきりと新羅の王子を名乗っており、ニニギなどとは別扱いなんですよねぇ。
 つか、天之日矛は論外としても、ニニギと比べるなんてスサノオに失礼極まりないですよ。スサノオとニニギでは格が違います!

 なお、須佐之男命と同一神とされる

 武塔神
 牛頭天王

 ではありますが。
 共に、後に同一視されただけのことで、本来は別々の神様でしょう。
 取り分け、武塔神については日本の神様かどうかも考えねばなりません。だって、武塔神の御加護を受けた蘇民将来が、どう見ても日本人の名前とは思えない。弟なんて巨旦将来ですぜ?
 牛頭天王は、もっと判りやすく、神佛習合から現れた神様です。何せ、祇園精舎の守護神だそうですから。
 明治政府の神仏分離令がなかったら、こうはならなかったと思われますね。八坂神社は祇園社のままだったろうし、津島神社も天王社のままだったことでしょう。ただ、どちらも蘇民将来のお守りを今でも頒布しているあたり、矜持を感じますな。


 以上、あくまでも素人自説であることは言うまでもありませんですはい。