トイレの神様について調べ物をしています。
で、辟易としてますよ。
いえ、歌のほうは仕方ないと思ってます。一時期は売れましたからね。ぐぐってヒットするのも当然。
問題は、烏枢沙摩明王のほうです。
烏枢沙摩明王をトイレの神様としている解説サイト、論説ブログがやたら多くて困ります。
どいつもこいつも、どっかからコピペしたんだろ、ってくらいに判で捺したような記事だらけ。
烏枢沙摩明王は確かに、東司や雪隠にお祀りしている寺院(主に曹洞宗や真言宗)も多いと聞きます。
ですが、それをもって「烏枢沙摩明王=トイレの神様」とするのは安直でしょう。
て言うか、烏枢沙摩明王に対して失礼だとすら思います。
烏枢沙摩明王の元はアグニ、つまり火の神です。
強力な火炎によって不浄を焼き尽くし浄化する。
ということから、トイレにお祀りするようになった。
トイレの神様ではなく、あくまでも不浄全般に対して威力を発揮なさる明王、と捉えるべきなのです。
で、問題なのは。
ではトイレの神様とは、どんなおかたなのか?
これが判らない。
水木しげるさんの妖怪解説本に「厠神」というのがありまして。
左手で大を、右手で小を受け止めてくださる、とかありました。
また、目の見えない厠神に対する礼儀として、トイレに入る前に咳払いをして知らせるとも。
同じく水木サンの解説本に加牟波理入道というのもありまして。
こちらは神様と言うよりは、人を驚かすだけのトイレ妖怪のようです。鳥山石燕の絵にもありますし。
別のかたの解説本で見たのは。
厠神をお祀りするのに、男女ペアの人形を飾る。
というのを読んだ記憶があります。確認の意味で、ぐぐってみましたら、同じ内容の記述がチラホラ。
これはTVで紹介されていましたが。
はだか祭りで有名な愛知県稲沢市。
ここには「便所開き」なる不思議な風習があります。
簡単に言うと新築トイレでお茶する、というもの。つまり未使用段階の綺麗なトイレでお茶とお菓子を愉しむんですね。
これこそトイレの神様に振る舞っているのか?
と思ったものの、むしろトイレそのものに「これからよろしくお願いします」という意味のほうが強いようにも思えます。ま、トイレに人格というか神格を持たせるなら、それはトイレの神様とも言えますか。
神社神道でトイレに関係しそうな神様と言えば。
伊邪那美命が火之迦具土神を出産する際に大火傷し苦しんで死ぬ過程で、その身体から出た大便(波邇夜須毘古神&波邇夜須毘売神)と尿(彌都波能売神&和久産巣日神)ということになりそうではありますが。
大便から生まれた二柱は共に土の神、尿から生まれた彌都波能売神は水の神、和久産巣日神は言うなれば豊穣の神(子が食物の神である豊宇気毘売神)なので、どなたもトイレとの関連性はないと考えるべきでしょう。
ただ、大便、尿それぞれから男女ペアの神様が誕生しているあたりは、厠神のペア人形と関係ありそうですね。
画像検索かけてて、びっくりしたのは。
熊本の北岡神社で、どストレートに「厠神」の神札が頒布されているという事実。デザイン的にも、かなりの意味が内包されてそうで。
この神社、竈神のお札もあり、蘇民将来の木札もありと、なかなか興味深いです。行ってみたいな。時間とお金的に難しいけど。
なお。
風水の視点では「トイレに何も置いてはいけない」とか言ってるようですが。
少なくともネット上にいる自称・風水師の大半は**なので、無視していいと思われ。
うーん。
竈神は、比較的判りやすいほうなんですが。
厠神は調べれば調べるほど判らなくなりますね。
実は、もっと判りにくいのが、風呂の神様だったりする。
これも長いこと調べてるけど、情報がサッパリ。
いちおう、跋陀婆羅菩薩というかたのお名前が挙がりますけどね。