東京の七福神巡りだった『なんだコレ ミステリー』は、わりと楽しかったですね。
でも不満も少し言いたい。
一つは、例によって今戸神社の言。
今回、東京七福神巡りに参加している今戸神社を持ち上げる必要があることは理解できます。番組としては仕方なかろ。
でも、今戸神社の宮司さんの言葉は、そのまま受け入れるわけにはいかないですね。
「今戸の地にあった今戸焼の猫が招き猫の元祖である」
「昔、今戸に住んでいた婆様が猫の焼き物を売り始めた」
この二点は問題ないです。
問題なのは、今戸神社が今戸焼と関係なく、たまたま今戸焼と同じ地域だったという一点のみで「招き猫発祥の神社」と名乗るのは如何なものかと。そこですよ引っかかるのは。
前にも言いましたが、今戸焼の猫(丸〆猫)と婆様の話は浅草寺と浅草神社に関わる由来です。今戸神社は関係ない。
そもそも今戸神社が「招き猫発祥」を言い出したのは極々近年のこと。浅草どころか、豪徳寺の招き猫とも歴史が違いすぎます。
今戸神社の自称は、例えが失礼だとは思いますが、某危険国家が尖閣を自国の領土だとする暴言と本質的に違いません。
商売上手と言えば聞こえは良いですが。巨大な神社以外は経営が大変だという事情はお察ししますが。
仮にも神職が史実を歪める発言していいんですかね?
知らない人は信じちまいますよ(オイラもかつてはその仲間だった。勉強不足を猛省している)。
由緒正しい歴史のある神社だけに、この姿勢は残念でなりません。
もう一つは、待乳山の聖天さん。
あそこに山と積まれた大根の供物。
お寺の話としては「大根が体内の解毒に効くからだろうが、はっきりとした理由は判らない」とのことでしたが。立場上、そう言われたのだと思います。
聖天あるいは歓喜天、正しくは歓喜自在天。
そのルーツはガネーシャ。印度でもかなり怖い神様のお一方です。
そんな聖天さんの大好物が大根なんですよ。
元々は人肉を好む鬼神で。佛に帰依したことをきっかけに、人肉食をおやめになった。
代わりに嗜まれるのが大根です。曰く、人肉に似た味がするとのこと。
なので、供物としては二股大根がベストなんだそうな。シルエットが人を思わせるので、よりお喜びになるんだそうです。
まあ一説、ですけどね。
これに似たのが、鬼子母神にお供えする柘榴。
鬼子母神は、かつて鬼神だった頃、千いる我が子を育てるための滋養として、人の子を次々と攫って喰らっていた。
それを見咎めた御釈迦様が鬼子母神の末っ子を攫い、取り乱す鬼子母神に「千の中の一人でそれだけ悲しむのだ。人の悲しみは如何ほどのものか知れ」と諭したことで改心、以後は人の子を守護する神様になった。
ただ、人肉の味が忘れられないため、柘榴を代用食として嗜むように。何でも柘榴は人肉に近い味がするらしく。
また、子沢山の鬼子母神にかけている気もしますね、柘榴の実の様子が。つまり子宝の幸運アイテムでもある。
神様じゃないですが。
河童が胡瓜を好むのも、人肉の味がするという話があります。
人を襲っていた河童が霊能者にこらしめられて反省、以後は胡瓜で我慢することにした。要するにドラキュラさんのトマトジュースですな♪
大黒天も人の血肉が大好物とのことで。
荼吉尼天は寿命の近い人を寿命が尽きるまで守り、その代償として心臓を取るという、死神みたいな話もあります。
佛教天部の神々は、そのルーツが印度の神様ですからね。血生臭くて怖いかたが多いのですよ。
本気で崇拝するには「心臓を捧げよ」なんですね(苦笑)。
待乳山の大根では、ここらあたりに軽~く少~しだけ触れてほしかった。
七福神巡りは我が尾張國にも名古屋七福神巡りがありますね。
なので、わざわざ東京に行かずとも、各地元の七福神を巡礼するのがいいと思います。初詣を小さくとも地元の神社に詣でるべきなのと同じことだと思います。
そのうえで。
個人的には全国を股に掛けた七福神巡りとか、やりたいですね。
あくまでも個人的な独断選定ですが。
恵比寿……西宮神社
大黒天……円福山豊川閣妙厳寺(豊川稲荷)
福禄寿……比叡山延暦寺別院赤山禅院
毘沙門天……鞍馬山鞍馬寺
布袋和尚……黄檗山萬福寺
寿老人……大道山長安寺
弁財天……江島神社あるいは天河大辨財天社(天河神社)
吉祥天……小田原山浄瑠璃寺または吉祥院天満宮吉祥院(吉祥天女社)
八福神になってますが。
説によっては、弁天さんの代わりに吉祥天だったり、福禄寿と寿老人を同一視するため吉祥天が加わったりですので、七福神となれば吉祥天も欠かせません。