納めの大師 (旧暦 霜月十八日)

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 『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 10』
  森田季節シバユウスケ・紅緒/ガンガンコミックスONLINE


 ネタ切れではないのでしょうが。
 あのキャラ登場には、びっくりしました。まさか出てくるとは思いもせんかった。

 それはまあ、後でじっくり語るとしまして。

 ハルカラの故郷、つまりエルフの里が、やたら日本的なのは何なんでしょうね。
 土足厳禁の畳に縁側。そりゃ落ち着くわー♪
 アズサさんが前世の記憶のままに高原の家をリフォームしたら、ハルカラが大喜びしそうですね。

 リアルの狐が油揚を好むかどうかは知りません。たぶん、あくまでも稲荷の眷属としての嗜好でしょう。
 ただ、昔々ゴルフボールが天然素材だったときは、中の油脂成分目的に狐がボールをかっさらう、なんてゴルファー泣かせの“事件”があったという話は聞いたことがあります。
 それと、狂言の『釣狐』で狐専門の猟師が使う罠には鼠を油で揚げた物を使うという描写がありますね。で、白蔵主は辛抱たまらず正体を晒してしまった。これはまあ、肉の揚げ物だから狐ならずとも吸い寄せられるでしょうよ、そりゃあ。
 だいたい、狐が油揚大好きなら他のイヌ科だって同じはずですよね(笑)。


 さてさて。
 で、例のキャラ様。

 メガーメガ神という御名前だったのですね。
 このおかたが降臨されたことで、妖之佑が長年抱いていた説がブチ壊れました。完敗でございます。

 つまりですね。
 この物語世界は実は神様が相沢梓さんを幸せにするためだけに構築したのではないか、という考え。
 過労死した梓さんに同情した神様が、梓さんの願望を最大限叶えるべく、都合の良すぎる設定の舞台を作り上げた、謂わばカスタム・メイドの世界。
 と考えるほうが理屈が通りやすいんですよね。だって、あの異世界ってアズサさんを楽しませるに本当に都合良くできてますから。RPG的な経験値やレベルやスキルの概念も含めて。
 いや、ライカはかれこれ三百歳って自分で言ってたろ、ベルゼブブさんは千五百年もヒラ役人をやってたやろ、という意見も当然のこと出てきますが。
 彼女らの記憶すら世界構築と同時に編まれたもの、というSF的考察は楽勝で成立します。『ハルヒ』における「世界が三年前の七月七日に誕生した」とする古泉説ですね。

 そんな考えも、メガーメガ神の降臨で不成立と相成りました。

 ご本人が不始末やらかして降格されたと言ってたので、元々あった世界なのは明らか。
 つまり、アズサさんの希望を叶えるべく条件に合致した“物件”を、担当するすべての時空の中から検索した結果、あそこになったということですね。
 高原の一軒家の元の持ち主周辺に多少の調整はしたと思われますが(コミカライズには無いが、Web版原作では家主について。町に住む子供が同居を申し出てくれたので引っ越すから、この家は不要になったので欲しい人がいたら差し上げます。という細かな具体的記述が玄関の張り紙にあった)。それでも、あそこがすべての時空の中でベスト環境だったのでしょう。不老不死がいても誰も気にしない世界ですし(笑)。

 時空と言いました。
 そうです。梓さんがアズサさんに転生した世界は、梓さんが過労死した直後とは限らないんですよね。それより何万年も遠い未来かもしれない。逆に遙か過去の世界かもしれない。つか、並行世界であるかすら怪しいので、時間軸について考えるだけ無駄。
 何せ神様は全空間の過去現在未来に同時に存在しますからね。「まど神様」が判りやすい実例。
 外伝作品でハルカラが東京に飛んでJK梓さんとニアミスしたときも、別に過去にワープしたわけではない。言ってみれば、こっちの川から別に流れる川に横移動しただけで、遡上も川下りもしていないワケ。

 ファンタジー作品ながら、あれこれ考察できるあたり『蜘蛛子さん』並みにSF要素が隠されてるな。
 これは昨今の風潮かな。