(旧暦 皐月八日)

 この記事は、記事の事案とは関係ない二つの問題点を意図せずに提起しています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/407781a53d5413a681c7d3d2dbf7ee276e8dc8b5

 一つは。
 自治体の正式名称を平仮名表記にすることの弊害。
埼玉市」が「さいたま市」に改名したのと同類の実例は全国に多々。
 選挙運動じゃあるまいし、何でもかんでも平仮名に開けばいいってもんじゃない。それに選挙のあれは一時的なもので、改名したわけじゃない。
「漢字だと読みにくくて知ってもらえない」などと人気取り目的なんて、どこぞのショッピング・モールじゃないんだから。地名によっては漢字に大切な意味を持つ地域もあるはずで。そーゆーのをないがしろにするのはダメだと思う。

 二つめは。
 記事を書いているのだから書いた人は、いちおうはプロのはずです。
 そのプロが読点の使いかたを知らないという問題点。
 読点。まさか……判りますよね? これです「、」これ。「。」とのセットで句読点と呼称するから意識しないかな普段。
 この読点。ブログなどだけでなく例えばラノベの台詞などで、間や一呼吸を表現するのによく使われます。が、本当は、まちがい。
 本来の使いかたは、↑の記事の表題みたいな誤読のリスクがあるときに、それを防止することです。
 つまり、引用させていただきますと、
「友人と食事したいなべ市の会社員など」
 は本来なら、
「友人と食事した、いなべ市の会社員など」
 と書くべきなのです。いや、書かねばならない。でないと「食事したい」だの「食事したいな」だの「なべ市」だのとなってしまい読者に正しく伝わらない。
 他にも、文節をグループ分けする使いかたもありますね。ほら、入試でサー、明治時代の文豪の作品の意味を読み解いて文節を指定させる問題とかあったやん。「この**は、どの部分にかかるかを示せ」みたいな。あの時代の文章は「、」が少ないから、底意地の悪い出題者としては設問に使いやすかったんだろーなーと(笑)。
 要するに、文章を読みやすくするのが「、」の役割。あるいは、書き手の意図していない意味に解釈されるのを防止する目的とも言えますか。
 読みやすくするためだから、文末を示す「。」みたいな厳格なルールを持たないのが「、」の不幸かもしれません。
 だからと言って、記事のように、読点を使えない使いかたを知らないプロがいるのは大問題でしょう。
 間を表すのに「、」を使っても別にいいんだけど(自分もたまに使う)、文筆でお金貰ってる人が本来の使いかたを知らないのはダメだと思うのです。知ってて、あえて誤用するのと、知らずにやっちまってるのとでは、大きく違いますからね。
 間や呼吸を表すなら三点リーダーつまり「……」を使う。何となく区切りが欲しいなら潔く「。」で文を終わらせる。ダメ押ししたければ改行する。などなどを意識するでいいと思う。そのうえで、たまに誤用するのはいいんじゃないのかな。完璧主義は疲れますからね。

 ついでだから言うけど。
 ネットの黎明期に個人サイトでかなり目立ってて、今でもときどき見かけるのが、「、」でなく「,」を使ってる文章。
 聞くところによりますと理系の人がよくやるそうで。技術関連の論文が、そのルールなんだそうですね。
 それでも読む側にしてみれば、科学論文でもない普通の日本語文章で「,」は違和感バリバリで、何とかしてほしいと思ってたりします。まあ余計なお世話ではあるんですけどね。
 でも、もしも私が小説などの編集とか選考とか下読みとかの役目に就いてたら、「,」を使ってる文章は真っ先に刎ねますね。「そこの泥水ででもツラ洗って出直してきやがれ」です♪