(旧暦 如月四日)

 創作におけるマニアック分野の描写には、演出優先で、あえて嘘をつくことも多いと思います。

 例えば、魔法。
 小説、漫画、アニメやゲームの魔法発動シーン、大半は嘘ですから。
 嘘と言うと語弊があるな。その部分も含めて創作って意味ね。だから、その手の作品から得た情報を鵜呑みにしないほうがいい。下手すると恥かきますから。

 古い作品ですが、アニメ『カルラ舞う!』で早九字を攻撃魔法に使ってて、呆れたものでした(原作漫画は知らないです)。
 九字ってのは、要するに施術のための結界を張る作業ですからね。九字を結んで、何か儀式・呪術を行って、そして終わったらほどく。九字そのものにアクティブな力があるわけではないのです。
 九字の使いかたで、たぶん一番まともだったのは、TV『スケバン刑事 III』で般若がやってたやつ。印の結びが一部、違ってますが、おおよそあれが正解。ただし、ほどいてるシーンは一度もなかったな(笑)。
 ついでに言うと、九字は「結ぶ」のが正式。手で印を結ぶわけです。よく「九字を切る」と言うのは、実は早九字のことで、つまりは略式。

悪魔くん』では、悪魔くんが魔法陣の外に立ってメフィストを陣の中心に召喚してました。
 で、後世の作品でも、魔法陣の中から魔物やモンスターが沸いてきます。ですが本来は、魔法陣の中心に術師が立ち、召喚の儀式を行います。つまり魔法陣は、魔物から術師を守る結界なのです。ここ、創作世界では逆になってんだよな〜。
『GS美神』連載前の読み切り単発が、魔法陣の使いかたとして正しいです。
 結界ついでに言いますと。『サイレントメビウス』で香津美が攻撃魔法発動前に唱える「我が前方にラファエル……」って呪文は、かなり正しいのです。魔法詠唱前に結界を張る作業なのですよね、あれが。

 本チャンの魔法については、妖之佑も詳しくは知りません。アブラメリンの魔術のやりかたを知識として読み知っているだけで。
 ただ、アレイスタ・クロウリーの言葉によると「おどろおどろしい髑髏や血肉など不要。重要なのは理論と形」とのことで。これを取り入れたのかどうか『ワン・ゼロ』では魔物を呼び出すための結界に、そのへんで買ってきたロープと拾ってきた小石を使ってました。術を施すルシャナの言うことにゃ「モノは何でもいい。大切なのはカタさ」ですと。佐藤史生さん凄いよな〜。

 まあ、今の創作における魔法の大半は、ほぼカメハメ波ですからなー。
 創作は創作として楽しめばいいのですよ。ええ。