望、三社祭 (旧暦 卯月十五日)

 けじめというのは必要でね。
 シリアスとギャグのきちんとした棲み分けが出来ないなら、劇中にギャグを入れるべきではない。変にごっちゃになると何がしたいのか判らなくなる。
 例えば、押井守監督は、そういう使い分けが実に巧みでギリギリの線を攻めてくる。『うる星やつら』や『パトレイバー』などのアニメ作品を観れば、よく判る。
 宮崎駿監督も、そう。『カリオストロの城』では、ギャグ要素は調味料程度と、ちゃんと匙加減をしていた。
 その他、さまざまな監督や脚本家のかたがた、みなさんそう。これは技術であると同時に分別でもある。あるいは良識? センス?
 さて。父君が昭和ライダーの脚本家で、今はお子様も脚本家という、いわばエリート様。その御大の今回のお仕事を観て、率直に感想を述べるなら。

 いいかげんにしろ!

 この一言で終わるよ。
 先週の前編。全員がキャラ崩壊を起こしており、それぞれの動機その他が意味不明。実質的な主役である釈アナザー由美子も、冤罪に対する復讐と言うわりに、女王になると言い出すあたり狂ってた。ギンガについてはもう、おまえ何しに来たよ?
 で、今回の後編で、それぞれが解決や回収されたかと言うと……ほとんど何もなし。唯一、明かされた事件の真相というのが、女王様が「自分の嘘を本当と思い込む」という頭の壊れた人だった……何だそれ? 仮に女王様が精神疾患というのなら、ほのめかし程度でいいから前半にその伏線を張るのがルール。そんなことを何もせず、いきなり心の病気でしたと言われて、受け入れられるかってーの。しかも、面倒なキャラだから最後には殺すという放り投げストーリ。
 ギンガに至っては何か知らんが、時空の歪みから生じた“力”そのもの、ですと? ごめん言ってる意味が判んない。しかも、スウォルツですら手こずるギンガを、何だか判らんうちにトリプル・ライダーキックで粉砕。いや前回、トリニティですら、まったく歯が立たなかったんだが? せめて、ギンガの弱点である“ソーラ・システム”を突かんかい!
 顔を傷つけられたオーラが仕返しに女王様を殺ったけど。スウォルツはともかく、オーラもウールも、自分の手を直接汚すことはしない。いつもアナザーにやらせる。しかも、傷だけで命まで取る? オーラって、そういうキャラ? まあ、これは、ソウゴが十年前に初恋して十年越しに失恋したことや、ツクヨミが激辛党であることや、ウォズさんが食いしん坊なことなどと同様、次回にはサッパリ綺麗に無かったことになってるはずだから、いいよもう。
 個人的な想像ですがね。御大って、押井守監督にすんごくコンプレックスを持ち続けてるんじゃないのかな、と思うんですよ。だから、押井作品の真似をしようと、あれこれやる。食事シーンが異常に多いあたりに、それが顕著に出ている。でも、押井監督みたいな才能もセンスもないから、いつも滑る失敗する。そんな感じがしてならない。
 押井監督が去った後のTVアニメ『うる星やつら』の一エピソードで、原作の話を元にしながらも完全なオリジナル展開したヤツがあるんだけど、それが見事なまでにストーリ崩壊を起こしてて、はっきり言ってプロの仕事とは思えない出来だった。押井監督お得意の不条理非現実路線を真似ようとしていたことは観てすぐに判った。けど失敗している。大失敗している。もちろん脚本担当が誰だったかは……ね。
 とにかく、全編通してのマンホールの蓋。あれは何をしたかったのかと問いつめたいね。シリアスのフリをしたギャグなら判る。だが、ギャグを散りばめたシリアスで、あれはない。絶対にない。素人並みの下手を打っていると断ずる。少しは恥を知っていただきたいものだ。
 結局、次狼は判っててアナザーに従っていた。で、ソウゴにキバウォッチを渡した。いや、辻褄合わんやろ。アナザーキバの誕生は 2019年。なら、剣編やアギト編に倣えば、紅渡も依然としてキバのはず。ならばアームズモンスター三匹は渡に従っているはずだし、キバウォッチも生成されていないはず。なのに……。
 ラスト、自転車のチェーンが外れて困っていた麻生ゆり似の女性をソウゴが助けるところは、まさか『パトレイバー』OVA第二シリーズ「火の七日間」(「上海亭の裏切り」事件と言うほうが判るかな?)の終盤を真似してる? あれは押井脚本なんだが……まさかね。いや、ありえるのか?
 て言うか、ソウゴの「セーラさん」って、けっきょく人違いだったの? そこくらい、ちゃんと描こうよ。

 次はカブト編。
 期待していいんだよな?





 ねずみ男の浮上方法が、ほとんど『河童の三平』で笑った♪
 大胆な新解釈を出してきましたね。でも、『墓場の鬼太郎』におけるジョニーと『ゲゲゲの鬼太郎』におけるエリート、この二つの名を上手く一つのエピソードにまとめたものだと感心します。なんかオイラもジョニーに同情しちまいそうだよ。声がフリーザ様のわりに、あっけなかったですけどね(笑)。
 依頼人である社長氏の態度は、まあ人間としてはデフォに近いし、ちゃんと謝礼金を用意してるだけかなりマシなほう。二度と妖怪事件に巻き込まれることなどないと高をくくっての失礼な言動なんでしょうが……あの世界では妖怪は普通に認知されてますからね、じきに何か起こって後悔するだろ(天下のモグリ医ブラック・ジャック先生に治してもらいながら手のひら替えしした連中は、たいがい酷い目に遭ってますし♪)。
 次回も引き続き西洋妖怪。お? アニエス出るの? エリートがバックベアード様の顛末を知っていたし、これは西洋妖怪軍団再襲来、あるいはバックベアード様復活の予兆?
 つか、四将の件が完全に止まってるんだが。石動も寝てるのかな?