小田原道了尊大祭 (旧暦 葉月八日)

 性懲りもなく「もしも一つだけ選ぶなら」シリーズ(笑)。
 今回はラジオと行きましょう。


 あらかじめ申しておきますが、ここで触れるのは遠距離受信のためのラジオです。
 フツーに地元の中波やFMを聴くための物は、それこそ何でもいい。何なら自作でもいい。なので触れません。



 で、遠距離。
 先に遠距離中波……と言うか国内放送向けをすませておきましょう。
 これはもう現時点では、ソニーICF-EX5MK2 以外にありえません。これで日本国内向け放送の中波と短波は網羅できます。FMは、そもそも遠距離受信に適さない電波なので、どの機種でも期待しないほうがいいです。
 なので、国内放送に限るなら、EX5MK2 の一択。はい解決。



 で、本命の海外短波ですが。

 これが問題でねー。
 かつては豊富だった国産短波ラジオのカテゴリですが、今や見る影もなく。
 現行はソニーICF-SW7600GR と ICF-SW35 の二機種だけ。ともにデジタルなので「電波を探る」ことはできません。今はそれでいいのでしょうが、アナログの手探り感こそが楽しいと思う層には、つまらん時代になりました。

 こだわらない人は中華製を選べばいいと思うものの、どこか釈然としない。
 なので、やっぱりリスク覚悟で往年の名機に走るわけです(笑)。

 往年に行く前に。
 もしもソニーICF-SW22 か SW23 の中古良品が良心的価格であったなら、とりあえず買っとけ。
 人によっては、まさに「一つだけ選ぶなら」のラジオとしての内容を誇ってますから。

 さて、往年。
 経年変化を考えると、いろいろ問題はあるんですけどね。
 それでも、あえて「状態の良い品が手に入る」という前提で「一つだけ」の機種を選ぶなら。
 妖之佑は、ナショナル RF-1180(クーガ118)か、同 RF-2200(クーガ2200)のどちらかを選びます。次点で、サンヨー RP 8700(パルサー8700)か、ソニー ICF-5800(スカイセンサー5800)ですね。
 なぜ、超人気だった ICF-5900(スカイセンサー5900)を挙げないのかと問われれば、現実的に良品に遭える可能性が低すぎるから、と答えます。そもそもスカイセンサーに限らず、当時のソニー製品は長期に渡って安定して使うことの難しい代物です。とにかく自然故障が多すぎる(想像するに、今の「ソニータイマー」説の元凶かも)。なので、往年の名機を楽しむに適さないブランドなのですよ、残念なことに。いやまあ、大金持ちさんなら大枚はたいて大がかりな修理もできるでしょうけどね。いちおう言っとくと、当時のソニーのラジオとラジオカセットはトランジスタとメーターに安物使ってる感じです。ここがいかれてる品の多いことったら……。他社のジャンク品と大きく違う点です。なので、スカイセンサーは薦められないし、自分も「一つだけ」には選ばない。
 それでも 5800 を挙げたのは、基本性能の高さと操作バランスの良さですね。当時のライバルだった RF-1150(クーガ115)に比べても短波受信の感触が良い。しかも 115 より定価で六千円安かったのですから、勝負になりませんよ。(;^_^A
 念のため言っておきますと、松下にも問題はあるんですよ。ラジオとラジオカセットだけでなくテクニクス・ブランドでも、とにかくボリューム(トーン・コントロールを含む)のガリが多い。安物の可変抵抗器を使ってたのかなぁ。古い松下製品は、他社よりガリ遭遇率が高いです。お覚悟を。

 そんなあれこれを考慮に入れても、クーガの 118 と 2200 はダントツですね、妖之佑の感性では。
 どっちを取るかは、好みの問題でしょう。
 いちおうスペック的には、シングル・スーパー&耳で同調する 118 と、ダブル・スーパー&周波数直読の 2200 とでは勝負にならないはずなんですが。ですが、実際に使ってみると良い勝負だったりするんですよ、面白いことに。もちろん中古品同士の比較ですから参考程度のものですが。それでも、両者ともに良い!
 高級感の 118 か、オール・ギアのメカによるカッチリ感の 2200 か。あとは選ぶ人次第。
 ああ、念のための補足をしときますと。
 クーガ118 でも改良型とされる RF-1188(クーガ118D)は選んじゃダメですよ。あれは、外見も中身もいろいろと残念な仕様ですから。当時の松下の「盛りすぎ詰め込みすぎ」という悪癖が全面に出た製品と言えます(60AII とか 70AII とか……とかとかとか)。
 一方で 2200 には、ジャイロアンテナのメカが物理的に脆弱という欠点がありますので要注意。要するに、2200 のジャイロアンテナは立てるな使うな寝かせとけ、ってこと。せっかくの楽しい機能ですが、壊すと大変ですから我慢しましょう。見た目は 118 や 115 と同じなのに、触ると全然違うので、びっくりしたものです。

 次点に挙げたパルサー8700 は、スカイセンサー5800 にかなり近い感じです。
 この二つなら、パルサーのほうが自然故障率が少なくていいかもしれません。デザインは微妙にダサいですが(苦笑)。

 東芝の RP-2000F(トライX2000)や日立 KH-2200(サージラム2200)を挙げなかったのは、ともにイマイチすぎるからです。
 サージラム2200 は、申し訳ありませんが中古とは言え性能が良いという感覚を得られなかった。それと、選局ダイアルの位置(高さ)が中途半端で操作し辛いというのもマイナスです。なお、弟分の KH-2100(サージラム2100)は使ったことがないので何とも言えません。一度、骨董市で見かけたときに買っておけばと、今更に後悔……。
 トライX2000 は、受信性能そのものは高いと思います。スカイセンサー5800 やパルサー8700 に引けを取らないどころか上を行くかも。が、ご自慢の周波数直読システムが面倒すぎましたね。慣れれば行けるものの、けっきょくは直読受信をしなくなります、ややこしくて。もう一つ、こいつは背が高すぎるのも問題です。スリムで背が高いうえに重心も高いので片手で操作すると……倒れます。ええ、本当に簡単に倒れます。ご用心を。

 好きな人には本当に申し訳ないのですが。
 松下の RF-1130(クーガ113)が、どうして人気あるのか未だに理解できません。あんな中途半端な代物……(こらこら)。

 三菱の FIC-404(ジーガム404)と FIC-505(ジーガム505)はダブル・スーパーを誇るのに、なぜか短波帯が1バンドのみ。
 東芝 RP-775F(サウンドナナハンGS)は見た目にマルチ・バンドっぽいが短波は実質1バンド。
 ともに海外短波用としては不足なので残念賞。面白いラジオなんですけどね。

 ビクターの FR-6600 は写真でしか見たことがないので何も申せません。
 かなり楽しい機種らしく、オクに出れば取り合い合戦のようです。

 松下の RF-2800(プロシード2800)やソニーICF-6800 は評価が高いものの、バリコン使ってるのにデジタル・カウンタ表示というのが妖之佑の好みでないため、ここではあえて論外としておきます。ついでに、ICF-6800 はラジオと言うより通信機型受信機だしね実質。
 別に性能がどうのデザインがどうのといった含むところは一切ないので、誤解なきようお願いします。

 最後になりましたが。
 クーガ2200 の弟分っぽいデザインの RF-1010(クーガ101)が、実は地味な名機かもしれません。
 性能面で優れているわけでもなく、2200 譲りのデザインではあるものの選局は直読ではなく手探りだし、特筆するものはないのですが、使ってみて「意外に良い」と感じたものですから。
 もしも状態の良い物に出会ったなら買いでしょ。と申しておきます。ただし、2200 や 5900 みたいな高性能を期待しちゃダメですよ。しょせん、シングル・スーパーですからね。

 まとめます。
 妖之佑の考える「一つ選ぶなら」の短波用ラジオは。
 クーガ118 かクーガ2200 のどっちか。
 もう少しグレードを下げるなら、パルサー8700 かスカイセンサー5800 かクーガ101 のどれか。
 となります。



 なお。
 海外短波受信に対応したラジオカセットも当時、魅力的な品がいくつかあったのですが。微妙に違うカテゴリな気がして、あえて避けました。いや、楽しいんですよ。スカイセンサー5950 とか、MAC for BCL とか、アイワの BCL255 とか。
 それと、ソニーのワールドゾーン・シリーズや松下の受注生産ラジオなど、通信機型受信機よりも大型で高価なラジオもありましたが、これも微妙にカテゴリ違いかなと思いまして。つか、触ったことねーし(笑)。興味があれば、ぐぐってみてくださいな。いや、凄い時代でしたね。



 デジタル機については最新型を選べ、というのが基本ですね、やっぱり。
 なので、そのときどきで最善が変わります。今は国産がソニーの二機種しかなく残念至極。品質は競ってこそ、ですからねぇ。