啓蟄 (旧暦 睦月十九日)

 唐突に。

 またもオーディオ・チューナの話をしてみたりする。
 オチとか全然ないので、興味のないかたはスルー推奨。



 今や、ほぼシーラカンスとなりつつある、オーディオ・チューナ。つまり、FMラジオ放送をハイファイ・オーディオ・システムで鳴らすための品。
 電波の特性を考えれば音質面で中波放送はオマケでしかない。となれば、FMを聴くためには回路内にAM要素など不要で邪魔。結果としてFM専用チューナしか、ありえない。
 で、今はFM専用は一つだけ、かな? それも特殊な入手方法なので一般的な商品とは言えない。
 とすると、自作(笑)。あるいは往年の名機となる。それも、個人業者や器用な人でも修理できそうなアナログ機(ああ、いつものパターンだよ♪)。

 では、往年からササッと探してみると。

 誰でも一番に挙げそうなのがソニーの ST-5000F 。当時の定価が約十万円だったそうな。
 これを名機とする記事や評価が多かったような。

 個人的には松下大好きっ子なので、テクニクスの 30T が今でも気になって仕方ない。フラットアンプシリーズと銘打った商品展開の中のチューナで、定価八万円。売れてはいたと思うけど、いまだに使っていた人、使っている人に出会えていない。
 これより古いものに、ST-9700 というバケモノがあった。なんと定価が二十五万円。笑うしかねーぞ。
 オイラはお金なかったから、中波も入る 77T だったよ。(;^_^A

 ヤマハから出ていた T-2 が、なかなかに高評価だったような。定価は十三万円。アナログ機なのにデジタルでのサブ表示は余計だった気もするけどね。
 いかにも当時のヤマハ色なのが、CT-7000 。こっちゃ二十万円越えてたか。

 そして、チューナと言えば、元が通信機メーカーということでのダントツ信頼性のトリオ(ケンウッド)。
 ここだと、まずは KT-9900 が挙がるかな。定価二十万円。
 トリオでなくケンウッドとして展開する予兆と言えたのが、L-07TII という機種。デザインも後のケンウッド品を思わせる黒(余談だけど、松下 30T や、ヤマハ T-2 も同様の薄型&黒。当時の流行りかな?)。つか、これの前に L-07T があったはずなんだけど、記憶にない(汗)。
 で、満を持してのケンウッド・ブランド。L-01T は衝撃をもって迎えられた(と思う)。定価は十六万円。
 続いて出たのが定価三十万円の L-02T で、これがケンウッドのフラッグ・シップ機だと言える。これ以降、印象的にこいつを越えるチューナはケンウッドから出ていないからね。別分野で例えると、トヨタにおける初代ソアラの登場みたいなもんかな。
 さらに L-03T(十二万円)が出たものの、これはケンウッドとしてはお茶を濁すような品だった。なぜなら、実質的にはトリオ・ブランド KT-2200(¥99,800)の黒ver. だったから。もちろん価格差分のチューンナップは施されてるけどね。この L-03T(および KT-2200 )の問題点は、弟分である KT-1100(中波兼用機)からAM要素を取り除いた構造であるというところ。しかも完全には取りきっておらず、例えばバリコンはFM&中波兼用のパーツをそのまま使ってたりする。びっくりしたのは、ダイヤル・スケール(周波数目盛り)が両面テープ固定だったこと。十二万円の品で、これはさすがに……。性能面はともかく、こういった残念さがケンウッド好きからは嫌われたように思う(その微妙な不人気さを逆手に取り、妖之佑は例のPSE問題のとき急ぎこいつを手に入れて今でも使ってる。いや、02T なんて中古でも無理だよ買うの)。
 なお、ケンウッド(トリオ)は、この 03T を最後にバリコン機を終了。

 パイオニアがエクスクルーシヴ・ブランドで出していた F3 という品が、何か凄くてね。デカいし(十六キログラム)、高いし(二十五万円)。
 木枠ということもあって、存在感ではダントツ。憧れの機種ではある。

 他にもいっぱいあったけど。
 まあ自分的には、こんなあたりかな。