(旧暦 弥生十七日)

 人生やり直しツアーに参加している連中の中に共感できる者が一人としていないという、いやむしろ胸クソ悪い奴ら揃いという素晴らしい状況。もう「そして誰もいなくなった」でも全然OK。つか全滅しろー。
 でも、たぶん主役らしいあの偽善男と、一番面倒臭そうなゲロ女は生き残るんだろうなぁ(いや、まだあのチャラ男が死んだとも決まってねーし。川流れは仮死状態かもしれねーし。つーか流れてるとき顔が横向いてたから息継ぎも可能だぞあれ)。
 巷には黒幕を妖怪系とする予想意見もありますが(「迷い家」というのは「隠れ里」の親類に相当する妖怪現象の名で、そこが意見の根拠)、『迷家マヨイガ−』に限っては、それやったら超駄作確定です。これは人による計略でないと作品として成立しません。
 ああ。言っておきますがツキノワグマ(舞台は本州だろうから、熊と言えばこいつだろ)は雑食性です。行動半径内に豊かな畑があれば、さぞ喜んで食べてくれることでしょうね♪
 個人的には、黒幕は最後まで姿を見せず、参加者たちが見えない恐怖に自滅していくのが演出として正解だと思います。まあ、それこそクリスティの『そして誰もいなくなった』なんですけどね(汗)。そうなるかどうかは、第4話でチャラ男がどうなったか次第でしょう。
 ところで「納鳴村」なんて隠れ里が今の時代に本当に存在できるものなんですかね。人工衛星で上から見えるわけだし。かつてあった村が無人化しただけなら、それこそ幻でも都市伝説でも何でもない。
 て言うかサー、過去をすべて捨てて人生をやり直すなら、そんなインスタントで怪しいツアーなんかに参加せず、外国に行って闇屋から国籍でも永住権でも買えばいいと思う。クワトロ・バジーナ大尉みたく。あー、だから同情できる過去を持つ参加者にすら共感できないのか。





 とりあえず、あのイケメン武士がウザイ。
 バケモンに対抗できるのはバケモンの力のみ。という、それこそ仮面ライダー以降、受け継がれてきている伝統・王道の図式だったんですね。あの無名が第一話で垣間見せた強さも、そこに根拠があった。
 まー、噛まれても平気なら、肩の力抜いて闘えるし。
「カバネリ」は「カバネ」と「よみがえり」の合体語かな? 「カバネ」が「しかばね」からの派生語なのは、たぶんまちがいないと思うが(アンデッド、つまり死なないから「し」を取った?)。
 第一話から「『進撃』そっくり」と言われてましたけど、よくよく考えてみれば、『進撃』がゾンビ物の基本構図を持っていたということですね。





 四月から五郎さんの一期を再放送してますね。意外な再発見があって、あらためて面白いです。
 後に定番となった「腹が……減った」の引きのカット。あれが特に第一話、第二話では全然別物だったり。
 五郎さんは五郎さんでコミカルさが少なく普通(あるいは地味)ですし、「いただきます」も「ごちそうさまでした」も言わないし。
 食事のシーンに割く分数も案外と少なかったんですね。二期→一期の順で観た自分が当時に違和感を感じなかったので、大半を食事シーンに使ってたのは三期以降なのかもしれませんね。
 そのせいでか前半部分、五郎さんの仕事シーンにもウェイトが置かれていて、商談相手の描写が後の作品と違っています。
 例えば、有賀さつきさんの演じたギャラリー責任者とか特にね。言葉遣いだけは丁寧だが、訪問者である五郎さんに会釈すらせず、しかも五郎さんと商談している最中のスタッフを呼びつけてお説教とか、とにかく外部に対する礼儀の基本がまったくできておらず自分勝手。あのまま放置すれば、あの会社は早晩潰れます、有能なスタッフに逃げられてね。
 再放送ではまだですが、船便の遅れを五郎さんのせいにして代替品の代金をタダにさせた男も同様。船便のリスクについて五郎さんは事前に承諾を得ていたにもかかわらず「前任者の言ったことなど知らない」の一点張りでパワハラ同然の弱い者虐め的交渉をしてきたあの男(ひょっとして会社側のクレーム担当要員?)は、短期的には会社に利益(目先の銭)をもたらすかもしれませんが、長い目で見れば損になります。泣く子も黙る大会社じゃあるまいし、そんな高飛車な姿勢を取り続けていたら取引先から敬遠されるようになりますし、トラブルに見舞われたとき、どこも助けてくれないでしょ。
 そういった、ささやかな批判的描写が期を重ねるにつれ消えていった感がありますね。一期以外で五郎さんの仕事がらみで印象に残るゲスト・キャラって、「先週入ったばかりのパート」の白鳥美麗さんくらいですよ(笑)。
 そういったあれこれを発見させてくれている第一期再放送です(どっちの演出が良い悪いじゃなくてね)。