百鬼夜行

 般若というのが、よく判らないんですよね。
 ええ、長い角の生えた怖い怖いお面の般若。

 あれは情念や怨念で恐ろしい姿に変化してしまった女性。
 つまり鬼女の顔なのですが。

 でも、それがなんで般若?
 般若ってのは、古代印度の「知恵」を意味する「プラジュナー(あるいはパンニャ)」を、それが伝わった中国で音訳したものです。
 なので「般若心経」とか「大般若経」とかあるわけですね(とすると「般若」の言い出しっぺは玄奘三蔵かもしれんな♪)。

 どう考えても嫉妬や怨嗟の炎に燃える女とは繋がりません。
 Wikipedia でも調べましたが、納得のいく説は無く。
 ということは、そもそもの成り立ちそのものがいいかげんだったのでしょう。誰ともなく言い始めたのが長い間に定着した?

 であれば。
 もう、あのお面のことを般若と呼ぶのをやめたらいいと思うのですが、どうでしょ?
 元々が根拠の薄い呼称だったのであれば、ここらで引導を渡してやるのもいいのでは。言葉は常に変質するものですし。

 というわけで。
 私個人は、あのお面のことを般若と呼ぶのをやめます。
「怖い鬼女のお面」で、ちゃんと伝わりますよねぇ?
(と言いつつ、きっと無意識に言っちまうんだぜー)