八專始め (旧暦 睦月九日)

 カブルー一行が死体回収屋に“蘇生”されてからの前半のみ。
 ケルピー戦。
 またも全滅したカブルー一行の回収と人魚(歌だけで台詞無いのに贅沢なキャスティングだ)と麦&海藻&魚卵(苦笑)の雑炊。
 クラーケン戦。

 けっこう詰め込みましたな。
 そのためか、カブルーたちの再全滅シーンを丸々カットしたのは大胆な編集。いや、このほうが全滅PTとして原作より面白いかも。

 地上での会話で、カブルー一行は自分たちが狂乱の魔術師を倒すと確信している様子がうかがえますが。
 その実、死体回収屋の口車に乗せられて、自分たちに守護の施術をしてくれた相手を宝石泥棒と信じ込むあたり、ダメダメです。ライオスたちと比較にならないだけでなく、カブルーたちの騒ぐ様子だけで宝虫の仕業と確信した回収屋の術士より圧倒的に劣る。なのに、自分らが迷宮を攻略するという自信は、まさしく駆け出しゆえの勘違いというヤツですね。
 一人ひとりの能力は決して劣っているわけではなく(後のエピソードで判明する)。とにかく迷宮での経験が足りなさすぎなんですよ、特に魔物に関する知識がね、不勉強にも程がある。まあ、ライオスが極端と言えば、それに尽きるのですが……。

 クラーケンに対する必殺技が水上歩行魔法というのは、見事な妙手。あれは陸揚げしたようなものですからねぇ実質。そりゃタコならともかく、イカは何もできんわ♪
 この戦闘時、原作ではクラーケンが襲ってきたときの水を被ったチルチャックが確か「弾いて気持ち悪い」と言っていた記憶があります。水上歩行魔法で全身が超絶な撥水性になってるんですね。雨レベルであれば気にならない、むしろ便利なところを、何せ大波レベルの水量ですからね。それがすべて弾かれるのをチルは「気持ち悪い」と表現した。このシーンをアニメでどう描いてくれるかと密かに楽しみにしていたのですが、スルーしやがったなあっ!

 巨大寄生虫をウナギかアナゴ(白焼きがあったから、たぶんウナギ)に見立てるのは、さすがにきしょい。いくら旨そうな匂いでもオイラは喰わんぞ。
 つーか、捌いてる様子からすると、巨大寄生虫に背骨あるんかい。
 そして、淡水生物の生食はお勧めできない。いや、海水棲でもイカは、やめといたほうがいい。
 これも詰め込んだ影響か、クラーケンの甲殻ネタと精莢ネタも割愛したな(精莢は本編でなく「よもやま話」だけど、アニメはここまで「よもやま話」のネタもわりと使ってる)。ちなみに、イカの精莢は現実に料理屋でも事案になってたりしますね。やっぱりイカの生食はお勧めできない。

 原作を読んだ際、ケルピーの脂身から石鹸を作ったマルシルが「鹸化」という言葉を使ったのが違和感でした。あまりに理系すぎて。
 でも、後のエピソードでマルシルが魔術学校の才女だったと知り、きっと授業でやったんだろうなあ、と納得。

 センシがケルピーを「アンヌ」と名付けていたのは、後々への、さりげない布石です。
 原作でその話を読んだとき「ああ」と思いましたもん。
 倒したケルピーを解体するとき、「手伝おうか」と問うたライオスに「ワシひとりでやる」と応えるその言葉には、もっともっと深い意味があったことに、ね。