いよいよ巻数二桁が目の前ですね。
たいへん失礼ながら、ここまで続くとは思っていませんでした。基本、ネタ系の作品という理解でしたから。
前にも増して、ストーリ重視のシリアス内容で。だからこそ続いていると言えるものの。第一巻第一話の「うんこから蘇生した冒険者の例はあるか?」とか「それは喰ってもいいものなのか?」とかいう、炎竜に妹が喰われたわりに深刻さのない、あのふざけた空気感が好きだっただけに、読者の一人として複雑な気持ちでございます。思えば遠くへ来たもんだ。
もちろんシリアスだからつまらん、ということではありません。
理系脳をお持ち(と推測)の作者さんなので、物語の構築・展開にも隙がなく。
これまでのカブルーの言動すべてが、ここにきて完璧に納得できました。対人戦闘が強いのは元殺し屋とかでなく、養い親の猛特訓によるものでしたか(あの養母さん、悪魔に喰い残されたミスルン隊員を助けた「陰気なミルシリル」ですね。髪型一緒だし人形使いだし)。
そして何より、カバー絵にまさかのミスルン隊長! 内容的にも重要なキー・パーソンとなってきました……つか、男だったのかよっ。
隊長の説明により、西のエルフが進めている半ば強硬な対ダンジョン政策にも、一定の理解ができました。
そう。ここに来ての重要ファクター、人の欲望を糧とする悪魔の存在。もはや狂乱の魔術師など前座にすぎませんね。仮にシスルをどうにかできたところで、事態の解決には程遠い。なぜなら、黒幕である悪魔は、すでにシスルを見限っているから。新たな糧に目を付けてツバも付けているから。
ええ。外れることを承知で、あえて今後を予想します。
黒幕は、人の良さそうな親切そうな有翼の獅子でしょう(この予想、きっと外れる。だが私は謝らない)。
いつもの『ダンジョン飯』としては、サキュバスの生態が素晴らしかった。同時に、サキュバスにイヅツミだけが対抗できた理由にも唸らされました。そういう使いかたがあったとはね。
カブルーとミスルン隊長の話に、いちいち「その頃のライオス」が付くのも読者に親切で◎♪