天一天上 (旧暦 霜月廿一日)

 いっそ、スケキヨに板尾さん使って「平熱や」と言わせたら良かったんだよ(爆)。

 在京TV局がスポンサー巻き込んで学芸会をやるたぁ、いい度胸だ。

 いや。
 ファン・サービスとしての企画物であり、あくまでもイベント、という考えかたなら、それはそれでアリだと思います。バラエティー番組内で演劇やるようなノリ、みたいなものですかね。『ノリダー』とか『ナン魔くん』とかみたいな。
 それなら台詞が棒読みでも、演技がガタガタでも、まったく問題ない。ファンは温かく応援して「良い番組だった」と喜ぶことでしょう。ファンでない人も「お遊びなんだから」と特に気にしない。

 でもね。
 ガチのドラマにも関わらず、今現在のジャニタレ主役に置く時点で残念度MAX。学芸会確定でしょ。あるいは、ちょっと早めの『新春かくし芸大会』?
 その程度の出来だったっしょ。本気のドラマ作りなら、主演にちゃんと俳優さんを起用しないと。
 しかも、あのビッグ・タイトル。勇気あるを通り越して無謀も飛び越えて、ただただバカかと。

 同じく、しばしば映像化される『西遊記』でも感じることなのですが。
 名作と呼ばれるものに縛られてしまい、なのに新解釈を一緒に盛ろうとするから中途半端になるんですよ。
 過去の名作と同じ路線で勝つのは並大抵じゃない。イメージ的にも不利でしょう。
 ならば別路線、つまりは徹底的な新解釈・新演出で行くしかない。この場合、名作を否定するくらいの勢いでないと、これまた勝てないと思います。つまり「ぶっ跳べ、弾けろ」と。『西遊記』で言うなら『ドラゴンボール』レベルの彼方にまで飛んでったほうがいいんです。
 そこまで開き直ってこそ、軽薄な棒読みアイドル金田一も、あるいは何とか生かせるかもしれません(まあ演技力ゼロな時点で論外ですがね)。

 そりゃね。『忠臣蔵』みたく、そもそも勝つ気なし、のルーティーン・ワークで行くスタンスも方法としてはあると思いますけどね。
 ただ、それは『忠臣蔵』が季節物の定番だからであり、大晦日に『第九』を演奏するようなもの。なので過去の名作に勝つ必要も挑む必要もない。

 けどサー。『犬神家』は違うだろ。やるのに季節関係ないし。て言うか何もクリスマス・イヴに流さなくても、いいだろ。
 これをやるからには、細部まで原作に忠実にやって市川崑作品を負かす、くらいの気概が必要。
 あるいは過去の作品群とは全然別物にするという心意気を見せないとダメです。例えばね。スケキヨの“Vの字倒立”をあえて使わない、くらいのことは、やって欲しい。
 なのに中途半端なんだからもー。

 なんで『犬神家』だったんだろ?
 金田一の解決(て言うか解説?)した事件は、いっぱいあるんですから、まだ映像化されていないものを拝借すれば、酷さも目立たず叩かれなかったんじゃないのかな。それなら、アイドル主演のファン向けバラエティー番組レベルでも違和感なく、独自解釈の強烈濃厚アレンジとて敷居が低かったはず。
 例えが失礼かもですが、寅さんが行商から探偵に転職(笑)した『八つ墓村』とか、猪八戒が探偵に化けてた『悪魔が来たりて笛を吹く』とかは、他に強力なライバルがいないおかげもあってか、作品としては叩かれません。むしろ高評価を受けてます(個人的には、この二人の金田一は「なし」ですがね)。

 少なくとも、定番としての金田一耕助は、映画なら石坂浩二さん、TVなら古谷一行さんという昭和の両横綱がおられますからね。
 定番スタイルのまま、このお二方に並ぶ、あるいは越えるには、かなりの役者さんと、かなりの監督さんとのタッグでないと無理でしょう。
 平成での金田一は、もうおしまいでしょうから、平成金田一の名作は、なかったということかな。あえて平成の代表的金田一を挙げろと言われるなら……吾郎ちゃんでしょうか(ジャニタレでも SMAP は例外に入れていいレベルをクリアしてる。彼らに比べたら木軸の点火アイテムなんて大根で音痴で……ごにょごにょ)。
 それでも、石坂金田一、古谷金田一に並ぶとまでは言えない。

 次の元号で素晴らしい金田一耕助が出現することを期待……したいけど、今の業界では無理かなぁ。
 事務所主導で主役決めちゃダメっすよ。いやホント。