魔法少女の定義とは何ぞや?
魔法を使う少女。
あるいは魔女に育つ前の見習い?
いやいや。
令和の今ですと、違いますね。
少なくとも平成令和における魔法少女の定義となりますと。
魔力を使い悪の怪人怪物と闘って人々を助ける正義の美少女戦士あるいは美少女戦隊。
コスチュームの変更のみで「変身」と称する。しかも、なぜか家族友人知人に身バレしない。
もれなく喋る小動物が付属し、またこの小動物こそが(事情はともあれ)主人公を事件に巻き込んだ張本人。
あたりが、ほぼ基礎・土台かと。
つか。
魔法少女なる言葉は、いつ出てきたのか?
遡ること昭和それも 1960年代。
例のトキワ荘全盛期の頃。
トキワ荘メンバーではないですが、横山光輝さんの『魔法使いサリー』あたりが、元祖に近いのかもしれません。
「魔法の国からやってきた」ので、将来の魔女であることは、まちがいなく。箒にも乗ってるし。
それから下ること 70年代。
東映魔女っ子シリーズとして、魔女っ子メグちゃん、花の子ルンルン、魔法少女ララベル。
おお。ララベルで初めて明確に「魔法少女」言うてますな。
90年代だと。
同じく葦の、スイートミント、マリーベル、二代目モモ。
ここらあたりまでは闘わないんですよね、たしか。
人々の日常の中に魔法の力を持った少女が普通に入り込む。謂わば『オバQ』の構図です。
この“オバQ構図”という視点で考えるなら。
赤塚不二夫さんの『ひみつのアッコちゃん』や、手塚先生の『ふしぎなメルモ』を、ここにカテゴライズしてもいいかもしれません。
アッコちゃんやメルモちゃんは普通の人間で、授かった力と言うかアイテムの効果こそ限定されているものの、広義に解釈すれば、まあ魔法少女みたいなものかと。
80年代でも。
スタジオぴえろの、クリィミーマミ、ペルシャ、マジカルエミ、パステルユーミ。
そして 90年代のファンシーララ。
これらは授かり系になりますね。主人公は普通の人間。
そして、同じく「授かった力」という視点から見ると。
21世紀枠の魔法少女、つまり「悪と対峙する善の魔法少女」という新興勢力が丸ごと合致するわけです。
東映の『おジャ魔女どれみ』と『プリキュア』シリーズも、これに該当するでしょう(プリキュアは魔法少女と公言されてはいませんが、初期の肉弾戦の頃はともかく、年々チームメンバーが増えるに伴い、ワンド使ったりとか魔法少女色が濃くなっていきますから)。
この構図は、まさに変身ヒーローそのものの構図で。
ただ、この構図を重視するなら。
魔法少女とは言われていないものの。
20世紀枠の「月に代わって」の人たちも魔法少女の一派と言っていいんじゃないかと。
物語の構図は東映お得意の変身ヒーローそのもの、つまりは 21世紀枠の闘う魔法少女そのものですし。
となると『東京ミュウミュウ』も外せないな。これ、『セーラームーン』とほぼ同じ構成の物語ですからね。
闘う方向性を持った魔法少女に付きもののマスコットキャラに、あえて闇属性を持たせた『まど☆マギ』を含めて。
21世紀枠の魔法少女は、
「平凡なJCもしくはJKが喋る小動物にスカウトされてキラキラヒラヒラ衣裳で悪と闘う」
というのが、もはやテンプレとなっている。
で、まちがってませんよね?
長々と語りました。
でも↑は前説。
↓が本題。
『魔法少女♡三十路』1、2巻
三倉ゆめ/YKコミックス
21世紀枠の魔法少女業界に、小さいながらも爆弾放り込んだ作品の一つですね。
というか小動物による採用システムを逆手に取った“問題作”(笑)。
発想としては、あの「間違った子」をスカウトしたヤツに近いでしょうか。
だが、あれは美少女だから、まだ救われる(苦笑)。
比べて、この作品には救いが無い(爆)。
痛さとしては。
初音ミクさんの『魔法少女ラジカルペイント』。
『まど☆マギ』のスピンオフ……と言うか二次創作が後に公式へと昇格した『巴マミの平凡な日常』。
あたりが先駆者ではありますが。
「いや~、この歳にもなって魔法少女とかどうかと思うんですけど」ですよねー。
要所要所に放り込まれる主人公・ようこさんのアップが強烈で、しまいにはクセになります。
理想的には全編それでいくべきかもですが、それだと皆逃げる。
メリハリという意味では、たまにアップでリアルに描くというのは正解でしょうね。
敵キャラの一人が、また良い感じの下衆で。
ホント、あの“ザ・たっち”には、びっくりしましたよ♪
これ、作者さんが女性だからいいんでしょうが。
「ブス」とか「おばさん」とか「うnこ」とかとか連呼するなど、あれこれと、よくコンプラ警察に引っかからなかったなーと。
野郎が描いてたら、とっくに袋叩きだよなーと。
それくらい攻めている姿勢は大好きです。
あれこれ申しましたが、最もイタイのは、帯に登場する「担当のリアル三十路」さんですね。
これが編集さんの業務かどうかはさておき。
がんば、です。
ちなみに「三十路」とは「三十代」ではなく、正確には「三十歳」のこと。
なので、本当ならタイトルに問題ありではあるんですよね。
細かいことですが。