初伏、大犯土、三隣亡、一粒万倍日 (旧暦 水無月十八日)

「相変わらず不躾なまま、やっておりますが」
 なーんて、番組内でメーカーの人にいつも言っておられましたっけ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2920696b7b0ec5e368bbbbe8a8d0ab4acba89e47

新車情報』はメーカーに忖度しない唯一無二の自動車紹介番組でした。
 自動車を徹底的に“道具”として評価する。その姿勢は視聴者に強く刺さったものです。
 道具としての機能から逸脱したデザインを指摘するそばからメーカーの人が「それはなんたらかんたらでどうのこうので」と言うのを即座に「言い訳しないの」と斬って捨てる。
「自動車は芸術作品じゃないんだから芸術家気取りの勘違いデザイナーに好き勝手させないの。そのための主査でしょう」とも言っておられましたね、よく。
 でも残念ながら、この番組で強く指摘・要求していて実現したものは、そこまで多くはなかったですね。無知な自分が知ってるのは、バンの跳ね上げ式リアゲート内側に閉じるときのための取っ手を付けたことと、高級車のトランクのダンパー、搭載義務がある三角表示板を収納するためのトランク床の凹み、くらいかな。
 何度言っても、メーカーの人が苦笑いでごまかすばかりのモノもあった。三角窓とか(笑)。
 国内を走るRV車に必須のサイドアンダーミラーが、どこのメーカーも横並びの同じデザインになってて、それを「雨上がりの毒キノコ」と呼び、「もう少し何とかならないですか形」と、これもずっと言っておられた。でも私の知る限り「何とか」したのはジムニーの中の二種だけですよ。
 バンパーについて「素材色でいいじゃありませんか。ボディと同じ塗装だと、ちょっと擦っただけで修理代が大変なんですよ」と言うのも定番で。
 スポーツ車のことは「麻薬の効いた車」って言ってましたね(笑)。
 不思議なのは、あれだけ辛口コンボな番組なのに、メーカーが出演協力を拒否しなかった。批判的な指摘が的確であり、決して難癖や悪口でないからなのでしょう。
 メーカーの人が使い慣れている専門用語やマニアックな単語を口にすると、すぐにやさしく噛み砕いた一般的な言葉に“翻訳”なさるのが、この人のスタンスをよく顕していたと思います。
 一方で、「気持ちの良い製品しか買わないこと」と、ユーザー側の姿勢についても、やんわりと苦言を呈しておられました。メーカーを育てるのは、お客なのだということですね。
 番組への視聴者からの質問についても、忖度のない姿勢でした。頓珍漢な質問には、きつめの対応をなさることもありましたよね。
 ディーゼル車を紹介する回で「なぜかアメリカ人と都知事ディーゼルが大嫌いですが」というのも名文句でした。
 そうそう。二本一組の「不躾棒」も♪
 旧型車に乗ることを「反社会的行為」と言ったのにだけは、断固として反対させていただきますけどね。(;^_^A
 でも、本当に学ぶことが多かったです。

 番組を引退されて、司会が別の人に替わっての仕切り直し『クルマのツボ』で一気につまらなくなったのも、よぉく憶えてますよ(苦笑)。



 合掌。