一粒万倍日 (旧暦 弥生廿六日)

 気持ちは判る。よぉく判る。

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2105/07/news019.html

 みんな一度は「裏高野」が本当にあると思ったから(笑)。

 でもまー、学校では習わんやろね。
 習うとすれば実際に、寺に入山してから。
 ただし宗派をまちがえるとカケラも習えない。
 少なくとも現世利益でない宗派に、そのテの術式は存在しないから。
 例えば、念佛を第一にする宗派は絶対にやらない。つか、そーゆーの否定する宗派だし。
 かつてTVに出まくってた、某戦国武将の血筋を名乗ってた悪霊退治の坊主が、まさかの禅寺の住職だったのには笑うより脱力したけどね。

 退治でなく「祓い」となれば神道のイメージですが。
 神社でも公式には、やんないんでしょうね、悪霊祓い。やってもらえるのは普通の「お祓い」。

 堂々とやりそうなのは古神道に属する宗派と。
 いちおうの佛教系でもある修験道と。
 真言宗は表向きには、やんないと思う。やってるのは、あくまでも護摩壇での加持祈祷(口伝では、あるようですけどね。九字とか不動金縛法とか)。
 日蓮宗の木剣と念珠の合体は説得力あるけど、あれも加持祈祷であって悪霊退治ではない(表向きは)。
 昔々の陰陽道は、むしろそのための組織って認識すら政権側にはあったと思いますが。でも、当の陰陽道の人たちは、単に学問としての暦と天文を研究していたに過ぎない。私たちの知る安倍晴明は、かなり脚色されてるはずなんですよね。
 けっきょく、歴史ある既存の宗派で堂々と悪霊退治と言ってしまうのは、ない。
 なお、かつては邪教とまで蔑まれていた真言立川流は、別のカルト教団との混同による風評・誤解であったと、最新の研究によって結論が出ているそうな(専門書でも、まちがえてたからなぁ。オイラも、すっかり信じてたですだよ)。

 これは欧米でも、たぶん同じで。
 教会では正式な悪魔払いを学べないと思われます。映画『エクソシスト』は、それこそ『陰陽師』同様に、かなり誇張と歪曲がなされてますよ。
 そのテの術式を知りたくなった者は、だから教会を去って独学で研究するしかない。エリファス・レヴィのように。
 なので、彼らが世間的に「破戒者」となるのは日本も諸外国も同様ということ。

 現代社会で、そのテの知識・技術を教えると豪語する学校がもしもあるなら、まちがいなくインチキでしょ。
 同じく、悪霊を祓うと豪語する寺があるなら、それは偽寺です。少なくとも十八宗には入らない、独自に“寺”を名乗っているだけの施設。
 いろいろな意味で危ないから近づかないほうが無難です。

 独学でというのもリスクがありますからね。
 興味あるってのは、よぉーく判るけど、実際に手は出さないほうが身のため。生兵法、怪我の元。
 普通に東西どれでも魔除けグッズを買って身につけるに留めておいたほうが安全だと思いますです。
 あとは、題目を憶えておくことかな。
 般若心経でも効果がないわけではないけど、長いから憶えまちがい唱えまちがいするかもだし(何度か、悪夢の中で唱えようとして、どうしても一部分が唱えられなかったことがある。「ロイミュード」と言おうとして「ろろろロリ少女」になっちまう、みたいなー)、実際には、そんなに強力ではないそうな(@美輪明宏さん)。かえって悪霊を怒らせたという話も、あったりなかったり……。
 対して、題目は古い文献にも記されているとおり、かなり強いらしい(@美輪明宏さん)。七文字だから憶えるのも楽ですし。
「題目って日蓮さんでしょ?」と言われるかた、お待ちを。題目は天台宗でも唱えられるものです。そもそも法華経天台宗が根本経典としているもので、比叡山で修行した日蓮さんは独立してからも、それに倣っただけです。法華経の最強さを記した『今昔物語』や『日本霊異記』などは、日蓮さんより古いですし。
 絶対に使うなと言いたいのは念佛。これは阿弥陀如来に「私はここにいる」とお知らせするものであって、死んで浄土に転生する目的で唱えるものですから、目の前の非常事態を回避する効果は無いです。ありません。乗ってる飛行機が落ちそうになって唱えたら、単に極楽往生するだけです。
 まあ、目の前に悪霊がいて、唱えた念佛を聞いて成佛してくれるというパターンはありえるかもですが。それとて、人の話を聞いてくれる悪霊さんならの場合。聞く耳持たずな悪霊なら、やっぱり効果ないでしょうね。
 佛式はどうも、と言うかたは西洋式の護身法「マノフィカ」を憶えておくといいと思います。誰でも咄嗟に簡単にできる術です。具体的には、ぐぐってくださいな。

 まあね。
 個人的には、あったら面白いと思いますよ。そのテの(真っ当な)専門学校。
 あったら、たぶん入ってる。目指せ! ゴーストスイーパー(爆)。