百鬼夜行

 伊吹丸は酒呑童子の息子という設定ですが。
 その酒呑童子は、とんでもなく強い鬼とのこと。なので、源頼光ら一行が征伐した快挙を絵巻物にして後世に伝えた。
 政権に逆らう者、逆らわずとも従わぬ者を怪物扱いして討伐を正当化するのは権力者の常套手段。権力のためではなく民のために闘った、という言い訳ですね。
 つまり、酒呑童子一派は都にとっての脅威だったと、単なる盗賊団レベルではなかったと、そういうことの証明になるでしょうね。
 何者かは判りませんが、これまた源頼光によって成敗された土蜘蛛一派と同じく、政権の基盤を揺るがしかねない存在だったのは想像できます。だからこそ本気で叩き潰し、その経緯を無学な民に怪物退治として知らしめた。
 一説には大陸から渡来した技術者集団(主に製鉄)ではないかという話もありますね。古来より日本人は外国人を怪物扱いする悪癖がありますから。
 何をしでかしたかは知りませんが、さすがに鬼扱いされるのは気の毒ですね。鬼として退治されちまったら弔ってももらえず成佛できないでしょうし。
 そうなると今度は本物の物の怪になっちまいますぜ。都に怪異が多かったのは、そのためかもしれませんね。京都が鬼だらけな魔界なのも当然か。