『僕らの鬱』
あめりおじさん/コミックジンガイ
どう解釈しましょうか。
作者氏が腹に溜め込んだモノを恥ずかしげもなく吐露した作品?
平井和正さんは「原稿を排泄物にしてはならない」とおっしゃってましたが。これは排泄物まではいかないものの、吐瀉物のレベルはクリアしているかもしれません。
まあ、この作者氏の作風が、そもそも読者への手加減つまりは商業的気遣いなどない感じですからね。容赦なく人の心の根底を残酷にえぐってくる。
描き手のやりたいようにやった。それが(良くも悪くも)読んだ人の心を揺さぶるだけのパワーを得るに至った……かな? 編集が横から口をはさまなかった(と思われる)のは、この作者氏に関しては正解だったんじゃないかな。この作品から毒糞が抜けたら何も残らないだろうから。
妖之佑は適当に汚れてますから、ある程度の免疫を持っており、読後に特に体調を崩すとか芥川や太宰のあとを追いたくなるとかは、ありません(今のところは)。
が。免疫のない人、純粋無垢な人にとっては、これは汚染物質でしかないでしょう。見事に、共感・同情できるキャラが、いません(多少の同属嫌悪は生じてるかもしれん)。
そうだなあ。少なくとも江戸川乱歩の大人向け作品を平気で読めるレベルでないと、耐えられないんじゃないかなあ。
人に勧めるか? と問われれば、たぶん勧めません。
敵意もなく人様にラーメンでなく生ゴミをお出しする人はいないでしょ?
でも何だかクセになるんですよね。(;^_^A