納めの観音、十方暮入 (旧暦 霜月十二日)

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 『おじさまと猫』1、2巻
  桜井海/ガンガンコミックスpixiv


 妖之佑の持論として。
 シリーズ物は第一巻が、もっとも面白い。
 というのが、あります。

 そして、このルールを打ち破った物だけが大作・長寿作となる。

 さて。
 この作品も、1巻と2巻を比べれば1巻の勝ちだと思います。
 と言いますか、モモタロスの台詞を借りるなら、これは「最初からクライマックス」な作品です。
 最初にクライマックスである、おじさまと猫の出会い、売れ残りの猫が「ふくまる」となるのを描いたため、それ以降がすべて後日談となってしまいます。長い長い後日談ですね。もちろん、それも面白いのですよ。ただ、それはあくまでも“猫飼いあるある”な面白さであり、この作品の独自色とするには少し厳しい。
 作者さんがこの作品を描くきっかけが、ペット店で売れ残った子たちの運命を考えたから、ということなので、最初にクライマックスが来てしまうのは仕方のないことではあると思います。
 なので、あくまでも勝手に生意気に妖之佑の意見を言わせていただけるなら、この作品は、売れ残った猫が「ふくまる」という名を貰い、おじさまの子になる過程を描いたら、ふくまるがおじさまに心を開いたら、そこで潔く終えるべきだったと思うのです。「おじさまと猫は末永く幸せに暮らしました。めでたしめでたし」と結べばいい。そして、カーテンコール代わりに店員・佐藤さんのエピソードを置けば完璧でしょう。
 1巻の巻末に佐藤さんの話を載せながら2巻に続くのは、たいへん失礼ながら蛇足感が否めません。

 本当に生意気を言ってますね。
 繰り返しになりますが、最初からクライマックスな部分以外も、“猫飼いあるある”として見る限り良作だと思います(猫を飼ったことありませんが)。ダンディなおじさまが、ふくまるに振り回されてどんどん三枚目キャラになっていくのも楽しい♪
 でも、それでもやっぱり、これは一冊だけで締めくくったほうが名作になれたんじゃないかな。

 以上、失礼を承知での妖之佑の素直な感想です。m(_ _)m