望、東大寺二月堂お水取り (旧暦 如月十五日、涅槃会)

 ちょいと確認するが。
 三年前にタクマが怒ったのは、試合の結果が出ているにも関わらずイエローデビルがさらに大助さんに攻撃して潰したから、ですよね? イエローデビルのルール無視な非道ぶりに怒ったのであって、単に大助さんが負けたことに腹を立てていたわけではないですよね?
 ここ、重要ですから。
 で、その時点ではぺーぺーの新人レスラーゆえ、どう転んでもイエローデビルに勝てるはずもなく。唯一の強くなる方法として、敵であるモノポリーのスカウトをあえて受けた。当時のタクマに他の選択肢はなかった。
 言わば、敵に勝つために、わざと捕まったふりをして敵の力を得ようとするヒーローの姿です。そのはずです。そのはずでした。

 なのに……何だあれは?

 あのケンカは「正義が力だ」とするタイガーマスク二世×「力が正義だ」とする宇宙プロレス連盟の構図と一致します。
 その構図で「弱い者は負けて当然」とするタクマの心境が意味不明すぎました。理由は↑から。
 虎の穴に入ってからも初志貫徹だと思ってたのに。知らんうちに、虎の穴の思想に、どっぷり染まってるって何それ?(あれがモノポリーに対する芝居だったら、すげーですがね)
 タクマが虎の穴の「力こそすべて」という思想に宗旨替えしたならしたで、そういう過程を描写する必要があります。そのためには「ヘル・イン・ザ・ホール」は、うってつけだったんですけどね。覆面トーナメントでタイガーに敗れ、自分の進む道に疑問を抱き、復帰するチャンスであるザ・ホールで考えを変え「勝てば官軍」とばかりに手段を選ばない。親友ケビンをも見捨てる。そんな過程があればこそ、廊下でタイガーとケンカになったあの台詞が生きてくるというもの。要するに、バトルロイヤルであるザ・ホールのルールを「勝者は一人のみ」とすれば良かったんですよ。変な門番なぞ不要。これなら、タクマは表舞台に戻るため、親友も良心もすべてを捨てることになる。それでこその「ダーク」でしょ。
 しかし実際は、タッグとしての実力で差を見せつけられたオーディン&ビリー組に対して、ケビンとの友情パワーで闘うというスポ根展開。しかも、最後には優しい先輩オーディンに助けられる。この流れでは、タクマは「友情、勇気、思いやりなどなど、力よりも大切なものがいっぱいある」ことを学ぶしかないじゃありませんか。
 そもそも、覆面トーナメント決勝でイエローデビルが偽物と判ったときのタイガーの反応を見て「おまえも奴を狙っているのか」と言ったタクマは、そこでタイガーに対する印象を変えたはずです。それまでの単なる邪魔者から一つ評価が上がったはず。それも、まるでなかったかのような、あのケンカ。
 とにかく全部が、タクマのあの行動で台無しです。

 一方で、あれだけ腑抜けてたナオトは、モノポリーの名前を聞いただけでモード・チェンジ!
 団体を捨ててモノポリーに入った相手レスラーをギブしてるのになおも締め落とすほどの闘志。虎は、それくらいでないとね♪
 でも、そうなるとヘタレ部分は何のために? という疑問が残ります。ルリコさんの存在含めて、なくてもよかったんじゃね?

 ヘタレなナオト×地獄から生還し格段にレベルアップしたタクマ、という再戦カードでタイガー・ザ・ダークの圧勝にすると思ってましたからね。それで一勝一敗。で、ナオトが拳太郎に喝と鉄拳を入れられて復活する流れかと(まさか、恋愛相談に押せ押せアドバイスするとは思わんかったがな、拳太郎)。
 しかしながら、あそこまでタイガーマスクの戦闘スイッチが入ってしまうと、最近のナオトの堕落ぶりが無意味となりかねませんよ。
 本当に、何がしたいんだか……。

 ところで。
 ザ・サードが、まんまリング・ネームだとはね。
 しかも、北米でチャンピオンとして君臨してたとはね。
 あのリング・コスチュームは、まんまタイガー・ザ・グレートそのものですよ。つまり、やはりシンプルに「グレート三世」ということなのかな。とするとグレート二世も、いたんでしょうね、この半世紀の間に。





 幻夢コーポレーションが文字通りの黒企業に(笑)。

 元社長(身柄確保&発症時)の謝罪と反省が芝居というのは見え見えでしたね。
 衛生省の小役人は責任逃れの責任転嫁で「上に報告する」と言ってましたが。あの場合、拘束されそうな元社長を病人として収容したエムたちの姿勢は何らまちがっていない。凶悪犯罪者でもテロリストでも重い病気や大怪我をしていれば逮捕は退院後となりますからね。むしろ明らかな病人をそのまま小役人たちに引き渡してたら、CR側の怠慢を追及されますって。そもそもバグスターが暴れたらCRの助けなしには抑えられないってのは役人たち自ら証明してるのにねぇ……。
 つまり元社長の作戦が巧妙だった。
 結果として次回、CRは責任取らされるわけですね。第二期ウルトラ・シリーズによくあった「謹慎処分」や「出動禁止命令」ですよ♪

 しかし元社長と言い無免許医と言い廃墟を拠点にしてますが、光熱とか水道とか、どうやってんのかな?(笑)





 前回すでにアトラの変化に気づいてたハッシュくんの感性は、なかなかに鋭い♪

 ジリ貧の鉄華団
 マッキーの心中や如何に?

 いまだにマッキーの真意が見えないんですよね。
 迫り来るギャラルホルンの部隊を見てニヤリ笑うなんて……まあ、見栄張ってるだけかもしれませんが。あの足下にMAが埋まってたりしたら爆笑モノだな。「地下にMAが隠してある、とくらい言ってください!」ってか?

 ホント、「火星の王」の話を蹴っていれば、こーはならなかっただろうに(それだと物語が動きませんが)。
 ビスケットがいれば……いや、いても止められなかったかな。リーダーであるオルガ本人に教育がないのがね、そもそもの不幸。つか、それを描いたのかな『鉄血』は。
 せめて、もう少しの間、兄貴の下について勉強できてればねぇ。

 でまあ、みんなで戸籍(?)書き替えて第二の人生って……たぶん失敗するよ。仮に通信が復旧したところで髭爺さんが協力してくれるとは思えない。
 オルガから一方的に縁切り、クーデリアさんとアトラの二人だけを逃がして全滅エンドかな。一般論として物語における「子種」って、そういう意味があるんだよ。