天一天上 (旧暦 如月十日)

 お笑い芸人と低脳女タレントによって変なバイアスがかかるので、この手の番組は話半分で観ないと痛い目を見るのですが。
 それでも、五日夜に放送された TBS『世界の超S級危険生物』は考えさせられるところが大きかったと思います。

 番組内容を思いっきり要約すると「本来その土地にいない生物が侵入すると、あるいは人為的に持ち込むと大問題になる」ということに尽きると思います。
 この部分をもっと深く掘り下げれば良い番組になったと思うのですが、それが弱かったですね。民放故の、ペット業界などに対する心遣いでしょうか?

 千葉で起こった虎脱走の事件は、当時の自分が新聞とかニュースとかまったく関心なかった大馬鹿者なので知りませんでしたが。
 詳細が載った記事は↓とかにあります。

ttp://www.sankei.com/region/news/150804/rgn1508040055-n1.html

 酷い事件ですね。事件であると同時に、明らかな人災でしょうこれは。
 第一の加害者は言うまでもなく素人なのに無謀な飼育をしていた寺。
 第二の加害者は、射殺に猛抗議して警察や猟友会の足を引っ張った無責任なクレーマーども(だいたい、この手のクレーマーって、無関係で安全な遠方地にいる連中なんだよな)。
 そして第三の加害者は、危険生物の取り扱いを野放しにしていた行政(の怠慢)。
 被害者は地元住民と犠牲になった犬、危険な仕事をこなした警察や猟友会のかたがたと、そして虎。
 端的に言えば、身勝手な住職によって罪のない虎が殺される結末となった。それが事件の本質でしょう(ついでに言うが、「虎が逃げた」と大騒ぎになってるのに、飼い犬を外につないだままだった飼い主は、さすがにペケだと思う。まあ後悔してるだろうけどさ)。
 後日談として、寺が手放した生き残りの虎たちはタライ回しにされたそうですね。いっそ、射殺に抗議した連中にくれてやるか、問答無用で連中の住む町内にでも放してやればよかったんだよ。「虎が可哀相」なんだから自分らで善処しただろ(けっ)。

 虎は極端な例ですが。

 古来より日本には様々な外来生物が侵入あるいは持ち込まれ、日本の生態系を激変させてきました。身近なものだと、アメリカザリガニセイヨウタンポポが判りやすいですね。ともに繁殖力旺盛で、日本の種を駆逐してしまった。ニホンザリガニなんて「どこにいるんだよ」状態ですし、ニホンタンポポもなかなか見かけませんからね。
 ハクビシンは、いつ入ってきたのか判らないそうで。古くは「雷獣」なる伝説の獣と誤認されたこともあったり、「タヌキ汁」の材料とされるほどに昔から日本にいるらしく。でも外来種なんですね。
 ヌートリアは毛皮目的の畜産用だったかな。それが商売上手くいかなくて捨てたとか……阿呆どもが!
 ウシガエルが食用目的に持ち込まれた外来種なのは知っていますが(ちなみに、そのウシガエルを飼育するための餌として持ち込まれたのがアメリカザリガニ)、オオヒキガエル外来種だとは恥ずかしながら知りませんでした。これは広がらないようにしないと、日本古来のヒキガエルつまり蝦蟇蛙が危ないですね。
 沖縄のマングースはハブ退治目的で放されたそうですね。当時の関係者の脳味噌って幼稚園児レベルかよっ。
 ブラックバスブルーギルの問題も、もはや手遅れ状態。環境破壊最先鋒の清水K明とかは切り刻んでバスの餌にでもしてやれば本望だろ。
 学校が夏休みになるとホームセンターに外国産のカブトクワガタが並ぶのも、あたりまえの光景になってしまった。これもサッサと禁止してほしい。雑婚が進んでしまい在来のミヤマクワガタなどが危険なのは、かなり前から言われていることなのだから。
 アライグマもなー。獰猛なうえに木登り上手で民家の天井裏とか大好きだからなー。
 公園の池とかにガメラ……もといカミツキガメがいるのも、下水道にワニがいるのも、あたりまえになりつつある。
 ちなみに「ミドリガメ」として売られているのも外来種だからね。正式名はアカミミガメ。かなり大きくなるので、飼い主が手に余って捨てるのが、お決まりのコース。だったら最初から飼うなよ!

 外来生物は、公的に認められた研究機関以外には、全面的な輸入禁止でいいでしょう。だって持ち込む必要なんて、ないんだもん。ああ、誤解がありそうですが、動物園や水族館は展示よりも研究が主目的の機関ですからね(ただ、個人的にはサファリパークの展示形態には、日本の土地はそれほど広くない、他に使い道あるだろって理由から反対)。
 禁止によって、例えばペット業界とかが大打撃を受けても仕方ないと思いますよ。そもそも、環境破壊で成立していた商売であるなら、それは真っ当な商いではない。ならば、むしろ積極的に排除されるべきでしょ。犬猫ですら、ブリーダーの資質問題とかありますしねー。

 資源である家畜の扱いも慎重に願いたいですね。逃げ出せば野生に戻る可能性だってあるわけですから。
 豪州を駆け回る獰猛なディンゴは元を辿ればアボリジニの飼っていた犬ですし(「欧州人が持ち込んだ犬が元」というのは誤りで、ディンゴの起源はもっと古い)、豚だって脱走して野良化すると猪並みに危険だそうな。

 一方で、勝手に入ってくる連中は、どうにもならないのかな……。
 桜や林檎などなどバラ科にとっての害虫として悪名高いアメリカシロヒトリは米軍にくっついて侵入、あっという間に日本に広がった。
 セアカゴケグモが大阪の港で発見されたのが、もう二十年以上も前のことだとは、びっくりです。すぐに厳格な駆除を徹底しなかったこともあるのでしょう、今や完全に帰化生物となってしまった。当時「冬になったら死滅するから放っておいて大丈夫」と言っていた専門家どもをフルボッコしてもいいよな? だいたい、和名で「後家」と付く蜘蛛は例外なく怖いんだからなー。桑原桑原。

 まあ、言い出したからキリがないんですけどね。ハクビシンだけでなく例えば、誰でも四つ葉のクローバー探しをしたことのあるシロツメクサも、びっくりなことに帰化植物ですから。
 とは言え、今現在、日本にいない生物の侵入は可能な限り防ぐべきでしょう。持ち込みは禁止すべきでしょう。個人が犬猫を連れて税関を通る際の検疫はムッチャ厳しいのに、商売で海外の野生種が大量に輸入できるって、ザルじゃね?

 猪が海を渡って辿り着いた島で大繁殖というのも、日本国内のこととは言え、侵入した外来と言えますよね。
 あそこまで増えると撲滅は無理かなぁ……。
 ちょっと無責任に考えたんですが。災い転じて福と成す。専門家の知恵を頂いて効率の良い捕獲手段を確立(番組内でやってたIT罠も、その一つですね)、数をある程度コントロールできるようにしたうえで、猪を島の特産物にする手はないですかね。つまり猪の資源化による島興し。判りやすいのは食用肉ですが、毛皮だって利用価値ありそうですし、牙もアクセサリに加工できませんかね。で、それらをネット通販すればいい。商売になる、となればハンターや料理人や工芸職人やITマンなど若い人の移住が期待できて高齢化問題も解決するかもしれません。
 という提案まで番組でやったら面白かったのに。濱口くんじゃダメだな、やっぱり。