三隣亡 (旧暦 水無月廿日)

 RPGAVG のプレイヤー・キャラであれば、見ず知らずの他人の家に勝手に入って、庭や屋内を乱暴に家捜しして、見つけた金品を無断で持ち帰っても咎められることは、まずありません。
 ですが、現実世界でそれをやれば、発覚した時点で確実に揉めます。その家の人次第で警察沙汰に発展します。

 ポケモンは電脳世界に棲む仮想の存在であり、それを持ち帰ることに何ら問題はないでしょう。
 が、捕獲のために無断で私有地に立ち入れば、立派な犯罪です。そこを判っていないバカが北米どころか日本にもいるようで……。昨今の日本人の民度低下を鑑みるに、不法侵入を注意しようものなら「ポケモンやってるんだから邪魔するな!」と逆ギレされそうで怖いです。
 聞けば、倒壊の危険があって立ち入り禁止になっている熊本城にポケモン目的で入ろうとして追い返された、いい歳こいた大人がいたそうで。
 北米では原発に侵入しようとした一行がいたとも。
 それらが子供じゃなく大人だというところに驚愕というか、もう笑うしかありません。いつから、この地球では現実よりゲームが優先されるようになったんですかね?

 もう一方の画面を凝視したままポケモン探しして人にぶつかるとか赤信号無視とかの、いわゆる「歩きスマホ」問題は、これもまー論外なんですよねぇ。
 ケータイ、スマホともに歩きながら運転しながらの使用は厳禁のはずなんですが、守らない輩が多すぎて……駅とか地下街とかで「やっぱり日本人はダメだ」と実感させられるばかりなのです。いえ、欧米人がどうかを知りませんがね。
 そこに来て大人気アプリ配信となれば、事故率が上がるのは必然でしょう。
 当人が勝手に電柱にぶつかるとか、ドブに転落するとか、ヤーな人にぶつかってコンクリート漬けで港に沈められるとかは自業自得なザマミロでいいのですがね。
 問題は何の落ち度もない人や車に体当たりしてくる歩行者や自転車のバカヤロウです。高齢者や女子供がぶつかられて大怪我させられるのも酷い話ですが。車の前にバカヤロウが飛び出してくるケースでも、日本の道交法では「自動車側が悪い」というスタンスを事故処理のスタート地点とします。つまり、余程の強力なコネでもない限り、このパターンで 10:0 で歩行者や自転車が悪いなどという結論は出ません。むしろ大半では自動車側不利の法廷結末になるでしょうね。とんだ災難、なんてものじゃなく、バカヤロウによって人生壊されるのですから、やりきれません。
 妖之佑も必要があって車での移動をしますから、怖くて仕方ないですよ。しかも夏休みが始まったばかりのタイミングですし。orz

 不法侵入、歩きスマホとも使用者のモラルの問題であり自己責任だと言いますが、さすがにハードやアプリの開発者や配信元、さらに言えばそれで利益を得る版元の社会的責任もあると思うのです。
 技術的に不可能じゃないと思うんですよね、歩行中を検出することくらい。で、歩行中と判断したら画面をロックする。それだけで歩きスマホは防げます。

 報道によると北米でのトラブルは、かなり多いようで。
 ただ報道されてませんが、おそらくこれらのトラブルに伴い、かなりの件数の裁判沙汰も起きていることと思われます。そもそもが訴訟大国なので、いちいち報じないだけで。
 それで、版元・配信側の連続敗訴となれば、ようやく報道されることでしょう。そうなって初めて、日本の法人も具体的に動くことになると思われます。
 が、その頃には、日本でもかなりのトラブルが起こってしまっているだろうとまで、容易に想像できます。
 犠牲者が出てからでは遅いんですけどねぇ。ああ、もちろん「犠牲者」とはバカなプレイヤーのことではありません。これらバカヤロウから被害を被る被害者や、あるいは特攻されて加害者にされてしまう人のことを言っています。


 アイデアそのものは面白いと思うのですよ。
『ROBOTICS;NOTES』にて、「君島レポート」を「居ル夫。」なるアプリで探し廻ってた。あれと似たようなものでしょ。あれの端末機「ポケコン」は現実の景色に仮想世界を重ねるので、周囲の状況も見える分、いちおう安全性は確保されていますが。
 一方、『電脳コイル』に出てくる、ポケコンと似た性質の端末「電脳メガネ」は装着者が現実と仮想の区別をつけなくなるシーンがあったような……。
 ともあれ、アニメで描かれていたアイテムや状況と似たようなものを実際に商品化したことは、たいしたものだと思います。

 ただね、このテのものはテーマパーク……例えば遊園地とかイベント会場などの敷地内限定で機能するようにして、宝探しゲームを実施するような運営のしかたが健全だと思います。
 不特定多数の場所を捕獲のポイントにするってことは、要はそれらの土地の無断利用ってことになりませんか? だって立ち入らないと捕獲できない前提なのですから。
 つまり、本来ならポケモンやアイテムが見つかる場所について、版元あるいは配信元が予め土地の権利者・管理者から許諾を取っておくべきなのですよ。実際、無断で利用されそうだからと出雲大社などは「境内でのポケモン禁止」宣言を出したわけですし。それをしない時点で、このアプリは不特定多数の敷地に「タダ乗り」した、けしからんものだと断定せざるを得ないのです。道路だって「公道」であり、遊び場ではないですからね。
 私なら断るか、あるいは迷惑料を兼ねた使用料をたっぷり請求しますよ。て言うか、実際にみんなでやればいい。法人も個人も配信元を訴えてやるべきです(おそらく北米ではガチに争ってると思われ)。


 何と申しますか。
 ドローンもそうなのですが。
 とにかく数々の新しい技術が人類の精神年齢を置いてけぼりにしているなー、と感じますです。はい。
 今の状況は要するに、ガキが高度で危険性もある機械をオモチャ代わりにメチャクチャいじってるのと同じなのですよ。


 とにかく。
 路上でポケモン探してる連中は。
 俺と身内には絶対に近づくな! 絶対にだぞ!!

 そして国会と警察にお願い。
 歩きスマホを車ではねても轢いても無罪という法律を作ってください。歩きスマホを階段から突き落としても無罪という法律を作ってください。
 ぜひぜひ、お願いします。