一粒万倍日 (旧暦 霜月九日)

『魔女の旅々』
 最後の最後に変なの持ってきましたね。EDのスタッフ・ロールが、ふざけてる♪
 いや、ある意味では〆に相応しいのか。冒頭、総集編か? と感じたくらいですから。
 藤子・F・不二雄さんの短編に『パラレル同窓会』というのがあります。大会社の社長が、世界線の分岐による、ありとあらゆる“自分”(万年ヒラや小説家やテロリストなどなど)と邂逅するお話。
 要するに「可能性のある分岐は、すべて実在する」というSF的量子力学。十年前への干渉で生まれる分岐の理論(時間遡行してセレナを助けても、元の世界でエステルがセレナを処刑した歴史は変わらない、というヤツね)もあったし、『旅々』の作者さんもSF大好きなんだなたぶん。時間遡行モノだと『雲黒斎の野望』みたく過去改変で現在が激変するって展開が多数派だからね。
「粗暴な私」は、あの事件で受けた心の傷が「主人公の私」よりずっとずっと深かった世界線のイレイナって解釈で、いいのかな。それとも本編とは違う、さらに過酷な展開でもあったと?
 それにしても、人間やめてる約二名、何があった!? あと「深い闇を抱えた」三人はサッサと実家に帰れ。
 Cパートで布石(ぶつかった拍子に持ち物が入れ替わるという典型的なヤツ。イレイナの『旅々』と入れ替わった本の表題と「アムネシア」という名前からすると、あの娘ってたぶん……)が置かれたので、二期やる気満々。ですよね? 期待してますよ?

『神様になった日』
 あれだけの設備と人員がある施設なら、トイレも自分でできない子供にはありがたい環境でしょう。ハンコ押した連中が罪滅ぼしの言い訳に経費を寄越しているのか、それともタコ焼きくんのCEOが個人的に負担してくれているのか。
 そう考えると、ひなを連れ帰りたいから心を開いてもらおうとあがく陽太の言動は、無責任で自分勝手とも言える。陽太の家は素人ばかりで、今のひなに何もしてやれないのは、はっきりしている。だからって最寄りの介護施設に入れるのは本末転倒。陽太は潔く退くべきじゃないのか? 応援してる仲間たちも、ひなの現状を知らないから言えるだけで、ぶっちゃけ結果的に陽太を追い詰めてるんじゃないのか?
 と思ってたんですけどね。
 あの献身的な介護士の過去がね。我が子を亡くした母親となると、また話が違ってくる。
 要介護の子供たちを世話しているのが、子供を亡くした母親の代替行為(母犬が子猫を育てるとか母鳥が池の鯉に餌やるとかの類)そのものだと判りますから。つまり、あの女も陽太同様、自分本位ということになります。ひなが陽太に心を開きつつあるのが面白くなさそうでしたし。ひなは愛玩動物ではないんだぞ。
 あ。
「ひな」って、その意味を含ませた命名だったのか。実親とは違う母親に育てられる雛鳥。
 その介護士によって陽太の偽装が暴かれて、いよいよ正念場かな。

無能なナナ
 天使がいたよ。犬じゃなくて天使。やさぐれたナナの心すら浄化しかねない天使。
 一方で、切り裂き事件の進展は無し。森で斬られた動物たちも同じ犯人の仕業なんだろうね。日本で最も治安の悪い町を歩いてそうな“犯沢さん”に、変身眼鏡が警告してたし。
 そして視察に来るというお偉いさんは、ナナに暗殺術を叩き込んだ教官のようで。いやいや盛り上がりますな。
 て言うか視察じゃねーだろ。他の教員がいないとか常駐するはずの保険医が不在とか夜中でも怒鳴れば開けてくれてた食堂も留守だとか、これって生徒以外の島の関係者みんな離脱してるってことでしょ危険回避で。たぶん、島に来るのは教官だけでなく全員がナナより物騒な連中。で、いつもオドオドしてる担任だけ残ってるのは実はトンデモ強くて残虐だから……とかはさすがにないかー。
 おそらく、以前にオイラが予想した“中堅レベルの能力持ちの黒幕”が、あの教官ポジの人物なんじゃないかな。つまりはラスボス?
 つか、残り一話じゃ、切りのいいトコで納まれんやろこれ。二期あるん?

『アサルトリリィ』
 神出鬼没の美鈴様には自分が人でない自覚がありましたとさ。夢結様は幻覚だと思ってるようですが、たぶんヒュージがらみのアクティヴな現象だよなぁ。
 ここに来ての、まさかの未知なるレアスキル? カリスマの上位スキルだなんて、ちょっとズルいと思うですよ。
 ともあれ百由さんによると、術式を書き換えたのは甲州撤退戦での美鈴様であろう、と。
 ヒュージは、いよいよ使徒化してきてるし(笑)。弾道弾コースでの侵攻とか、まんま使徒だよ。おかげで、終盤の定番である「秘密基地を追われる」展開。しかも、梨璃以外のチャームがすべて無力化されるという。
 めったくそ詰め込んできた感じですが、残り一話で、ちゃんと納まるんですかね。

おそ松さん
 人狼ですか。やったことないなあ。
「いやどう見てもこいつ人狼だろ!」ってツッコミが一切なかったのは逆に斬新。
 結末は、お約束で♪