朔 (旧暦 神無月朔日)

 ハロウィンが、どういう経緯で日本に定着したのか、イマイチ判りません。
 気づけば流行りものになってた。って感じで。あの渋谷の乱痴気騒ぎとかね。

 て言うか、ハロウィンって別に仮装行列大会じゃないんですけどね。
 まるでバレンタインのチョコ並みに本家から歪んだものになってますよ、日本のハロウィン。
 そう考えると、バレンタイン同様、日本の菓子業界あたりが、ハロウィンをバカ騒ぎにした黒幕かもしれませんね。

 いや、まあ。北米でも、お祭り的なものになってはいるようですが。映画『E.T.』とか、あのルイジアナの射殺事件とかで見る限りは。
 でも北米では、オバケになった子供たちにお菓子をふるまうのは民間習俗として定着しているようですが。
 比べて日本のそれは、本当にただ単に仮装行列して大騒ぎするだけのイベントですからね。しかも、いい歳した大人が!

 ちょいと調べましたところ(Web って便利♪)。
 クリスマスと同じく、キリスト教以前からある古い民俗習慣だったようですね。それをクリスマス同様に、教会が「万聖節」に利用した形(ただし教会は例の「Trick or Treat」を認めているわけではない)。

 クリスマスは石ノ森章太郎さんが『サイボーグ009』で004に語らせていたとおり、元々は冬至を祝う古い祭でした。
 それを教会が「イエスの誕生を祝う日」という意味不明で強引な理由付けをしてキリスト教の行事として取り込んだ。
 誤解してる人が多いですがクリスマスは「イエス・キリストの誕生日」じゃないですよ。キリストさんの誕生を「祝う日」なのです。イエスの誕生日には諸説あるのですが、少なくとも「12/25」でないことだけは確定しています。
 それほどに教会はムチャクチャをやってでも、クリスマスを取り込みたかったということでしょう。そして、それは成功した。

 で、ハロウィンも、民間で盛り上がっていた収穫祭を布教に利用すべく、「万聖節」の前の夜つまり宵の宮として利用した。
 ただ、クリスマスほどには歪められていないのは、ハロウィンが日本で言う盂蘭盆にも相当するからでしょうか。家々を訪問してお菓子をねだるオバケは、あの世から帰ってきた死霊。そんな彼らに菓子をふるまって慰め、あの世に帰ってもらう。一晩限定とは言え死者の蘇りを教会が認めるわけにはいきませんからね。人が甦るのは最後の審判のときだけ。また、イエスは人ではなく神の子なので別格。
 というあたりで、クリスマスほど上手く取り込めなかった。つまりは失敗した。今の教会はハロウィンと適度な距離を置いているようですね。

 日本では、子供たちが家々を廻って物を貰う「鳥追い」とか「道祖神祭」とかの行事がありますが。こちらは仮装とかせず、とにかく子供が主役の祭。
 古い祭としてのハロウィンには興味が尽きませんが。今のようにハロウィンで大騒ぎするくらいなら、↑を復権させてほしいところですね。