小つち、三隣亡 (旧暦 皐月廿一日)

「すっとこどっこい」って口にするキャラ、超久々に観た気がする。



 人生やり直しツアーならぬ、カップル成立させちゃろツアーだったようで(一組のみ、逆に破綻したカップルがいるようですが)。

 いや何とも……電車かバスに乗り遅れちまうかのごとく、慌ただしく風呂敷を畳んでポケットにでも詰め込んで玄関から出て行った感じの最終話でしたね。
 最初は、あんなに丁寧に風呂敷を広げていたのに。
 今から思えば、いわゆる「天井の隅に浮かぶお兄ちゃん」の類を連れ歩いている真咲が、第一話で“不思議ちゃん”だという描写はあったわけで。
 光宗、スピードスター、運転手さん、神様のエピソードは、きちんと描かれていましたし。よっつん、ヴァルカナ、らぶぽん、美影、ニャンタ、地獄の業火たちの過去話も短いながらも、ちゃんとしていたと思います(業火のシリコン話は、いささか問題ありですがね)。
 なのに、最終話の強引なほどの急ぎ足な、まとめっぷり。
 ナナキ怪獣を使役するとか、もう余韻もへったくれも、あったもんじゃない。いっそのこと、スタンド使いならぬナナキ持ち同士でバトルでもさせればよかったんだよ(爆)。

 あれですよ。
 不肖・妖之佑の懸念のとおり、ミステリー・タッチで始めたことが敗因でしょう。
 多少のことならともかく、あそこまで徹底して「さあ、推理してみろ、考察してみろ」と言わんばかりの展開をされて、そのうえで「実は不可思議現象でした」と言われても、納得できるはずがありません。
 心配していたとおり、某『ひぐらし』と同じ轍を踏みましたな。
 創作する側が自身に、しっかりした“縛り”を課さないから、こういうことになる。

 それを無視するとしても。
 なんで、あんなにあっさり、皆が村から帰れるんですかね? ナナキを受け入れるのは、それなりに大変なことなのに。
 特に、らぶぽんは「心的外傷」という言葉に相応しいほど深刻に病んでますから、村から出られるはずないんですよ。村に残って、こはるんの心理カウンセリングでも受けるというのが妥当な落としどころではないかと。殺意を抱くまでに壊れた(と言うか、こはるんに壊された)スピードスターも同様。
 村に残る連中のリスクもありますしね。それを、研究者としては未熟なはずの、こはるん一人に依存するのは、あまりにも危険すぎるでしょう。ソイラテさんと山内さんも、いつまでまともに動けるか怪しいものです。最悪、ナナキ災害になりまっせ。あるいはもっと単純に人間関係のもつれから「そして誰もいなくなった」って結末…………。

 気づけば帰還組がバスに乗っていたというのも、無茶なことで。
 神様の帰還とは状況が違いすぎるし、そもそもあのバスは光宗が村に乗り入れたわけで、どうやって村から出た? いや、出した?

 バス会社の社長が同級生だからと言って。
 居残り組には未成年者もいますから、ダーハラさんは警察を始めとするあちこちから厳しく追及されますよ。帰還組参加者も同じく。歌って帰るほど、先行きは安穏じゃないんだが……。

 超常現象なんだから理屈に合わなくて当然。とでも言うのなら、最初っから理屈っぽく作るな。謎解きや考察を誘うような構成にするな。と言いたいです。こーゆーのは「ミスリード」ではなく「嘘つき」と呼ぶのですよ。
 繰り返しになりますが、作り手自身が自らに、きちんと縛りを与えないから、こういうガタガタなものになるんです。『迷家マヨイガ―』には残念ながら、作り手の一貫した軸というものが見えませんでした。ミステリー調で始まっておきながら、それではあかんでしょ。
 巷には一定の評価をしている声もありますが。少なくとも妖之佑にとっては、ハッタリかますだけかまして最後に放り投げるという、視聴者をバカにした駄作でしかありません(それなりに最終話で上手く〆てくれれば、ここまで言わなかったんですけどね)。

迷い家」(もしくは「隠れ里」)という妖怪現象を独自の解釈でやろうという意気込みは大いに買いですし、そのための「納鳴村都市伝説」や「ナナキ」という設定も面白いと思うのに。
 もったいなかったですねぇ。

 こはるんは「こはる」さんでしたか。予想どおりすぎだ。
 なら、きっとダーハラさんは「原田」さんだな。ソイラテさんは「寺磯」さん、マイマイは「まい」さんってところか。



 期待を裏切られた恨み節を延々と綴りましたが。
 最後に、お願いです。
 ナンコさんを嫁にください。惚れました。