(旧暦 神無月十四日)

 緊張したであろう新横綱の場所とは言え。
 九勝六敗は、ひどかったですね。
 まあ本人が一番こたえてると思いますが。

 問題なのはね。
 そんな新横綱の成績を受けて、横綱審議委員会のお偉いさんがたが、
「綱を締める資格がない」
 だの、
「来場所もこんなだと引退勧告だ」
 だのと鬼の首を取ったように攻撃している、その姿勢にあります。

 日馬富士関の今場所の成績は、たしかに酷い。横綱として恥ずべき数字です。
 いや、九勝六敗は大関でも「情けない成績」と言われるのですよ。

 ですがね。
 そんな「横綱として恥ずかしい」勝ち星しか上げられなかった力士を横綱に推挙したのは、いったいどこのどなた様なのでございましょう?
 ってことですよ。
 政治の世界で言うなら、閣僚の不祥事に際していつも言われる「総理の任命責任」ってやつですね。

 横審は日馬富士関を批判する前に、自分たちの見る目のなさを猛省すべきです。横綱の資格もない力士を横綱にした責任を、まずは取るべきです。
 それもせず、すべて日馬富士関が悪いとする姿勢には怒りすら憶えます。

 はっきり言いましょう。
 横審の老人どもは大相撲を知りません。まったく知りません。
 以前、白鵬関が双葉山関の連勝記録を塗り替えるか!? と盛り上がっていたとき、観覧席を予約していた横審の一人が、白鵬関の黒星を知り即座にキャンセルした行為でも明らかです。あのときの台詞が酷かった。
「もう行かないよ。行く意味がない」
 大相撲が好きな人間なら、まちがっても口にできる台詞ではありません。
 言ってみれば、頭でっかちな文化人どもがグルメ気取りで訳知り顔で料理を批判するのと同レベルなのですよ。
 そんな連中だからこそ、あの黒歴史に匹敵する最悪の不良横綱をも生み出したわけです。思えば、あの責任も横審は取っていませんね。
 さらに遡ると、横綱双羽黒(後の格闘家・北尾光司氏)の廃業(実質的破門)騒動。あれでも双羽黒関を叩くだけで、彼を推挙した責任には一切触れませんでした。つか、そもそも優勝経験ゼロだった大関北尾を強引に横綱に推挙した、その暴挙を棚に上げて、よくも双羽黒関を批判できたものです。

 取り口の汚さを指摘されて「勝てばいいんだよ」と平気で言ってしまう不良横綱(辞めてからも、故郷であれこれ問題起こしてるらしいね、奴は)。
 九勝六敗しか上げられなかった、しかも噂では↑の不良横綱と今でも親密だという新横綱
 ともに責任の大半は実は横審にあります。

 いちおう確認の意味で書いておきます。
 横綱審議委員会は、大関の成績を見て横綱に推挙します。
 日本相撲協会は、この推挙を受けて番付編成をします。
 過去に横審の推挙を協会が拒否した例はないので、横審の意思決定=横綱昇進確定となります。

 お判りでしょうか。
 大関横綱になれるかどうかは横審のロートルどもの胸三寸なのですよ。
 しかも連中に相撲を見る目が皆無と来てる。喜劇すぎます。

 横審なんて無駄……どころか邪魔なものはサッサと廃止して。
 それよりも、協会のカネ勘定や人権軽視を厳しく監視する外部組織を作ってほしいですね。
 それこそが大相撲をダメにしないために必要な改革ではないかと思います。

 力士の横綱昇進は協会だけで決めていいと思いますよ。