(旧暦 如月廿日)

 何度も申していますとおり。
 妖之佑は大相撲を観ていません。相撲は好きですが、あえて観ません。今の日本相撲協会がクソゴミなので、その利となるのを避けたいからです。現役で頑張っている力士の皆さんには失礼しておりますが。
 なので、今場所も観てません。
 が、ニュースや記事などで白鵬が優勝したことは知っています。

 そこで。

 記事に添えられた白鵬の写真を見て「あれ?」と思ったのですよね。
 アナウンサーらしき人と2ショットなので、優勝力士インタビューのシーンだと思われます。そこの場面での白鵬の手、どう見ても拍手しているようにしか思えない。
 あー、またやりやがったな。
 と、すぐに判ったわけなんですよね。
 で、調べると出てる出てる。即座に理事会や横審が苦言を呈したという記事。

 ご記憶のかたも多いでしょう。例のモンゴル人力士の会合での暴行事件。カラオケのリモコンで殴ったってやつね。
 あれの直後の九州場所で優勝した白鵬は、インタビューの中で独断で観客を巻き込んでの万歳三唱を強行。物議を醸しました。
 あのとき、横審からの批判は白鵬の耳にも入っていたはずなんですけどね。て言うか、理事会から厳重注意を受けてますよ。
 反省してなかったようで。それが今回の三本締め。まさかとは思うけど「万歳がダメなら手拍子ならいいんだよな」という開きなおり?

 白鵬の愚行に乗ってしまう大阪の観客は……まあ大阪人なので道理よりもノリ優先なのでしょう。阿呆どものすることに何を言っても空しいだけです(爆)。

 しかし、白鵬については捨ておけません。
 彼のやったことは愚行であり、己の立場をわきまえない越権行為です。

 なぜダメなのか。
 白鵬の三本締めには二つの問題点があります。

 一つは、大相撲の本場所において一介の力士である白鵬に音頭を取る、すなわち場を取り仕切る資格・権利がないということ。これは前の万歳三唱でも問題視された点。
 大相撲をまったく知らぬ人でも、職場の忘年会や、今なら花見などを思い描いていただければ容易に理解できると思いますが。三本締めや万歳、あるいは乾杯の音頭を取れるのは、「お手を拝借」と言えるのは、その場にいるもっとも目上の人か、その代理人です。あるいは、その場に招かれたお客様の中の筆頭。
 大相撲の横綱は番付ではトップですが、立場としては親方の弟子であり、理事会や審判部の管轄下で相撲を取るだけの、いわば一選手にすぎません。まちがっても場のトップではない。にも関わらずの白鵬の行為は、その序列を無視した無礼極まりない行為なのです。
 仮に、仮にあの場で手締めなり万歳なりやるとしても、その音頭取りの適任者は協会理事長か、あるいは横審の首座でしょう。花を持たせる意味で、内閣総理大臣杯を持ってこられた役人さんでも○(総理本人が授与することもあるからね)。
 どう転んでも白鵬に資格など、ないのです。やりたきゃ、自分の部屋か後援会の席でやればいい。
 まあ、その場合でもね。部屋での宴会なら「親方、お願いします」「いや、今日の主役は横綱なんだから」と、後援会の祝勝会なら「会長、どうぞ」「いえいえ、やっぱり横綱のお声で」と、軽く譲り合うのが美しい。外国人には難しい空気かもしれませんが、白鵬は日本での生活が長いんだから……ねぇ。

 などと申しましたが。
 そもそも本場所での勝手な三本締めなど言語道断なんですね。

 ということで二つめの問題点。
 少し長くなりますが。
 大相撲の本場所は、いちおう神事として進められます(神職、いませんけどね)。
 場所前に呼び出しさんたちが土俵を作って。その土俵に、いろいろな縁起物を埋めて神様をお招きする土俵開きの儀式を立行司が執り行う。この土俵開きによって土俵は盛り土から「土俵」となり神聖な場とされます(関係者以外が上がってはダメとか女人禁制とかね)。
 で、十五日間を力士たちが闘っての千秋楽。
 弓取り式のあと、各段の優勝や三賞などの表彰式などなどの式がすべて終わると、最後の最後に手打式という儀式があります。
 その場所の新人力士、新人行司、新人呼び出し、そして新人親方が土俵の上に勢揃いして盃を回す。それから三本締めをする。そして、祓串を持った行司を皆で胴上げ。この胴上げによって神様は土俵を抜けて天にお帰りになる。そして土俵は「土俵」でなく、ただの盛り土に戻ります。なので、手打式のあとに会場のお客さんたちが上がったりするんですよね。
 ざっと流れを申しました。もうお判りでしょう。本場所の最後の最後に三本締めがあるのです。その前に三本締めなど、段取りを無視した言語道断な暴挙なのです。土俵を汚す行為と言ってもいい。白鵬にも新弟子のときがあり手打式をやっているはずなので、「知らなかった」とは言わさない。

 理事会や横審は注意するだけでなく、ダメな理由をきちんと教えるべきです。
 とは言え、今の理事会に頭の良い親方はいなさそうですし、横審に大相撲のことをちゃんと知っている者もいなさそうだし。困りましたね。

 ともかく。前の万歳に続き、これで白鵬は二枚目のイエロー・カードだと思います。
 ここで協会や親方が毅然とした態度を取らないと、それこそ第二の朝青龍になっちまいますよ。

 白鵬が稼ぎ頭だから強く言えないのかねぇ。
 その反動で、休場続きだった稀勢の里関には容赦なかったのかなぁ、もはや稼ぎに貢献しない貴乃花親方を追い出したのかなぁ。それも酷い差別だよなぁ。

 変な例えですが。
 裏側の事情は、この際、脇に置いときましてね。
 フロントの意向に添わないと人気レスラーであっても解雇すらいとわない、という点において。
 大手プロレス団体の姿勢は日本相撲協会より立派だと思ってしまいます。はひ。

 そもそもですが。
 優勝インタビューを表彰式の中でやらなきゃ、白鵬に傍若無人する隙を与えずにすむんですけどね。
 以前は、結びの一番で幕内優勝が決まった場合、支度部屋に戻って表彰式に向けて髷を整えている優勝力士にNHKが代表でインタビューしていましたよ。それに対して関取が汗を浮かべてゼエゼエと答えるのが臨場感あって良かった。今の表彰式内での土俵下インタビューは雰囲気と段取りをぶち壊してます。
 NHKの勝手な都合なんだろーなー。ゼエゼエ声では視聴者に判りにくい、表彰式の後では放送時間内にできなくなる、ってなことで。NHKの無茶な要求など協会が突っぱねりゃよかったのに。もー。

 結論。
 日本相撲協会がすべて悪い。
 白鵬は、しきたりを守れないならプロレスに転向してマイク・パフォーマンスやればいいさ。