(旧暦 卯月廿六日)

 別に芸能人のスキャンダルに興味などないのです。
 ただ、この人の今回のケースは単なる「不倫」では留まらず、「複数のファンと」という点に気持ち悪さを憶えます。これじゃ、いわゆる「ヤリチン」ですよね。
 いや、それでも別に芸能人のすることですから、基本的には、どーでもいいのです。各自ご自身のことですから好き勝手になさればいい。
 しかしながら。
 この人、二枚目俳優というイメージをぶち壊すリスクを怖れずに『ガキ使SP』でお笑い芸人ばりの体を張ったギャグをかましたり、座敷童を求めて全国飛び回ったりしているじゃありませんか。そのギャップに好感を憶えた視聴者は多いと思います。
 そこにきての、この文春砲。ご本人も認めているそうなので誤報ではない。
 となるとね。
 座敷童探訪は女性視聴者に自分を売り込む目的のものであり、実は座敷童なんて信じてないんじゃね? 興味があるのは人間の♀(の股間)だけなんじゃね? という不信感が、どうしても持ち上がってくるのですよ。
 あれだけ仲良かったはずの座敷童さんたちの御加護がなかったってことは……そういうことなのかもしれませんね。





 都心でもプロパン使ってるんだ、まだ。

 もう随分と昔のことですが。
 自宅から相当に離れた場所でのプロパン爆発事故で、物凄い爆音が聞こえたんですよね。雷鳴もかくやというほどに。十数キロどころじゃなかったと思う、距離。
 ガスの破壊力に驚いたものですよ。いや本当に怖いったら……。

 しかも、今回のが事故ではなく事件がらみということに、びっくりです。
 考えたらガスの充満したボンベが自宅の外壁に引っ付いてるなんて危険ですよねぇ。わざと衝突する自爆テロも可能なわけですし。もう昭和は二つ前なんだから、そろそろ仕様変更を考えるべきではないですかね。





 ウイルス研究の必要性は理解できます。そのために施設の安全管理をあれこれやっていることも理解できます……が。
 例え設備が完璧であったとしても、それを扱う人間は完璧にほど遠い不完全生物です。ヒューマン・エラーをどう予防するのか、それがしっかり確定しない限り、近隣住民のかたがたが不安になるのは、あたりまえです。「想定外」という言葉で責任逃れするのが見え見えの、テロや直下型地震も怖いし。
 原発問題で、よく言われるじゃありませんか。「そんなに原発が好きなら、電力消費してる都心のド真ん中に作れよ。安全なんだろ?」って。
 同じことです。あくまでも「安全だ」と言い張るのなら、エボラを持ち込むと言うのなら、厚労相厚労省幹部、所長たちは子や孫を連れて、国立感染症研究所に隣接した家に引っ越すべきです。
 それをしないで「安全です」を連呼しても説得力なんてカケラもありません。

 離島とかに作れないのかなぁ、研究施設。
 あー、でも離島だと、かえってテロと言うかウイルス泥棒の標的になるか。
 研究が必要だというのは本当によく判る話なんですが。とにかく、やりかたが近隣の人たちに対して一方的すぎますね。冷淡と言うべきかも。

(旧暦 卯月廿五日)

 この会社、だいぶ前にTV番組で紹介されていた記憶があるなあ。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1905/27/news005.html

 まさに究極の、そして理想的なフレックス・システムですね。労働者側だけでなく、経営側も無理をしていないのが素晴らしいと思います。創意工夫の賜物でしょうか。
 たいていは、収入を優先してプライベートを殺すか、プライベートのためにビンボに耐えるか、ですからね(社畜さんや売れない芸人さんが判りやすい極端な実例)。そのシーソー理論をぶち壊してくれたのは偉業と言ってもいい。
 どんどん後続が出てきてほしいですね。それと同時に、社員を力で服従させ搾取するしかできない無能な経営者どもには絶滅してもらいたい。
 こーゆーホワイト会社がウチの近所にあったら、ぜひぜひお世話になりたいと思う今日この頃です。





 そう言えば、自民は「失言防止マニュアル」とやらを所属議員に配布したばかりなんだよな。
 それでも言っちまうという超マイペースぶり。ああ、そう言えばネットセキュリティ担当相のときに「PCを使ったことがない」だの、五輪相についても書類に目を通していなかったんだっけ。つまり、せっかく配られた防止マニュアルもチラ見すらしてなさげ。
 過去に同様の趣旨の発言で叩かれて謝罪・撤回するに至った政治家が、わんさかいるというのに、それすら知らなかったのかな。
 学習能力が皆無なのか、それとも脳の病気なのか。
 いずれにせよ議員を続けるに足る状態ではないんじゃないかな。サッサと辞職して療養でもなさるべきでしょ。無能な議員が減れば、その分だけ税金の無駄遣いが減るわけですし。

(旧暦 卯月廿四日)

 たった一人で、包丁たった二本で、あれだけのテロを実行できる。

 日本には銃刀法という、国際的にもかなり厳しい武器コントロールの法律があります。他国では玩具扱いの空気銃であれ、生活用品の刃物であれ、この法律によって管理されます。
 さらには、銃刀法には抵触しない物でも軽犯罪法の拡大解釈つまり現場の警察官の裁量次第で、いくらでも規制できる構造になっています。建前はともかく実質的な社会主義国家である日本行政の面目躍如と言っていいほどの厳しさ。

 にも関わらず、こんな悲惨なテロ事件を防ぐことができないという現実。

 以前、アキバでのテロ事件を受けて、アキバで主にヲタクを標的にした“刀狩り”が行われていたそうですね。銃刀法に抵触しない小型のツール・ナイフつまりキャンプ用の十徳ナイフの類を取り締まりの対象として、次々にとっ捕まえて書類を作った。
 防犯のためというより、警官が「仕事してますよ」アピールのためのパフォーマンスにしか思えないこの時間と労力の無駄遣いによって、別にテロが減ったわけでもなく。

 今回の事件を受けて、発想の貧弱な役人たちは、包丁に対する規制を考えているような気がしてなりません。
 いや、今まででも、プロの調理師が自分の包丁を持ち歩いていて(もちろん剥き出しじゃなく)捕まったという話も聞きます。歌にある「包丁一本サラシに巻いて」という行為は、点数稼ぎしたい警官にとって格好の餌食というワケ。
 ピッキング犯罪のせいで、今ではマイナス・ドライバーの携行は問答無用で捕まるそうですね。私も車のトランクに工具箱ごと入れっぱだから、ヤバいかな。バイク乗りさんとか、どうするんだろ。出先でパンクしたとき、これがあるとタイヤ外してパッチ修理ができるんだが(古いスポーク・ホイールだとタイヤはチューブ式なんだよ)……ピッキングのことからすると、専門工具であるタイヤレバーですら睨まれるかもしんないし(昔、バイクに乗ってたとき、タイヤレバーをパッチや空気入れと一緒に積んでて助かった経験があるんだよね)。

 叱られるの覚悟での例え話を申します。
 仮に日本で拳銃の売買を合法化したとして、それほど通り魔犯罪が激増するとは思えないのですよ。ガラクタはともかく、まともな銃であれば、北米で数百$から軽く千$越える品も多々。これを輸入したとして、国内販売価格は倍どころでは済まないでしょう。一丁で十万円を越えるようなアイテムを、そうそう通り魔が使うとは思えません。
 実際、北米でも、物盗りが使う銃器にはガラクタが多いそうです。俗に「Saturday Night Special」と呼ばれる「安かろう悪かろう」なガラクタ銃。しかも、質流れ店のガタガタな中古を入手するわけです。タバコ代にすら困っている連中ですから、必然的にそうなる。まちがってもS&Wやコルトの高級品など使えるはずがない(盗品でない限りは)。ゆえに登録銃の規制は北米において、たいして効果を発揮できていないという考えもありますね。
 銃刀法のある日本でも闇銃はかなり流通しているという怖い話がありますが、拳銃による犯罪は主に、そっち系の組織同士の抗争などで起こっている印象。要するに闇銃はメッチャ高いから、喰い詰め者が自棄になって犯罪に使える代物ではないという理屈ですね。
 なら、頭の壊れたお金持ちが、という例は、すでにあるでしょう。お金持ちならライフル銃や散弾銃くらい持ってますからね。それを持ち出して、例えば女房の浮気相手を撃つなんて事件、わりと聞くじゃありませんか。なので仮に拳銃を合法化しても、それが高価である限りは、さほど事態は変わらないように思えるのですよね。

 別に、日本で拳銃を合法化しろと言っているわけではないのです。むしろ私は今の銃規制に、基本的には賛成派です。
 そうではなく、今回の事件によって、もしも刃物への規制が厳しくなったとして、効果があるのかどうか疑わしいと思っているだけです。 
ヨルムンガンド』のキャスパーが言った名言、
「航空兵器がダメなら海戦兵器を売ろう。船がダメなら戦車を売るよ。銃を売ろう、剣を売ろう、ナタを売ろう。鉄を封じられたなら、こん棒を売ろう」
 が、すべてを表現してくれています。
 通り魔は、手元に包丁があれば、それを掴む。無ければ近所の店で吊しの安物を買う。包丁が見つからなければカッターナイフを。それも無ければ鉄パイプか角材でも使ったでしょう。あるいは千枚通し? その気になればシャーペンだって鉛筆だって人を害せます。弱者相手なら拳や足も凶器そのものでしょう。それら日用雑貨品すべてを規制しますか?

 刃物を厳しく規制して不審尋問をどんどんやれ。
 というのでは、おそらく何も解決しないし予防策には程遠いと思うのです。
 むしろ、真っ正直に暮らしている人たちの生活が不便になるだけでしょう。包丁買うのにマイナンバーが必要な管理社会になったらと思うと、ゾッとしますよ。

 こういうときこそ、本当の意味で頭の良い人たちが知恵を出し合うべきだと思います。
 頼りにしていますから是非とも、お願いします。m(_ _)m

下弦、九星陰遁始め、甲子、最乗寺道了尊大祭 (旧暦 卯月廿三日)

 OPの不意打ちに、やられたわ。
 一気に、あの頃に引き戻されたよ。

 影山……太ったな。『カブト』本編での影山は根岸の計略にはまって人間からネイティブ化、兄貴に頼んで引導を渡して貰ったはず。その死者をコピーしたというのか、ワームが。それは新説だな。そうか、太ったのは過去の死者を模したために擬態が不完全だからだ、そうに違いない。
 一方の矢さ車さんは、この十年以上をあの格好で放浪していた? それも凄すぎ。
 あの気難しいガタックゼクターが今でも加賀美(良い方向での「刑事さん」って感じになってましたね)を見捨ててなかったのは安心しましたよ(笑)。

 これまでの疑問をツクヨミが、ちゃんと言葉にしてくれました。アナザーが生まれてもオリジナルのライダーは健在という矛盾。
 そして、加賀美が訊いた「渋谷は、いつ、あんなに復興したんだ?」という疑問。
 さらには、士の言う「だいぶ時空が歪みだしている」。

 ようやく核心に触れてきた感じかな。
 そもそも、平成ライダーでも『クウガ』から『キバ』までの第一シリーズは、それぞれ別世界の物語です。いわゆるパラレル。この事実は『ディケイド』にて「九つの地球」という言葉で明示されています。
 にも関わらず、ソウゴたちは、たっくんや草加、真司や大久保編集長、剣崎や相川、トドロキさんや京介……などなどに出会ってきました。士のように光写真館での世界移動をしたわけでなく、普通に出会った。この時点ですでに論理的矛盾が生じているワケ。
 で、今回も加賀美@ガタックやら地獄兄弟@ホッパーsやらと、渋谷隕石の大災害が起こっている前提でのライダーたちが登場。ZECT の存在も加賀美が明言しました。
 でも、ソウゴたちの世界では、渋谷隕石など落ちた過去はない様子で渋谷は何事もなく。
 なので、おそらくソウゴを取り巻く人々の記憶には渋谷の壊滅もワームの跋扈もなく、一方で同じ時空にいる加賀美たちにとっては渋谷隕石もワーム事件も事実であり、またライダーに変身できることから ZECT の存在も証明される。つまり、異なる歴史が同一時間軸上に存在するということ。
『ディケイド』であれば「士があちこち移動した」で済むんですけどね。ソウゴの場合は、あっちから事件があれこれと舞い込み、それに伴って歴代ライダーたちもソウゴと邂逅する。
 そう。言ってしまえば、ソウゴが時空の収束点になっている状態。『ジオウ』の世界に、別々のライダー世界が集合している。時間軸が束ねられているのなら、ライダーの力を奪われたとしても、時間の流れが正常でないのだから因果関係も生じず、オリジナルに変化なしでも不思議ではない。剣崎や翔一が依然としてライダーだったことへの、いちおうの解答となりますね。

 ソウゴが中心と言いましたが、ひょっとするとツクヨミかもしれませんね、時空の収束点。
 ヒロインこそがキーマン。考えたら、これは基本です。
 ずっと奔走していたと見える士は、ある程度、掴んでいるようですが。

 影山の罠にかかったふりをして、まんまと目的を果たす。しかも、ウォズさんの自主的行動をも計算に入れたうえで。
 ソウゴの王様スキルが着実に成長してますね。
 やっぱり、この世界って魔王を育成するために用意されたものなんじゃないのかな。だから、歴代すべてのライダーと事件が一緒くたになってるだけで、もともとは存在しなかった世界……とか。

 そして。
「キャストオフ」の原点は、これです。断じて肌色率を高くすることではありません。
 いやー、マスクドフォームは、やっぱり良いですねー♪

 予告編の士がコックなのに爆笑した。
 おまえ、まだそんなこと、やってんのかい。
 いや、まあバスの運転手やってたけどサー。





 タイトルって『ちゃんちゃんこの呪い』でしたっけ?

 アニエスの前口上まで頂戴して仰々しく格好良く登場したラ・セーヌが瞬時に三枚目キャラへ転落するとは思いもせんかった。
 で、三流モンスターとして鬼太郎に、いいようにあしらわれ、最後は石動に喰われてしまう。
 て言うか石動よ、美味しいトコ取りのハイエナ根性はまあいいとしても、犠牲者を減らす努力してないだろ。ラ・セーヌの犯行そのものは放置してたろ。ざけんなよてめー!

 ようやく四将の話に戻ったかと思いきや、バックベアード様復活の予告まで。
 四将の脱獄とバックベアード様の復活計画とが関係しているということかな。日本側の手引き者は、いよいよ、ぬらりひょんかもしれんな。

「カミーラが世界中の吸血妖怪に命じている」とは、さすが最上級の貴族。
 彼女の上となると、もうドラキュラ伯くらいしか、いないからね。

 主に忠実なマンモスが人間というのだけは納得いかん。
 あいつ、人にしては強すぎやろ。

 予告編。
 シルエットになってるがな。
 半魚人が何か捧げている階段の上のメイドは……あいつだかんな。

八せん終わり、三隣亡 (旧暦 卯月廿二日)

 トランプ大統領が大相撲を観戦したい、というのは何も不思議なことではなく。海外の V.I.P. が大相撲観戦に国技館を訪れるのは、よくあることです。むしろ、どんどん来て観て知っていただきたい。
 ただ。座すべき枡席に椅子を並べる光景は異常という以外の表現が見つかりません。あれは例えば、茶室に土足であがって、持ち込んだ椅子に座るのと同レベルの失礼極まりない行為です。日本文化に興味のある人物の行動ではなく、珍しいものを上から目線で見物するときのそれです。
 大統領を護衛すべく周囲をSSが取り囲むのは当然のことですが、そのために大量の枡席を無駄にするとか観客に不便を強いるとかは愚行です。ま、協会がやったというよりは、内閣から強硬な要請が協会へ行ったんでしょうね。安倍なら、このくらいの愚行、無自覚に平気な顔でやるでしょ。何せバカだから。
 国技館に貴賓席があるのは何のためなのか、安倍は理解していないらしい。理解する知能もないのでしょうが、日本人なのに枡席に椅子で座るなんて、トランプ氏とは比較にならないほど業が深いですよ。日本人の恥さらし総理が!
 トランプ氏が「間近に観戦したい」と言うなら、警備上の不備を理由に断ればいい。せめて、「枡席では座布団に尻を置くもの」という観客側が守るマナーを理解してもらうべき。それも含めての日本文化でしょ。
 そもそも大統領に土俵の遠くで相撲観戦してもらうことは失礼でも何でもありません。高級な劇場にあるロイヤル・ボックスなんて偉い人しか入れないわけですし(て言うか、そもそも国技館の貴賓席はロイヤル・ボックスを真似たものだろ)、そのためにオペラ・グラスというセレブなアイテムも誕生したわけですし。
 貴賓席でオペラ・グラスを使ってもらったほうが、成り上がり者のトランプ氏に貴族気分を味わってもらえたんじゃないのかな。

 国技という日本文化を守るための公益財団法人であるなら、きちんと筋を通してほしかったですね。心配なら、内閣側の恫喝的かもしれない要求を録音しとけばいい。世論を味方に付ければ無敵でしょうに。
 今回の件で、トランプが下品な成金であることが、さらに確定したと思います。同時に、安倍のバカさかげんも、さらに周知されたかと。

 なお。
 座布団を投げるのは、トランプ氏訪問のあるなしに関わらず、NGな行為ですからね。
 場内放送でも「座布団を投げないでください」って、いつも言ってるっしょ。そこは「せっかくの千秋楽で座布団を投げられない」とした各記事こそがバカ丸出しでしたね。情けない。

鶴岡化けものまつり (旧暦 卯月廿一日)

 f:id:mitaayanosuke:20190528040755j:plain
 『幸せカナコの殺し屋生活』1
  若林稔弥/星海社コミックス


 とある社畜さんは過労死ののち、三百年にも渡る悠々自適な理想的生活を手に入れましたが。

 こちらの社畜さんは、手遅れになる前に、ちゃんと逃げた。そして転職した。という大正解の選択。
 転職先をまちがえた以外はな(笑)。

 引きこもり不登校ネトゲから知識を得、人の目が怖くて自然と気配を消すスキルを会得し、毎日毎日終電に乗れず深夜を走って帰宅して培われた体力。
 気づけばレベルMAXならぬ、その道の天才になっていた主人公カナコさん。
 社長さんから熱く口説かれては、そりゃ嬉しいですよね。生まれて初めて人から必要とされたんですから。

 まあ言ってもギャグ漫画ですから♪

 たった一ヶ月で、そこそこできるプロの殺し屋になってしまうカナコさんが、なにげに怖いです。
 一人目を殺ってボーダーを踏み越えたのでしょうか、二度目以降は標的の命が軽いこと軽いこと。ちょいとイラついただけで殺意が実行に移るあたり、マジで怖いですカナコさん。

 まあ言ってもギャグ漫画ですから♪

 殺し屋と言いながら、モンスター・クレーマーだのヤリチン大学生だの万引き主婦だの痴漢リーマンだのと、標的の悪人度がセコいったら。
 日常で誰でも遭遇しそうな迷惑人間をカナコさんが殺るという、まさに日常に潜む闇。

 そんな闇を感じさせない軽い作風が素敵ですね。
 普通なら、万引き主婦にも子供がいるだろうし、痴漢リーマンにも奥さんや子供がいるだろうし、そんな遺族は後をどう暮らすのか、お父さんお母さん女房旦那が実は万引きだの痴漢だのとバレた遺族に対する世間のバッシングなども想像すると、カナコさんの罪は重いんですよね実は。
 でも、それを思わせない工夫として、標的には瞳を描かない。その結果、標的は人ではない“人でなし”“人間もどき”と読者が無意識に思ってしまう。なので標的の背後を気にしなくていいワケ。

 まあ言ってもギャグ漫画ですから♪

 ストーリと関係ないところでの、カナコさんの動物使いぶりが、また楽しいです♪
「ムリムリムリムリカタツムリ」なんて、ほんの序の口ですよね。
 ロップイヤーは両手で拒絶の意志を示しますし、オオイヌワシはちゃんと当たり屋を睨んでますし。
 しくじリスに至っては、盗撮スマホをカナコさんより先に捕捉、カナコさんの発砲と同時に散開する始末(笑)。
 おったまゲンゴロウや、ぶっころスフィンクスインパクトも素晴らしいです。

 まあ言ってもギャグ漫画ですから♪

 暴のチンピラと区別つかない、いかにもな外見の刑事に目を付けられて、いよいよ物語が動きそうなところでの二巻に続くは、やられますね。
 つーか、そもそも社長の入社テストがリスキーすぎましたね。あれじゃ、わざわざ紐付けするようなものです。
 刑事によって徐々にカナコさんの裏の顔が剥がされていくのか。はたまた、カナコさんに一目惚れした刑事が逆にカナコさん陣営に鞍替えするのか。予断を許しません。

 まあ言ってもギャグ漫画ですから♪

 個人的にはですね。物語の最後の最後。
 逮捕されて「オロオロオロオロヤマタノオロチ」。
 裁判にかけられて「マジマジマジマジアルマジロ」。
 そして処刑台で「ウソウソウソウソコツメカワウソ」。
 で暗転。
 なんて結末、どうでしょ。

 書店で探しやすいカバー絵もすばらっですね。
 二巻のカバー絵、どうするんだろ?

庚申 (旧暦 卯月十九日)

 f:id:mitaayanosuke:20190528035738j:plain
 『ダンジョン飯』6、7
  九井諒子/ハルタコミックス


 第5巻も、かなりの山盛りでしたが。
 6巻7巻も、なかなかですね。もはやギャグ漫画とは言わせない。

 ライオスの「すごくかっこいい」という大馬鹿台詞は置いときまして。
 魔物として皆の前に立ちはだかったファリンの強さがハンパなく。まあ炎竜の力に加えて、ファリンの魔法ですからね。そりゃヤバい。さすがのシュロー配下でも歯が立たない。

 そう、シュローの一行。侍と忍者の部隊ということで日本を意識した、ますますもってRPGに出てくる東国って感じですね。扉絵によれば、ライオス一行が最初に炎竜と出くわすまでも、ちゃんと主であるシュローを護衛していたようで。肝心なときに出てこなかったのは、あれか、直前あたりでダンジョンの迷路か何かではぐれた、ってトコかな。まあ、いたとしても、マイヅルさんはシュローしか助けなかっただろうけど。
 で、あれこれあって険悪になったライオスとシュローは青春的殴り合いによって、いちおうの和解。

 ここで意外だったのは、例のカブルーの言動でした。ライオスの化けの皮をはぐ、とか言っときながら、冷静にライオスのことを見ており、しかも怒るシュローを巧みに制する。カブルーがあれこれ気遣いをしなければ、メチャクチャになってましたね。
 カブルーの行動あれこれの根底は、7巻で西のエルフたちと対峙するときに明かされました。
 魔物によって家族と故郷を失った。だから魔物は嫌いだし苦手。悲劇を繰り返さないためにも迷宮はすべて封印すべき。でも、魔物がトラウマな自分では迷宮攻略は無理。なら腕の立つ冒険者の攻略を支援しよう。
 という、かなり真っ当な思考回路なことに、びっくりしました。その過程で変わり者ライオスのことを知り、実はあれこれ相当回数アプローチを繰り返してはスルーされていたという(苦笑)。
 だとすると、仲間に見せたあの邪な表情と「化けの皮」という悪意ある台詞は何だったのかと疑問に思います。作者の中でキャラが固まりきっていなかったのか、あるいは仲間に対しても全部を語らなかったのか。が、今回の事情は心の中の台詞なので、本当のことだと思います。カブルーは自己利益そっちのけで地上を守ろうとしている。今はライオスが支援するに足る存在かどうかを吟味している段階。
 この間、宝石類や麦の件は水に流したようですね。チルがマルシルに「黙ってりゃ判りゃしない」と言うのを離れた所から、カブルー側のハーフフットが聞いてますから、後々もめることになるかもですが。

 さて、ファリンを助ける方法ですが……どうやら、なさそうです。
 7巻で、アセビあらためイヅツミが半人半獣であることにからんで。
 マルシルの説によれば。炎竜に術がかけられていたため、本来なら混じらないはずの人とドラゴンの魂が混じる事態となってしまった、とのこと。
 魂を卵に例えた話からすると、いったん混ざった魂を分離するのは不可能らしい。つまり、ファリンは狂乱の魔術師から解放され正気に戻ったとしても竜の体を自在に操る獣人として生きるしかなさげ。ライオスの夢に出てきたファリンは、このことを言っていたのですね。
 もはやギャグ漫画とは言わせない、ハードな展開となってきました。

 もちろん、本来の魔物食話も健在で。

 夢魔を蛤みたいな貝にしたのは流石ですね。伝承によると蜃気楼は海底に棲む巨大蛤の吐く息だという。蜃気楼→幻→夢、という連想で、この設定になったのでしょう。素晴らしい思いつきですね。
 なお、そんな貝の魔物が実はドラゴンの一種だとしたのは、法螺貝からのものだと思われます。法螺貝が成長すると竜になるという伝承があるのですよ。本当に、よく調べ込んでるなぁ。
 この回の扉絵のマルシルが破壊力ハンパない!

 食べ物ではありませんが、シェイプシフターの話も面白い。
 ライオスたちと一緒に読者も偽物探しできる構造になってますからね。いや本当に丁寧な仕事です。
 あー、あの最初に偽物判定されたマルシルは、たぶんセンシのイメージだと思う。やたら黒魔術を連呼してたからサー♪
 マルシルが怒ってた、ファリン似のライオスは、そんな反面、実はマルシルのイメージでしょう。つまりマルシルはライオスのことを「ファリンのお兄さん」という認識でい続けているんだと思う。
 最後に出てきた本体は、まんま九尾の狐ならぬ九尾の狸。そりゃ幻覚操るの得意だわなー。
 あれ? そう言えば、シェイプシフターの死体は解体して調理せんかったのかな?

「やっぱお前 聞こえてたんじゃねーか」
 は、まんま“見える人あるある”のアレですね。怖い怖い。
 彼らは、やはり黄金城の住人だった人たち。その人々が住まう村で、事の真相が明かされました。
 デルガル王の孫であるヤアドの言うことにゃ……って、孫? 子はどうした? まあ、いいか。
 やはり、あの道化だった黒エルフこそが狂乱の魔術師であり迷宮を作って人々の死を禁じた張本人。その名をシスル。
 ケン助の柄がダンジョンクリーナーの影響で獅子顔になり、それこそが黄金城の守り神である翼獅子。あれは、たぶんクリーナーのせいで変形したんじゃなく本来の形に修復されたんだと思う。だって、そもそもケン助を持っていたのは、まさに翼獅子を象った甲冑だったからね。動く鎧が年月のせいで型崩れでもしてたんでしょ。
 ヤアド、無事だといいのですが……。

 まさかスカイフィッシュを持ってくるとは思いもせんかった、センシの過去エピソード。
 これも上手いよなぁ。チェンジリングなる代物を巧みに使った話で、唸らされました。
 しかし、センシの年齢が判らなくなったな。坑夫時代に三十六歳で青年というよりは少年に近い印象。同じドワーフのナマリが六十歳で、こちらは、いちおうまだ娘さんって年齢だと思われ(カブルーの視線にリンが怒ってたからね)。人間換算すると、坑夫センシは十五、六歳で、ナマリは二十六、七くらいか? そこから強引に導き出すと、今のセンシは中高年で「おっさん」とも「じぃさん」とも言われるようなので、人間換算で六十前後? ドワーフ年齢で百四、五十くらいになるのかな?
 けど、この大雑把な計算だと坑夫組が迷宮を発見して全滅したのが百年ほど昔のことになる。センシは魔物食の研究を十年来やっていると言ってたから、九十年かそれ以上を無目的に迷宮周辺でブラブラ過ごしていたことに……マジか?
 ちょぉっと計算に無理があるのかな。もう少し材料が欲しいところ。
 センシがケルピーを「アンヌ」と呼んでいた理由も、ここで回収。いちいち丁寧ですな。
 チルが世帯持ちだったことにも、びっくりだ。

 一行が、しっかりチェンジリングを踏んで、8巻に続く(笑)。