臘日 (旧暦 師走七日)

 年明け早々の大地震で、触れるタイミングを逃していました。
 坂田利夫師匠、どうか安らかに。

 大ベテランになってなお「アホの坂田」として芸人活動を続けておられた。
 凄いことだと思います。
 たいていの男芸人連中は、少し売れるとすぐ「俺ってカッコいいだろ」を前面に押し出すようになるところを、この人は決してやらなかった。

 今の軽薄男芸人どもに終生、阿呆キャラや馬鹿キャラを続ける覚悟があるか?
 と思うと、最近の男芸人の大半がつまらない、その理由も見えてくるような気がします。

 判らないかな。
 芸人が笑われキャラに徹するってのは例えば、悪役レスラーが「応援なんか要らない。ブーイングこそ俺にとって声援だ」と徹底するようなもの。悪役レスラーが「実は礼儀正しくて腰が低くて良い人」って明かされるのは興醒めでしかないわけで。
 と言えば、判ってもらえる?

 プライベートで、いくら格好良くても問題ありません。つか、ぶっちゃけ、どうでもいい。
 でもね。
 笑われてナンボのお笑い芸人が、ちょっと売れただけで仕事で二枚目気取るなんて、勘違いも甚だしい。
 そんな道端の石ころ芸人なんて観たくない、要らんわ。

 比べると女性芸人さんたちは覚悟が違いますね。
 本当に、仕事では“女”を捨てて芸に向き合ってる。
 それなりのキャリアを積んでいても、格好良くあろうなんて、ちっとも考えてなさげで(そのせいかどうか、格好良さアピールしてた女芸人は、すぐ表舞台から消えますよね。あるいは引退するか。たぶん、そもそもがお笑いを好きじゃないんだろうな)。

 おいコラ男芸人ども、負けてっぞ!
 ちょっと売れただけで即「ええかっこしい」な連中は要らないね。

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 ↑を書いた後に、エスパー伊東さんの訃報を知りました。
 このかたも、芸について常に真摯で真剣な姿勢を貫いたかただと思います。
 ただ……身体を張った芸が身体を蝕んだのであれば、たいへん複雑な気持ちにもなります。
 合掌。