藪入り、閻魔詣り、一粒万倍日、不成就日 (旧暦 師走六日)

 額に関係なく、ご自分のお金を被災地に寄付するという行為は素晴らしいの一言です。
 例えそれが偽善であっても、やらない人より遙かに立派。

 ただね。
 著名人が自身のSNSに「**円寄付した」と書いたのを見て、世間が「格好良い」とするのは、それは違うんじゃないかな。
 立派であることは間違いありません。本当に立派です。
 でも、格好良いか?
 わざわざ金額まで言うところは、ただの自慢じゃね? むしろダサくね?

 本当に格好良いのは、不言実行です。
 寄付して、しかも黙ってる。
 例えば、交通遺児に寄付し続けている「月光仮面」や、かつてクリスマスに児童相談所へランドセルを贈った「伊達直人」などが、そうです。匿名で慈善活動することに勝る「格好良い」などありません。

 著名人がわざわざ「寄付した」「募金した」と、ご丁寧に金額添えて公言するのは、売名とまでは言いませんが、人気取り即ち宣伝効果を狙っていると言われても否定などできないでしょう(否定するなら、そもそも黙っとれや)。
 つか、これは明らかに宣伝です。
 同じ額を広告代理店に渡して、自分のイメージアップ広告を依頼するより、ずっと効果的。被災地にお金が行って、自分も好感度アップ、という Win-Win の手法。
 重ねて言っておきますが、立派な行為です。被災地が助かるのですから素晴らしい善行です。否定も批判もしません。私には、そんな資格などございません。
 でもね。打算している時点で、格好良くはない。ってこと。

伊達直人」と言えば、この匿名の元ネタである名作『タイガーマスク』。
 主人公・伊達直人も、タイガーマスクとしての寄付は、していなかった。あくまでも名乗らず各地の施設に寄付やプレゼントをした。古巣の、ちびっこハウスには「大金持ちのキザにいちゃん」としてあれこれ援助した。
 劇中で大門が高岡拳太郎に言った台詞にあったように記憶してます。「タイガーとして寄付すると、それは売名になってしまう。だからこそ、寄付するのは伊達直人あるいは無名の誰かでなければならない」と。

 著名人ご本人がSNSで自慢することに何も思うところはありません。お好きになさればいいだけのことです。外野がヤイヤイ言うことではない。
 ただ、それを「格好良い」と称賛している連中のことは、ぶっちゃけ「チョロすぎる」と思います。はい。