(旧暦 霜月九日)

 一昨年に亡くなったうちの父親が、そうだったんですが。
「透析すれば元の生活に戻れる」などと、人工透析を手術のような治療と勘違いする人も少なくないとか。

 人工透析は「悪化のスピードを遅らせる」ものであって、「悪化を止める」ことも、まして「改善する」こともできません。
 ですから、透析に至らないように日頃から健康管理するのが一番なのです。

 透析を開始した時点で、時間経過に伴う症状の悪化は避けられません。うちの父親も目に見えて弱っていきましたよ。
 当然のこと、他の病気(特に感染症)に対する警戒レベルは、健常者とは比べものにならないくらい厳重となります。長年の透析で抵抗力が極端に低下してますから。コロナ禍もあり、最後の入院では一度も面会できずに終わりました。

 繰り返しますが。
 透析に至らないように心がけるのが最善なのです。

『ハンチョウ』の、大槻脳内会議を武力制圧したコンビニ大槻の回で。
 心の健康のためには「たまには無茶してもいい」という言葉がありました。
 それはそれで正しいかもしれません。健康食ばかりではストレス溜まりますから。

 とは言え、やはり「たまに」であって。
 暴飲暴食を日常にするのは、例え若くても、やるべきではない。

太陽にほえろ』の若手は朝から晩まで走らされる。新人は皆、最初はゲロ吐く。
 と、長さん役の下川さんが言っておられました。
 そんな環境で着実に太っていったラガー刑事の食生活、摂取カロリーは、想像するに恐ろしい数値だったことでしょう。
 殉職回の撮影本番でズボンが破けた、と笑って喋ってる場合ではなかったんですよ。

 あの頃から、例えば事務所とかが早め早めに体調管理を厳しくしていれば。
 というのは後の祭りではあるのですが。

 61歳は早すぎましたね。

 思えば、双羽黒の北尾氏も享年55歳という若さでした。
 北尾氏の場合は大相撲という特殊な環境で育ったことも一因ではあるでしょうが。
 少なくともプロレス引退後からだけでも、減量に努めたら別の世界線もあったかもしれません。

 若いうちは無理が効く。
 なんてのは嘘ですから。大嘘ですから。
 若いうちのツケは、後で必ず怖い怖い取り立てが来るんです。

 合掌。