小正月、臘日 (旧暦 師走十三日、松迎え、煤払い)

 拳銃のグリップと言えば。(いきなりだな
 その素材は樹脂、ゴム、木、貝、鹿角、象牙……などなど。
 ポリマー銃が主流の今だと、ほぼすべて樹脂グリップですが。つか、レシーバーとグリップが一体化してるから樹脂必然。

 で、モデルガンに話を移しまして。
 デフォで付いてきたのは、たいていプラ。これが安っぽくて困ります。
 しかも、かつてのコクサイなど、買った翌日に割れたりするのも少なくないので、本当に涙目。自分の体験からしますと、コクサイのは特にオイルに弱いらしく、シンプルな板の形でない立体的なヤツは、ほぼ百パー割れます。衝撃を与えずともオイルの浸食で自然に割れる……と言いますか、崩壊します。感覚的にはウレタンの加水分解に似てる。「バキッ」とか「パキン」とかじゃなく、「モロリ」って感じでもげます。妖之佑の所有している M19 、M29 、そしてパイソンと、みーんなもげましたよ。だから無理して木グリを買ったものです。

 こんないい加減でも通用していた、あるいは顧客の優しさに胡座かいてたことも衰退の一因なんじゃないですかね、モデルガン業界。
「値段が高いクセに、まともに動かない」という一般ユーザーの声に対して、当時の『Gun』誌に連載を持っていたジャック天野(ネモ忠)氏は「モデルガンの製造現場を知らないから、そんな酷いことが言える。皆さん真剣に組み立てて調整しておられる」と反論してましたが。ネモ忠さんこそ、市販品の実態を知らずに語っていたわけですよ。金型が古すぎてパーツ同士がガタガタになってる物は山ほどありましたし。M19 と M29 で成功したコクサイが鳴り物入りで発売したパイソンが欠陥品だったのは周知の事実(シリンダー・ストッパーの強度不足で、すぐ摩耗する。結果、シリンダーの回転がちゃんと定位置に来ず、最悪ダブルアクションどころかシングルアクションもできなくなる。オイラも、これで泣いたクチだよ)。
 ご自身はメーカーから出来の良い試供品を供給されていたから知らなかったのかもしれませんが、誌面上で断定的に言うなら、前提として自分の財布で店に並んでいる何丁かを買っていただきたかった。

 閑話休題

 近年の十万円単位の限定生産高級品は別として。かつてのモデルガンにデフォのプラグリは話にならない。割れずとも安っぽいですからね。
 そこで出番となるのが別に売られているグリップの数々です。モデルガン末期には原寸大の正確さにこだわった品が多かったので、実銃用のグリップが取り付けられるという「もっと早くこうしてほしかった」的な嬉しい状況でした。刻すでに遅しですが。

 で話戻って、樹脂、ゴム、木、貝、鹿角、象牙。変わり種で金属ってのもあるか。
 例えば、SAA(所謂ピースメーカー)の標準は硬質ゴム、ガバメントの純正はベークライト、P38 も標準はプラ、などなど意外と昔の銘銃たちも樹脂グリップを使ってました。
 当時のカウボーイがそうしてたかどうかは知りませんが、日本のウエスタン好きは、プラに替えて、SAAのモデルガンに様々な材質のグリップを付け替えることで楽しんでいる。それが木であり貝であり鹿角であり象牙
 そう言う自分も、モデルガン全盛期にそれをやりたかったですね。SAAの各銃身長それぞれに別々のグリップを付けて並べる♪ お金無くて実現できませんでしたけど(涙)。
 これがS&Wやコルトの大型ダブルアクション・リボルバとか、P38 などだと、そうはいかない。グリップが立体的構造をしていて、木以外だと強度的問題で再現しにくいんです。かと言って、いくら実銃用だからってパックマイヤーのラバーなんて御免ですし(汗っかきの天敵だよあれは)。
 SAA以外でも、ガバやチーフなどなどシンプルな形のグリップだと自作できなくもない。切って削るのもですが、何より表面仕上げの技術が必須ですけどね。これができないと惨めな結果になる(汗)。

 グリップを選択する感覚は、車のステアリングやシフトノブと似てるかな。木とか革巻きとかジュラコンとかとか。ウレタンは本当にダメだ、勘弁してくれ。
 ともに、ビギナーに優しい初級カスタマイズというわけです。