朔、八朔、穂掛け、三隣亡 (旧暦 葉月朔日)

 おー、これを持ってきましたか。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190828-00010552-besttimes-life

 渋いチョイスですな♪



 銃器に触れる機会の非常に少ない日本における銃器好きが憧れる拳銃となると、やれピースメーカーだのマグナムだのパイソンだのブラックホークだのモーゼルだのワルサーだのガバだのデザートイーグルだのと、大型に走る傾向があるように思います。そう言っている妖之佑自身、元はそうでしたから(笑)。
 これは映画やアニメなど映像作品の影響も大きいでしょうし(『ダーティー・ハリー』は本家である U.S.A. でも影響すごくて、M29 のバカ売れでS&Wはウハウハだったらしい♪)、あるいは車やバイクへの想いがそうであるように「でっかいことはいいことだ」的な嗜好なのかもしれません。

 が、少し想像力を働かせて、「もしも実際に自分の命を預ける相棒」として選ぶなら、どうでしょ。
 プロレスラー体型は例外として、欧米人に比べれば小柄な日本人が大型拳銃を使いこなせるものかどうか。ハリー・キャラハン刑事が愛用する M29 はアメリカ人の手にもデカすぎると聞きます(劇中でも「馬鹿でかい」という描写が何度も出てきてましたよね)。
 第二次大戦で活躍したガバや独逸軍の名銃たち、そして戦後のS&Wやコルトを始めとした大型拳銃たちも、軍服着た兵隊さんや制服警官が腰に吊るには問題ありませんが、私服警官が職務中に携行する、あるいはスパイやギャングがスーツの下に隠す、もしくは一般市民が護身用に持ち歩く(これは U.S.A. でも違法)、などなどの用途では、大型拳銃は大きすぎて嵩張りますし走るのに邪魔です(たぶん)。
 実際、FBIが捜査官に持たせる拳銃は、かつてのリボルバーも今のオートも、同型の中から小柄なものを選ぶか、いわゆる「FBIスペシャル」と呼ばれる特注品にするか。可能ならチーフ・スペシャル並みの小ささがいいんでしょうが、さすがに威力面で……ね。
 日本警察のニュー・ナンブやサクラも、見た目の格好悪さに反して日本人警察官の手には、しっくり馴染むのでしょう、あの小さめのグリップが。
 ルパンたちが、あんな軽快な服装の下に P38 やコンバット・マグナムを隠し持って自在に走ったり飛び回ったりできるのはアニメだから可能なことです。比べると、ベレッタM1919 やワルサーPPK を使っていたジェームズ・ボンドは架空の人物ながらプロフェッショナルな選択だったと言えます。
ルパン三世』で唯一、プロっぽいのは峰不二子となりますね。彼女が↑の M1934 か M1935 を選んでくれていたら完璧だったかもしれません。

 要するに、特に強い威力を必要とするケース(鉄ドアぶち抜くとか、突進してくるハート様を止めるとか、ゾンビの大群を一掃するとか)は別として、日本人には大型でなく中型拳銃こそがベストマッチだと思うわけです。
 その中型の代表格をいくつか挙げるなら、↑の M1934 の他には、M1910 、PP の系列……などなど、いろいろあって選ぶのが楽しいワケ♪(こういう妄想が楽しくないわけなかろーが)

 FN M1910 は名人、ジョン・M・ブラウニングの設計した銃ですが、個人的には不満な部分もあります。
 マガジン・キャッチが底にあって、片手ではマガジンをリリースできないという。何より、ストライカー式のシングル・アクションというだけでも実用としては、妖之佑なら敬遠しますね(苦笑)。いえ、そこはブラウニングの仕事ですから、ぬかりは無いんですよ。左側にあるサム・セフティ、グリップ後方にあるグリップ・セフティ、そしてマガジンを抜いたときにグリップ・セフティを固定するマガジン・セフティという三重構成は、ブラウニングが現場のことを考えて設計した証しだと思います。でも精神的に何かヤだ(笑)。ハンマーが外側にあって見えるほうが安心できる。
 不二子がこれを選んだのは、きっと服やバッグに引っかからないスリム&なだらかなデザインが理由じゃないかな。実際、見た目に、これほどに“スレンダー美人”な拳銃は、なかなかありませんよ。むさ苦しい男兵士とか、超マッチョな女レスラーとかが、これを握るのは許せないな(笑)。細身のオネエならギリギリ許す(爆)。
 なお、「FN」とは「エルスタル国営兵器製造所」の略称で、要はベルギー王国の国営会社です(現在は国営企業の子会社だそうだけど似たようなもんだろ)。言うまでもなく「ブラウニング」は技師個人の名前ね。

 ワルサーPP の系列ならハンマー外装なうえにダブル・アクション、装填表示ピンなど、P38 同様の機構があり、マガジン・キャッチもグリップ握ったまま親指一本で操作できるとあって(逆に、P38 のマガジン・キャッチは底にあるというトンデモな罠!)、妖之佑の精神衛生上も○なのですが、んー……イマイチ? サム・セフティがスライドにあって、下ろして安全、上げて発射というのが気に喰わない。親指の動きがサ、不自然になるんだよね。セフティ動作が同時にハンマー・デコッキングを兼ねるのも気持ち悪いし(P38 も同様の理由で実は苦手)。
 PP の銃身を少し短くして全長を、装填数を一発減らすことで全高を、それぞれ縮めて小型サイズ化したものが PPK 。この小型化が、当時も今も世界一身勝手な保護貿易政策を取り続ける U.S.A. の輸入規制に触れて米向け輸出ができなくなるという事態に(「コンパクトな拳銃は輸入禁止」というテロ対策をタテマエとした、実は国内メーカー保護が目的の規制。米国内では引き続き極小の拳銃も製造販売OKだったから笑える)。その対策としてワルサー社が取ったのが、PP のフレームに PPK のバレルとスライドを組み合わせるという苦肉の策。全長は短いままだが、全高が伸びたことで規制をクリアできたという(ここらがアバウトなアメリカンだよなー♪)。それが、日本でも有名な PPK/S 。もっとも、この PPK/S 、最終的には U.S.A. のメーカーにライセンス生産させることで、ワルサー社としても商売成立したため、ホワイトハウスが頑張って貿易対策する必要もなかったという結果論。ただ、この短くて背の高いバランスは案外と撃ち手に好評だったそうで、北米では PPK/S がダントツ人気という皮肉な結果に。
 ちなみに、「PP」は「ポリツァイ・ピストーレ(警察官用拳銃)」の、「PPK」は「ポリツァイ・ピストーレ・クリミナル(私服警察官用拳銃)」の、それぞれ略。「S」は何だろうね? 知らないです。

 これまたブラウニングが設計したコルトM1903 と M1908 も見逃せません。
 とは言え、FN の M1910 より古い銃なので、そりゃー問題点ありますよ。引っかかりをなくす目的でハンマー内装式にしたことで、かえって不便になるという罠。せめて装填表示があれば良かったんだけど、それも無し。しかも、前期型にはセフティが一切なかったという、後のブラウニングでは考えられない穴だらけの設計。後期型で追加された安全装置は、当時としての、それなりレベル?
 でも当時の需要を満たしたために売れたそうで。デザイン的にも魅力ある銃の一つではあります。はひ。

 そして戦後に登場した中型拳銃の中で個人的な注目が、ベレッタ 84 。これと、81 とが妖之佑的には、かなりいけてる。
 M1934 同様に、外装ハンマー、前部解放型のスライドとベレッタの伝統を引き継ぎ(後の 92 にも受け継がれるが、スライドの形状は9mmパラの威力にとっては逆に弱点となってしまうことに……)、さらにダブル・アクション機構と、左右どちらでも操作できるアンビ・セフティ(上げてロック、下げて解除の理想的動作)がフレームに装備され、超おまけとしてマガジンのダブル・カァラム化による装弾数大幅増量と、ほぼ言うことなし!
 あえて難点を挙げるとするなら軽合金製という一点くらいかと。ただ、それも .32ACP(7.65mmブラウニング)や .380ACP(9mmショート)を使う分には、そこまでリスキーでもない。中型拳銃が非力ゆえの利点ですね。

 80年代に大型軍用拳銃でいきなり銃器界に殴り込みをかけたグロック社が Glock 17 を小型化・小口径化・簡略化した Glock 25 は正直、取り立てる特徴もないからなぁ……。

 他にも、マウザーHSc とか、SIG/SAUER P230 とか、中型自動拳銃も層が厚いんですけどね。南部式小型も(モデルガンを触る限りでは)中型拳銃だと思いますし。
 でも、ほとんど知らない事だらけで。(;^_^A



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 左から「マルシン ブローニングM1910」「マルシン ワルサーPPK/S」「マルシン ベレッタM84」。すべて樹脂製モデルガン。

 CMCもコクサイもハドソンもMGCもマルゴーすらも消えてしまい、数々の規制を乗り越えてきた中で唯一、生き残っている老舗メーカーとなってしまったマルシン(いや、タナカは規制後の登場だし、現在のウエスタンアームズはガスガンだけの会社だからサ)。公式サイトを拝見すると種類は減ったものの、今でもモデルガンの製造販売を続けてくださっており、ファンには尊い存在ですね。
 M1910 はコクサイも金属風の塗装を施したプラ製品を出してましたが、あちらはグリップに「BROWNING」と記された北米仕様。一方こちら、マルシンのは「FN」の花文字が入った生粋のベルギー仕様となっています。なので、こっちを選んだ。不二子のも、こっちのはずだしね♪ いちおうの口径は9mmショート。HW(ヘビーウェイト)樹脂の組み立てキットです。HW樹脂は見た目に金属っぽい感じがあって◎なのです。
 PPK/S はウエスタンアームズが出してました(もちろんプラ製)。で、あちらは9mmショート口径の設定でスライドに「INTERARMS」と「米」な感じの刻印が。これは当時、U.S.A. におけるワルサー製品の正規輸入代理店であるインターアームス社のロゴであり、要は北米仕様。推測ではありますが、同じく北米仕様を模型化したコクサイ M1910 とともに当時、月刊『Gun』のレポーターをしておられたイチロー・ナガタ氏の私物から採寸したのではないかと思われます。一方、このマルシンは、もちろんワルサー本家の仕様で口径は 7.65mm 。ただ残念なことに、妖之佑のはマルシンがワルサーから許可を受ける前の物で、スライドやグリップにあるロゴが「WALTHER」でなく「MARUSHIN」となっています(涙)。これもHW樹脂の組み立てキット。マルシンのキットは本当に組み立てやすいです(例外はウジ。あれは、めんどかったー)。
 M84 はABS樹脂製で、↑の二つより随分と前の品と思われます。「思われます」と言うのは中古を買ったから。なのでカートリッジが無く装填も排莢も楽しめません。ただ、それでも握った感触はダブル・カァラムの太さが丁度良く、中型なのに心強い気がします。セフティの構造も PPK/S より親指に優しいですし、このモデルガンを手にしたことで、妖之佑のメイン・ウェポン(仮想)は、これだなと確信しました♪