二百十日、三隣亡 (旧暦 文月廿四日、地蔵盆)

 先週から、恐怖の失速エピソードに入っている『アギト』配信。
 放送当時も「なんだこれ?」って思ったんですよね。それまでの丁寧に積み重ねてきた展開を台無しにする、もう見事としか言いようのない盛り下がりぶりで。

 翔一の料理学校時代の恩師が、若手を育てる能力皆無のただの怒鳴りつけスパルタ野郎で。
 涼に絡むのは、ただの珍走屋で。
 ここまで好かれないキャラたちを、なんでわざわざ新規参加させたのか理解に苦しみます。
 しかも、蠍座がバラバラになって十字架? 星座の構造、知っててやってるのか? 光速度も無視ですか?
 そもそも、あの美形って地球の神様じゃなかったん? いきなり大宇宙規模で干渉されると困るんですけど。
 つか、なんで蠍座生まれなんだよ。

 普通に。
 取り込んだアギトの力に造反された美形が、逆ギレして人類殲滅に。
 そのせいで警察上層部が、さらなる迷走してくれれば、それで話としては進むと思う。
 蠍座とか要らない。滅ぼすんだから手当たり次第でいいはず。残り話数から考えてもシンプルにいくしかないんだよ。それを下手に複雑にしようとするから失速したんじゃね?

 警察が秘密裏にアギトの力を滅する目的でアンノウン支援に動く。つまり被害者を積極的に見殺しにする。
 これって、これだけで一つの大きなストーリを組めますよ。とんでもない陰謀ですからね。
 たった一ヶ月分でやるには詰め込みすぎになるか中途半端になるか。
 なんで終盤になって、こんなんブチ込んできたんだか。

 つくづく、木野さん昇天がクライマックスだったなぁ。

 翔一の恩師については、言いたいことが山ほどあります。
 翔一の同僚の女性がミスるたびに大声で怒鳴る。
 まず怒り散らす時点で、少なくとも私は、この店で食事したくないですね。
 厨房は戦場とも言いますが、それでもあんなギスギスした環境で作られた料理には悪い気ばかりがこもっていると思います。そんなん食べたら自分の体内に悪い気を取り込むようなもの。
美味しんぼ』で寿司職人の夏子さんが初登場したとき、店員を怒鳴りとばす彼女を女形の師匠は「お寿司が尖っている」と表現して席を立ちました。
 腹ペコペコの井之頭五郎さんは、美味しそうな大山ハンバーグランチを前に、店長がバイトを怒鳴り続けているせいで食欲をなくしてしまいました。
 これらすべて、店内に悪い気が充満しているからです。わざわざお金払って、そんなのは御免ですね。
 真剣なのは必要なんですよ。営業なんだから遊びじゃない。でも攻撃的な悪感情はダメ。何もいいことありません。
 そして、彼女が作ったスープの味を見て「こんなんでカネが取れるかっ!」と、また怒鳴る。そして「何やってんだ馬鹿野郎!」と罵倒まで。
「カネ」を「取る」? おいこら何様だ? 怖い人のやってる屋台かよ。
 正直、呆れて物も言えません。翔一の恩師だか何だか知りませんが、あのおっさんから学ぶものなどありませんね。あって精々が反面教師としての利用価値。
 なんで、あんな不愉快なキャラを投入したんだか……。
 細かいことを言えば、そもそも同僚の女性が翔一のことを「津上さん」と呼ぶのも変だしな。