不成就日 (旧暦 神無月廿八日)

 妖之佑が何故、意固地なほどにケータイに手を出さないのか判った気がします。

 妖之佑は下戸なんですよね。
 だから自ら呑み屋に行くことがない。
 学生の頃、友人に誘われて行ったことがありまして。メニューで確認して注文したにも関わらず、支払いが想定の倍くらいいってたわけです。でも友人は平然としている。慣れている人には何でもないことでしょうけど、下戸にとっては理解不能な現象でした。
 今なら判りますよ。お通し、テーブル・チャージ、サービス料、おしぼり代などなど、あれこれが付いたわけでしょう。
 ですが、純正の下戸には理解できない世界だったんですよ。なので、それ以降、誘いに応ずることはなかったですし、もちろん一人で行くなどありえません。
 一人でも平気で入れる店はファミレスや回転寿司です。誤解のしようがない単純明快明朗会計ですからね。

 もうお判りでしょう。
 ケータイの料金体系は、妖之佑にとって呑み屋の会計なんですよ。だから怖い近寄りがたい使わない。

 もしも、料金システムが簡単なおかつお値打ちになれば、妖之佑もケータイを持つかもしれません。
 ですが、値下げを謳いながら、複雑怪奇なシステムを構成してユーザーに目くらましかけるだけなら、やっぱり使いません。
 大手三社がガチの競争すればいいんですけどねぇ……その気全然なさげですし。