国府宮はだか祭 (旧暦 睦月十三日)

 玉子酒って実は、よく判ってないんですよね。
 何せ、妖之佑は下戸なので酒を主体とした料理(?)には、さほど興味がないのです。
 ですから自分で作ることはありません。古き良き日本で風邪引きのときに粥や葛湯や摺り下ろし林檎などとともによく出る病人食(?)の一つ、くらいな認識だけで。

 いちおうのあやふやな知識としては、熱した日本酒の中に溶き卵を混ぜ入れる、てな程度ですよ。
 ウチの母上なども似たり寄ったりで。まだ若いとき、父上が風邪気味で玉子酒を所望した際、ワケワカメなまま作ったのは、熱燗の中に白と黄色の斑な固まりがボコッと浮いている代物だったそうで。さぞや不気味な物体Xだったことでしょう。
 聞くところによると冷や酒に生卵を割り落としただけで出す強者もいるとかいないとか。まるで『トリニクって何の肉!?』レベルですな(爆)。
 自分で料理するようになってから、灰色の脳細胞も使うようになり「卵黄だけ入れれば物体X化を防げる」と気づきました。まあ下戸なので実際に作りはしませんけどね。
 それと、これもだいぶ以前、知り合いに教えていただいたのが「全卵の溶き卵を入れて加熱しながら徹底的に掻き回し続ける」という技法。力尽くで固まらせないわけですね。練り羊羹作りに近い感覚かな。
 まあ、全卵でなく卵黄だけでも掻き回す手は止められません。熱ですぐに固まりますから。

 しかしながら玉子酒の持つ問題点は実は、そこではない。
 病人に出す。というのに日本酒って、いいの? 弱った病体に、きつくね?
 と五郎さんレベルで下戸な妖之佑は長年、疑問に感じてきました。
めぞん一刻』で五代くんが風邪を引いたとき、一の瀬さんが玉子酒を差し入れ、それを横で四谷さんが「いいですなあ」と羨ましがっていたので、あれは酒呑みに嬉しい飲み物に違いありません。一刻館って、惣一郎さんも含めて呑兵衛の巣窟ですからね(笑)。
 しかし、下戸が風邪引いたときに玉子酒ってどうよ? まして子供が風邪引いたときに玉子酒ってどうよ? と思うわけ。昭和中期くらいまでなら、ガキに酒呑ませても、そこまでお咎めはなかったかもしれませんが、さすがに令和の今なら発覚した時点で保護者が通報されて捕まります。

 などなど思考を巡らせるわけですが。
 重要なことを失念している自分に気づくわけです。
 玉子酒の作りかたとして、卵黄だけであれ全卵であれ、とにかく固まらないようにしっかり掻き回す。ではその間、火はどうなってる? そりゃー冷めたらあかんから点けたままやろ…………あ、飛ぶわ。アルコール、飛ぶわ。
 そうか。下戸や子供向けにはアルコールを完全に飛ばせばいいのか。なんや簡単やん。
 長年、悩み続けていた自分って、どんだけ阿呆なんですか。

 という結びでございました。
 おそまつさま。

 なお、調べましたところ、あらかじめ冷酒と生卵をしっかり混ぜてから燗をつける方法もあるんだそうな。
 これは、たぶん酒呑み向けですね。まちがいない。