彼岸入り、庚申 (旧暦 葉月廿二日)

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 『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 5』
  森田季節シバユウスケ・紅緒/ガンガンコミックスONLINE
 『ヒラ役人やって1500年、魔王の力で大臣にされちゃいました 1』
  森田季節・村上メイシ・紅緒/ガンガンコミックスONLINE


 ベルゼブブさん好きとしては待望の『ヒラ役人1500年』第一巻。『スライム300年』第五巻と同時リリースというのも景気の良い話で♪
 いやまあ、実のところ『ヒラ役人1500年』は公式サイトの連載で第一話から欠かさず読んでますけどね。でも紙の本は別格。やっぱり読書は紙に印刷でないとねー。
 多くを語ることは、やめておきますが。
 五百年前の地味子なベルゼブブさんの、責任のない気楽な地位でダラダラ過ごしたい願望とか、なのに長く下積みを真面目に続けていたために仕事スキルがほぼ最強レベルにまで無自覚に到達してたりとか、ために本人の意志に反して周囲によって目立つところに奉られてしまったりとか、二百年後に出現して五百年後に頭角を現す高原の誰かさんとそっくりなのが笑えます。意図的にやってんだよな作者さん。二人を同じコンセプトでスタートさせて、その後の展開を変えているワケですね。
 二巻は半年先かー(連載読むから、いいけど)。

 さて、本家のほう。
 二巻以降の感想を書かなかったのは、アズサさん同様に、妖之佑もスローライフ的にのんびりダラダラ楽しみたいという気持ちがあったこと、考察とか不要な気楽な作品だからということ、などがあってです。事件が起こっても円満解決、後に遺恨を残したりしませんからね♪
 今回はスピンオフと同時発売なので、ちょいと景気づけに。
 こちらも多くは語りませんが、一つだけ嬉しかったので。
 偽物が出たエピソードで、アズサさんが一人暮らしの頃を回想するコマ。あれ、ギルドのナタリーさんですよね。アズサさんが最初に冒険者登録したときの。原作小説がどうやってるかは知りませんが(読んでませんので)、ここをシバさんのお仕事と解釈させていただいて、ああ判ってるよな、そうだよな、そうに違いないよな、と感じたわけです。
 アズサさんが転生してきて最初に会った人はギルドまで案内してくれた親切なおばさんですが、最初に親しくなったのはナタリーさんに違いなく。毎日、魔法石の換金にギルドを訪れて、一ヶ月もすれば雑談も弾み、世代が近いことから半年もすれば友だちになっていたはず。その後のことを想像すると、ナタリーさんが年老いて亡くなるまで友だち関係は続いたものの、不老不死のアズサさんにとっては結果的に、かなりきつい数十年にもなったと思う。友だちは老衰し、自分だけ取り残されるわけですからね。ファルファに初めて会ったときに「300年間、恋とかその類のことは一切してないの」と言った背景にも、これがあったと思う。なので、ナタリーさんはアズサさんにとって最初で、しかも唯一の親友だったはず。その後は村人たちとは適度な距離での交友関係だったことでしょう。幸いというか、その頃には「高原の魔女」として敬われつつあったでしょうから村との距離感は自然と保てた。回想シーンで、ナタリーさん以外が出てくるはずないんですよね。
 だから嬉しかった。だって、時系列として仕方ないとは言え、プロローグに出たっきりでしたからね、ナタリーさん。
 だとすると、レベルMAX 発覚時に今のナタリーさんに言った「え!? あなたも不老不死!?」という台詞が違和感というか蛇足感アリアリですがねぇ……。今のギルド職員さんの名前を「ナタリー」にしなくても、よかったのにとは思う。コミカライズ一巻では巻末のオマケで「ナタリー工場」ネタで回収してますが、原作で何らかの形で回収したかどうかは知らないので。
 ときに、シバさんって高橋留美子さんのファンだったりします? 勘違い?