庚申待ち

 人体に潜むスパイ、三尸の虫から解放されるには仙人になるのが最も確実なんですが。
 その仙人になるのが難しい。て言うか、日本にいて仙人になれるかどうかも疑問ですけどね。
 いちおう役行者みたいな暮らしをすれば近づけるかもしれません。ある意味、役小角は日本版仙人みたいなところ、ありますし。
 ただ、不老不死となると、やっぱり正式に仙人向けの修行が必要でしょう。となると、まずは大陸に渡り、あっちの山々に籠もらないと。
 でも、独学で仙人になった人って、いるのかな? とは言え仙人に弟子入りとなると、さらに難しい気がします。
 世捨て人や隠者のレベルじゃありませんからね。
 日本において不老不死で山岳信仰だと天狗さんが挙げられますが、生きたまま天狗になった人って……いたような、いなかったような。うーん。

 ただ不思議なのは。
 仙人にしても天狗にしても、悟ったような風で実は、わりと酒池肉林だったりしますからね。まあ、天狗さんに関しては煩悩を捨てきれなかった者が墜ちた姿という説もありますが……そうなると秋葉山三尺坊なんて、どうなんだろ、という疑問も沸きます。ああ、ややこしい。
 とにかく、世俗すべてを捨てた仙人が、なんでか酒を呑み肉を喰らう。妖之佑のような凡俗には意味不明でございます。
 実際のところ、大悟したはずの一休禅師も大酒呑むし肉喰うし女抱くし男色まで……なんですよねぇ。