河童忌 (旧暦 水無月廿二日)

 今の騒動に乗っかって、とある芸人さんが「ギャラが一円」だと公表して、社長の「分配は5:5」発言を批判。
 それに対して「売れない芸人ふぜいが」と叩く声がチラホラ。曰く「芸人は昔から、そういう世界だろ。何を今さら」だそうな。

 うーん。

 刻を遡れば、芸の世界には内弟子というシステムがあったんですけどねぇ。
 今でも、職人さんや、あと大相撲やプロレス団体が内弟子制度を維持してますよね。お寺の修行僧も同様。今はないけど、学者や文筆家に付く書生も近いような。演歌の世界では今もあるのかな、作曲家の大先生宅に歌手の卵が住み込みって。能狂言世襲だから意味的に違うか。
 師匠が弟子を自宅や仕事場に住まわせて雑用をさせる代わりに寝食の面倒を見てやるシステム。だから弟子は仕事ができるまでを食べていけるし、入門希望者も出てくる。他にも技術系の「社員」なら、まともな給与が貰えるので内弟子に近い感じでしょうか。
 要するに、昔は師匠が未熟な弟子の生活を最低限保証してやるのは、あたりまえだった。だからこそ、安易に弟子を取らず人を選んだ。「悪いねえ、あたしゃ弟子は取らないことにしてるんだよ」ってヤツですね。禅寺でも、入山志願者に対して一度は断って放置するのが通例です(ま、こっちは形骸化してますけどね)。
 芸人の世界で、それをブチ壊したのが、あの事務所なのですよ。門戸を広くして手当たり次第、所属させる代わりに「売れるまでは自力で何とかしろ」と米代すらよこさない。売れた者は大事にし、売れない奴は飼い殺し(万が一にも将来、売れたときの用心に拘束しておくワケだね。他所に移ってブレイクされたら損するし癪だから)。事務所だけが得をする不平等条約並みのシステムが、ようやく表で批判されるようになったということでしょ。
 たけしさんも、この点を批判してらっしゃいましたよね。「喰えないようにしている事務所が悪い」って。

 まあ、ついでに言うと「一円」の芸人さんが批判したのは、ギャラが安いことではなく、社長の「5:5」発言という嘘をですよ。事務所は二円で仕事を取ってきたのか? と問うてるわけですよ。
 そこも読まずにの批判。無知だけでなく文盲のようで。無責任で日本語不自由なバカに批判される芸人さんも気の毒だと思います。

 にしても、こういう騒動は、ある意味あぶり出し効果がありますね。
 露骨に事務所側に擦り寄ってるベテラン芸人とかが見えてきて面白いです。
 沈黙を決め込んでいる人も多いですし、それはそれで正解でもあるのですが。でも、発言力のあるトップ級が無言なのは、やっぱり事務所に忖度しているヘタレと見てよさそうですかね。有名な名跡を受け継いだ下半身のだらしない超下手クソな某自称創作落語家とかね。
 一方で「事務所辞めるぞ」と言ったK氏は巷で英雄視されてますが。こっちはこっちで、ただ単に仲間意識が強いだけですよ。仲間だから守りたい。反社会的行為をした奴でも守ってやりたい。まーK氏は、反吐が出るような犯罪をやらかした相方をずっと擁護してましたからね。相方の犯罪を指摘されると逆ギレするほどに。要するに、法や倫理道徳より仲間が大事なんですよ。ここのあたり珍走団と変わらん。つまり無法者の思考回路。あんなのを英雄視するのはダメだと思うな。