二百十日 (旧暦 文月廿二日)

 前作『エグゼイド』に続き、例年みたく次のライダーが強引に割り込まなかったのは、かなり◎。
 戦兎がクローズライドウォッチを握っていたくらいは、まあ許しましょう。新番組への布石となるようですし。

 手遅れな世界を諦めて、「スカイウォールの惨劇」が起こらなかった「新世界」を作る。
 つまり、エボルトのいない世界を作る。
 要するに、リセットして大団円。

 正直、この展開には不安を憶えました。
龍騎』のときにも感じた不満でもありますし、『DTB』二期で強引に話をまとめた結びかたでもありますし。
 何せズルいですから。意図は理解できるし、実はわりと好きなんですけどね。
 でも、ズルい。

 結果。
 平和な世界では誰も戦兎を憶えていません。誰も戦兎を知りません。
 ヒゲは取材を求めた紗羽さんを執務室(ホテルでないところがポイントね)に誘うし、ツナ義ーズの大ファンな石動父娘は忙しく店を切り盛りしてるし(ついでに、コーヒーが不味かったのはエボルトのせいだと判明♪)、そんな店へ三羽烏に連れられてきた一海は相変わらず惚れっぽいし、内海は作業服で旋盤か何か使ってるし(難波が巨大企業でなく町工場なことに藁)、万丈は黒髪で香澄とデートしてるし……。
 元々が桐生戦兎はエボルトがきっかけとなって誕生した人格なので、スカイウォールの惨劇が起こらなかったこの世界には、存在する根拠がない。もちろん、この世界には葛城巧もちゃんと生きているのでしょう(だからこそ、脳内の巧は戦兎に別れを告げて消えた)。
 それでも戦兎がいるのは、『電王』の特異点みたいになってるのかもね。

 守り抜いた世界の誰も自分のことを知らない。かつての仲間も自分のことを憶えていない。
 ヒーローは孤独。
 これをストレートに表現してくれた。
龍騎』の場合は、真司や蓮もまた何も憶えてませんでしたからね。あっちで孤独なのは、死を受け入れ新世界での自らの存在を求めなかった神崎兄妹。

 にしても、nascita を訪れた戦兎に「どこかで会ったことありますよね?」と言う美空も酷いよ。上げてソッコー落とす、だもんなぁ。
 いや、まさか佐藤太郎が音楽で大成功しているとはね。「今夜は焼き肉っしょ!」(笑)

 このまま終わっても高評価だと思いますが。
 最後に戦兎にも優しかった脚本に涙。一人じゃないって良いよね♪

 そして、エンディングから一年前のアバン、「てんっさいぶつりがくしゃきりゅーせんと」へと続くわけですか。
 この手法、『ガン×ソード』の予告編と同じだな。なるほど、それでコント調だったのか。

 新番組『ジオウ』第一話に戦兎たちが登場するのは、何か『V3』第一話みたいでワクワクします。
 白Pが変なこと考えてなきゃいいんですが……。

 一年を通して面白かったです。はい。