(旧暦 文月廿五日)

 ま、人々を救うために世界を再構築って手法においては現在のところ、まど神様の右に出る者は、いないよな。

 申し訳ないけど、良い最終回とまでは言い難いです。
 なにせ『ビルド』で、やっちまってますからね、手遅れになった世界の創り直し。さらに言うと劇場版『ディケイド』でも、やったこと。
 いえ、判るんですよ。『ジオウ』の性質上、結末は破壊からの創造に至る以外の道がない、ってことは。
 ただ、『ディケイド』はともかく『ビルド』は一年前ですからね。さすがに同じメニューが連続は、大叔父さんの美味しい料理でも飽きます。
 破壊と創造に何か工夫が欲しかった。
 で、その「工夫」が、みんな元気で、みんな一緒の学校に通う「普通の高校生」というのが安直なんだよ。エピローグは 2018年の二学期初日、つまり丸っと一年前ということで、基本的には、この一年間がなかったことになる。もちろん、追加された学友四人の存在があるので「なかったこと」ではないのだが、それでも 2018年の九月からをやりなおすのは、斬新というよりは使い古しでしょう。て言うか、あーゆー学園ドタバタ和気藹々ってのはセルフ・パロディでやることだよ、DDな北斗の拳とかみたく。
 世界を救った戦兎が新世界で一人ぼっちの孤独に晒される。リセットされた新世界では誰も戦兎を知らない。そこに……! という、あの結びを越えろとは言わないが、せめて毛色は変えてほしかった。しかも蛇足感漂う続編の「限定上映」と円盤発売とか言い出す始末。スウォルツ氏に頼みたい。白Pをアナザー・ワールドに飛ばしてくれ。
 大叔父さんの「最後の晩餐のつもりで食べてくれたわけじゃないよね?」からの「みんなに訊いといて、晩ごはんのリクエスト」の台詞が染みるだけに、これをエピローグで拾わずにどうするよ?

 冒頭のツクヨミの行動は先週、迂闊にもネタバレを踏んでしまい、一時はどうなるかと思いましたが(無神経なネタバレ犯は娯楽の一切ない世界に追放刑というのは、どうだろう?)。
 大叔父さんがライドウォッチを修理も、感想板で盛大に予想されていて、こちらも一時はどうなるかと思いましたが。いやまあ「叔父さん、時計屋だから」だし、デンライナーまで直す人だからね。確かに「直せない時計は、ないからさ」だよな。ああそうか、前にウォズさんがジオウII のウォッチを修理依頼したのは、このためだったのかもね。中身いじれないからクリーニングだけしといたってヤツ。構造だけでも見ておいてほしいという意味だったんだな、きっと(笑)。

 続編のあれこれはともかく。ゼロワンのライドウォッチがあることから、ゼロワンとジオウの共演も確定でしょ。
 なかった一年間のはずなのに、ジオウの力は存在するというのも、ご都合主義がすぎる。ソウゴがジオウとして復活する際には、せめてちゃんと道理の通った展開が求められます。

 ソウゴがオーマジオウとして君臨することを辞めたため、2068年の魔王は消滅、つまりオーマジオウが世界を救ったうえで世界を蹂躙する歴史が消えた。そのうえで歴代平成ライダーそれぞれの世界を再分離したジオウだけの世界と、ツクヨミの世界とを融合。ために存在すべき居場所を失ったゲイツツクヨミ、オーラやウールも新世界の住人として組み込まれた。まあ大団円ですわな。……あの人、やっぱり歳取ったソウゴだったんだね。一年に渡っての予想が外れたなー(汗)。
 いや待て。おかしいぞ。新たに創造した世界のはずなのに、ソウゴはクジゴジ堂に住んでて「王様になるよ」と言っている……これって十年前のバス事故があったってことだよね? ということは、この新世界でもソウゴの過去にはスウォルツ氏が影響を与えていることに…………こりゃあ、スウォルツ氏の復活もあるな。
 そして、なぜかウォズさんだけは新世界の創造にも影響されずマフラー着けた本読みのまま記憶もそのまま。現在と未来、両方の「我が魔王」ですら新世界構築の影響を受けたというのに……ウォズさんって、いったい何者? 冷静を保ってるけど、今のウォズさんって一年前の戦兎以上に孤独じゃね? せっかく一年集大成、最高の「祝え!」ができたというのにね(まさかソウゴが命じるとは思わんかった)。それとも、そもそもが“世界の傍観者”みたいな存在だから孤独感とか関係ない?(上映中の映画は観てないから何も知らないよ。感想ブログでも廻ってみるかな)
 士と海東は慣れてるから、いいけどさ(どーせ、この二人は令和ライダーの世界にも顔出すだろうし♪)。

 ウォズさんのことを少し考察もどきしてみますね(重ねて言うが、映画は観ていないので、よしなに)。
 あの“自在マフラー”による瞬間時空移動は、ただの人間にできることではない。↑で“世界の傍観者”かもとは言いましたが、ウォズさんは、おそらく元々は取り立てての能力など持たぬ普通の人間だったと思います。少なくともレジスタンスの隊長だった時点ではね。
 根拠の一つが白ウォズの存在。白ウォズの初登場はタイムマジーンに乗って降り立つシーンでした。つまり自力では時間移動できないということ。白ウォズの力は、すべてあの“未来タブレット”という科学力によるものです。ウォズさんのマフラーは、これとは異質な力。
 後半でこそ、ウォズさんはクジゴジ堂に下宿してましたが、そもそもは神出鬼没。それこそ『龍騎』の神崎士郎みたく、唐突に出てきたかと思えば一瞬で消えていた。ソウゴの毎度びっくりに「そろそろ慣れてほしいな、我が魔王」なんて苦笑してましたよね。時空を自在に移動するのはスウォルツ氏やツクヨミの家系の力ですが、ウォズさんはそれとも違う。無論、士や海東とも別の力。
 もう一人、時空を自在にできる人がいますよね。そう、オーマジオウ。おそらくウォズさんは、魔王の軍門に下ったとき魔王から少しだけ力を分け与えられたのだと思われ。それがあの神出鬼没の能力。
 そして、ウォズさんが魔王配下になったのは、オーマジオウの真意を知ったからでしょう。最後に満足そうに消えた魔王の様子からも、ソウゴがオーマジオウの力を手放したことを歓迎しているように思えます。
 つまり、オーマジオウは、かつて 2019年にスウォルツ氏の謀略から世界を救った。しかしその代償として魔王の力で、その後の世界を蹂躙することとなってしまった。神のごとき壮大で反則的な力に取り込まれた形でしょうか(オーマジオウは少なくとも『仮面ライダー』の世界においては「最凶」を通り越す桁違いの強さ、言ってみれば全王様が闘いに参加するようなものだから、もう出さないほうがいいよな。出たら、そこで物語が終わるよ)。後々に正気に戻って後悔しても手遅れ。なので、過去の自分に干渉して別のグッド・エンドなルートを探ってもらうべく、ウォズさんをお目付役として派遣した。自分自身は「若き日の私」を導くために最低最悪の魔王のままでい続ける。
 ウォズさんはウォズさんで、魔王の力を分け与えられた代償として、新世界に組み込まれることのない孤高の存在となった(魔王が消えたのに『逢魔降臨暦』が消えないのも、そのためか)。士、海東に続く三人目の“旅人”ということなのかもしれませんね。

 大叔父さんとスウォルツ氏以外のレギュラーの中の人たちは、俳優としては新人あるいは新人に近かったそうで。この一年間での成長は近年でも大豊作と言えるんじゃないかと思います。ソウゴが、どんどん良い顔になってったもんなー。ヒビキさんなどの「おっさんライダー」は例外として、平成ライダーは一年間を通して登場人物と中の人が二人三脚で成長する、あるいは一年かけて俳優とキャラが融合していくものであり、それもまた観ていて面白い点ですね(第一話が超大根って、実際のところ多いかんなー)。
 年月の経過をものともせず可能な限り、かつての“自分”を演じられた歴代ライダーや関係者の中の人たち、そして次々と登場する歴代ライダーや歴代怪人を演じ分けたスーツ・アクターさんたちも素晴らしい仕事をしてくれたと思います。作品愛なくして、あんな丁寧な演技はできませんよね。
 そして、歴代の主役ライダーの大半を演じられ、ときには顔出しで敵まで演じられた高岩成二さんが『ジオウ』をもって第一線(主役)からは退かれるそうで。二十年間、体が衰えないというのには「感嘆」以外の言葉が見つかりません。しかも、龍騎ブランク体や電王プラットフォームなどの情けない弱っちい動きも素晴らしく(ジオウも、ときどきオロオロと腰が引けてたりしてたよね♪)。大変に、お疲れ様でした。

 ゲイツの奴、最後の最期にようやく「ソウゴ」って呼びやがって(笑)。て言うか、ゲイツの中の人がゲイツのスーツを着るなんて思いもせんかった。しかも面割れ。橘さん@ギャレンを思い出しますよ。
 あ、ところで湊は、どうなるの? 未来で復活してるよね? ね?
 士が最後に撮った新世界の写真は、どこかで見られないのかな? かな?
 時空を駆けめぐって闘っていた五人が「遅刻しそう」と時刻に追われてアタフタするのは、ちょっと笑ってしまいました。

 一年間、楽しませていただきました。m(_ _)m


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 『平成仮面ライダー20作品記念ベスト』
  avex trax AVCD-96276~8

 これを聴きながら感想を、というのも、なかなかに感慨深いものが。

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 ディスクも、ちゃんと平成ライダー仕様(笑)。
 ちなみに三枚組です。一枚目と二枚目が主題歌、三枚目は主題歌のカバーと『ジオウ』のキャラソン。中では『電王』主題歌のイマジンver. 収録が嬉しい♪