話ついでに。

 さなえさん少女時代の焼け野原のシーン。あれを史実と関連づけられる視聴者は十五年前にせよ今にせよ、どのくらいいるのでしょう。
 聞けば、アメリカ人の若者に、原爆投下をフィクションと捉えている人が増えているとのこと。
 そう聞くと、日本の若年層でも同じ感覚の人たちが増えていても不思議ではない(「終戦記念日って何の戦争?」と問われて「応仁の乱」と答えた人がいるとかいないとか……)。いずれは実体験を持つ人たちが一人もいなくなる。そうなったら戦争も「本で読む」だけのものになってしまいそうで。それこそ、昔の人々が津波警告の意味で地名を付けたり碑を建てたりしても、忘れ去られて危険地帯が宅地になってしまった東日本みたいにね。
 そうですね。阪神淡路や東日本の震災を知る若い層に「空襲の跡が、こんなものだったよ」と言えば少しは伝わるのかもですね。