下弦、一の酉 (旧暦 長月廿四日)

 あやのすけはねんがんのあいてむをてにいれた



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 ついに真空管アンプ買ぅた♪

 いやー、例の PSE 問題のときに買った名器アンプが、イカれちまいましてね。
 代わりを探してた際に、格安の管球式を見つけてしまったのです。

 そうです、格安。つまり中華アンプです。
 抵抗は、かなりあったんですけどね。
 なにせ、こーゆーこともあるから要注意ではあるのです中国製品。

https://togetter.com/li/1161243

 だから用心深くもなろうというもの。

 でもねー、価格が国産の組立キットと比較しても桁からして違う。ブルジョワでもない庶民にとり、この点は切実ですよ。
 なので慎重に情報を集めては吟味してました。ほら、日記で意味不明なメモ書きとかしてたでしょ。

 けっきょく、お値段が日本メーカーの普及価格帯プリメイン・アンプ(トランジスタ式)並みということもあって、買ってみることにしました。
 届いてすぐに中身をチェック。

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 大丈夫。ちゃんと手配線の管球式回路でした(Web で調べてはいたけど、実際に、この目で見るまではね)。
 それも、かなりきちんと作られているようです。生意気な言いかたですが、真面目な仕事ぶり。

 Reisong(BOYUU)の A10 という機種です。五極管 EL34 をシングルでドライブさせるステレオA級アンプ。
 BOYUU は、中国のシリコンバレーと言われる深センに在る会社。なので日本が知らないだけで、国際的には、まっとうな企業なのでしょう。
 日本の通販会社が仕入れているのは数機種に留まりますが、海外の販売サイトを見ますと、シングルあり、プッシュプルあり、2A3 あり、300B ありと、かなり豊富なラインナップです。しかも$立てでもお安い!
 そして実機のこの手配線ぶり。昭和の日本製品が、こんな感じだったんじゃないかな。今の日本でも小さなメーカーさんが、やっておられますが。どっちかと言うと、ベテラン趣味者の自作品に近いかな。つまり、オーソドックス。

 にしてもね。石のアンプに比較して、パーツが少なくシンプルですよね、球のアンプの回路は。
 これで音が石より上とか言われるのだから面白いものです。例えるなら、現行車種と旧型キャブレター車とでエンジン・ルームを見比べるようなものでしょうか。

 鳴らしてみての感想は……何せ妖之佑ですからね。耳も凡俗そのもの。違いが判るはずもありません(爆)。
 はっきり言えるのは、きちんと鳴っているということ。ミニコンポなどでは太刀打ちできないほどに良い音で音楽を鳴らしてくれるということ。石の複雑な回路と対照的なシンプル回路で、これですからね。本当に面白いものです。
 たいへんに綺麗な高音に対して、あえて言うなら低音が少し弱いのかな? って感じ。低音が弱いのは、巷の曰く、管球式シングルの宿命だそうな。
 無音状態でボリューム最大にしてスピーカに耳を近づけてもハム音が聞こえませんでした。多少は覚悟していたのが良い意味で裏切られました。導線の引き回しを、きちんとしているのでしょうね。

 球は消耗品なので仕方ないですが、不安があるとすれば電解コンデンサの寿命ですね。ここが手抜きパーツだと、すぐに交換を強いられるかも。
 そのあたりも含めて、永くつきあえればいいかな、と。

 海外のサイトで調べたところ。
 A10 には標準機と上級機の2グレードあって、標準機は全部がプリント基板による配線。で、上級機は電源部分以外が手配線で、しかも出力トランスが少し大きめ。とのことです。
 妖之佑が入手したのは上級機種ということになりますね。まあ、トランスはケースに入ったままなので、大きさを確認などできませんが。(;^_^A
 当然ですが付属しているのは、すべて中国管でした。今後の用心のため、早速にスペア用として露西亜製の同等管を入手しました。で、整流管を除き、音声の通る電圧管と出力管は露西亜の物に差し替えました。中華管は、いざというときの控え要員ですね。

 このアンプ、本当に好きな人が設計して作ったのだろうなと、見れば見るほど、いじればいじるほど感じます。
 シャシーは鏡みたくツルピカで、ぶっちゃけ触るのに困ります。なにせ脂性なもので(苦笑)。
 脚となる四隅の円柱と、左の電源スイッチ、そして右の音量つまみとでデザインの統一がなされている。
 そして、整流管にST、電圧管にMT、出力管にGTと、外見的にも三種類の球を、トランスとともにシンメトリックに配置するあたりも、こだわった結果だと思われます。
 外見部分で唯一、残念なのはブランド名のプレート。両面テープで貼ったのか、少し真ん中が浮いてます(涙)。
 専用ガードも売られているのですが、どうにも監獄っぽいのが個人的にはマイナス点。まあ、真空管アンプは、どれも似たような状況ですし、球とユーザーの両方を守るアイテムなので見栄えなど二の次で正解ではありますが……どうしようかな。
 文句も言いましたが、日本で、このレベルの完成品を製造販売するなら、三……いえ四倍の値を付けないと、やっていけないでしょうね。その意味で、お買い得な品だと思いますよ(コンデンサや抵抗の品質が、まっとうなら、という条件は付くが)。真空管ビギナー向けと言ってもいいかも。

 トーシローのクセに、ちょいと格好付けまして。
 Web で拾った、これの回路図を見ますと。
 初段の電圧増幅は双三極管を単純に並列につないで一段だけにしています。たぶんですが、電極の負担を減らして長寿命を狙っているのではないかと。
 出力管はウルトラリニア接続。無難路線ですね。
 UL接続なので厳密には無帰還とは呼べませんが、回路全体でのNFB(負帰還)はありません。なので、ほぼ裸特性と言っていいのかな。シングルで無帰還と、本当に基本に忠実に攻めてますね。
 C電源のない自己バイアス回路なので、同規格管や同等管であれば交換の際に調整不要です。駄耳ではありますが、そのうち EL34/6CA7 の「球転がし」をしてみようかな♪
 整流管のA電源(ヒーター)にのみ、半導体ダイオードを使っています。たぶんハム音の防止でしょうね。

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 やっぱり浪漫ですよねー。
 あのオレンジに光っている真空の中を今まさに、聴いている音が飛んでいるのかと思うと不思議でなりません。中身の見えないトランジスタでは感じることのできない部分です。