(旧暦 睦月七日、七草)

 松本隆さん三味、凄いわ、あらためて。

木綿のハンカチーフ』は何度も何度も聴いた曲なんですけどね。
 今回、初めて大幅に視点が変わりました。
 今までは「振った男コンニャロ、彼女可哀相」あるいは「二人とも、もう少し歩み寄ろうよ」だったんですけどね。
 それが「彼女、振られて当然だわ。彼氏、頑張ってたもんなー」と変わりました。
 いや、だってサー。彼氏が古里の彼女を気遣って、写真同封の手紙やら指輪のプレゼントやらを送っているのに、それへの返事がすべて「いいえ」で始まる否定なんだもんなー。つまりは、彼氏が都会に居ることそのものを全否定の姿勢。遠距離恋愛以前の問題でしょ。そりゃ彼氏が疲れ果てるのも当然。都会での出会いに乗り換えるのは自然な流れです。誰が彼氏を責められましょうか。
 せめて、彼女もたまには彼氏の所に遊びに行ったら良かったのに、とにかく田舎から一歩も出たくない……ダメだこりゃ。
 この歌は彼女の自滅物語ですよ。何を悲劇のヒロイン気取ってんだ?
 よくよく考えれば冒頭、都会へ行くという彼氏に「早く帰って」と、ここからすでに否定ですからね。都会で一旗揚げようという男と、田舎サイコー都会クソな女とでは、上手くいくはずがなかった。彼氏が都会を目指した時点で別れるは必定でしたね。
 こんなことに今さら気づいたのも真空管を通して聴いたからかもしれません。真空管では初めてでしたからね『木綿のハンカチーフ』。