(旧暦 長月廿九日)

 ハロウィンと言えば。
 ルイジアナ
 ルイジアナと言えば。
 世の中的には、オバケに仮装していて無慈悲に射殺され、しかも射殺犯が無罪とされてしまった日本人留学生。そんな息子さんの無念を晴らすべく銃廃止を目指し米政府と闘い続けるご両親。

 となっているのですが。
 私は、この思想に同調できません。
 つか、同調する奴等がバカすぎるとすら思っています。

「息子の命を奪った銃器をアメリカ社会から無くそう」と言うと聞こえは良いですが。
 これって、あからさまな内政干渉ですよね。U.S.A. が銃社会であるという実態を無視する無知な外国人が、無理なことを無責任に主張している図式です。
 ええ、無責任ですとも。
 あり得ない例えですけど、仮に、仮にです。主張が通って、米国内に日本並みの厳しい銃規制が敷かれたとして。それで、自衛手段を失った人々が次々と強盗の餌食になったとして。件のご両親は責任をどうお取りになるのでしょう。その高尚な意気込みを聞かせていただきたいですね(まあ意気込みあっても実行なんて不可能。口だけ番長で終わるだろう)。

 逆に。
 もしもです。昨今、治安の悪くなった日本をご親切にも心配して、全米ライフル協会が「日本でも拳銃所持を認めるべきだ」と日本政府に強力な圧をかけてきたら、日本人としてどう思います?
 まず感じるのは「余計なお世話」でしょう。拳銃の是非は置いといても、そういった議論は日本の中でやるべきであって、アメ公にヤイヤイ言われたくない。ですよね?

 米の銃器社会が良いとまでは言えないと思います、もちろん。
 ですが米国は、あれで際どくとも辛うじてバランスを取れているとも言えるのです。
 今、この瞬間に全米で拳銃所持を違法としたら、どうなります? 刀狩りよろしく善良な市民から銃を取り上げたら、どうなります?
 強盗が確実に増えます。なにせ、押し入っても反撃されないのですから、悪人どもは嬉々として犯罪に走るでしょう。あたりまえのことです。
「拳銃所持が違法なのだから市民は誰も持っていない」というのは平和ボケ日本の感覚に過ぎません。そんな日本でさえ、反社だけでなく、反社から買う形で不心得者が闇銃を持っていたりするのですから。まして、U.S.A. で銃規制などしたら闇銃が一気に増えるだけです。
 判りません? 銃規制で回収できるのは善良な市民の銃だけです。犯罪者や犯罪予備軍は、まちがっても銃を手放しません。つまり、登録銃が消えて闇銃ばかりが残存するのです。これが全米の健全化に繋がると考えているのなら、件のご両親の頭の中は、お花畑です。

 はっきり言ってしまいますと。
 留学生さんが亡くなった最大の原因は、ご両親の無知にあります。
 当時は、まだネットがありませんでした。それでも、少し調べれば、U.S.A. でも西海岸、東海岸、中央部、南部それぞれで空気がかなり違うことは、最低限の知性があれば判ります。て言うか空気じゃなく、国として別物ですからね。
 そもそもの話。カリフォルニアだのテキサスだのを「州」と、そしてあの国を「合衆国」と邦訳した奴が悪い。「state」、つまり国なのです。州警察、州兵とか言いますけど、あれって日本で言えば警察庁自衛隊ですよ。断じて県警のレベルじゃない。
 よって、U.S.A. とは「アメリカ連邦」もしくは「アメリカ連合」と訳すのが意味的には正しいのです。F.B.I. は「federal」なので連邦捜査局と正確に邦訳されてるんですけどね。
 ともかく、U.S.A. は複数の国の集合体で、それぞれの「州」で法律すら違う。まして文化・思想が異なってて当然。
 そして、南部は超保守であり白人至上であり、有色人種にとって最悪な土地。なにせ黒人奴隷で潤った歴史を持ちますからね。
 このあたり、ちょっと調べたら容易に判るはずなのです。
 映画『イージー・ライダー』を知らんのか? KKKを知らんのか? かつて、リンカーン大統領が、どんだけ苦労したと思ってんだ?
 いやいや、普通に考えれば日本人が留学するなら、リベラルの多い西海岸か、あるいは学識派の多い東海岸が無難でしょ(ちなみに、ニューヨークは昔から全米でも珍しく、銃規制の厳しい土地です)。
 なのに、可愛い息子さんをなぜよりにもよってルイジアナに留学させた? あそこ、鉄板すぎる南部だぞ!
 息子さんご本人は、ただただ「アメリカ行きたい」だけだったでしょう。お若いし、それは仕方ない。
 だからこそ、親御さんが冷静に行き先を吟味する義務があったのです。保護者として。
 それを充分にしないまま、下調べもいい加減なままルイジアナを選んだ。
 なのに事件の責任を U.S.A. の社会に求めるなど、言いがかりのレベルと言ってもいい。
 うん。暴言とは思っていませんから。



 銃マニアってほどではない、トイガンいじってニヤニヤする程度の、ただの銃フリークな私ですけどね。
 日本社会に実銃は不要と思っています。少なくとも、社会がバランス取れているうちは、下手にルールを変えないほうがいい。
 そして、日本は銃規制によって治安を維持してきたという事実もありますし。
 なので、現状変更を望んではいません。

 ただ、まあ。
 最近の治安の悪化を鑑みるに。
 自宅に護身用の散弾銃を置くくらいは、許可を取りやすくしてほしいかなあ。正当防衛も成立しやすくしてほしいかなあ。
 とか、不安からそう思いつつある今日この頃ですよ。
 だってさ。
 自宅に、バールとか持った輩が大勢押し入ってきたら。警察来るまで丸腰で持ちこたえる自信なんてないですし、そもそも110番できるかどうかすら怪しいです。頭のいかれた連中相手に、金属バットやアイアン5番とかで防衛・撃退なんて無理ですよ。リーチのある刺叉や槍は、屋内ではむしろ不利。日本刀も、きちんとした鍛錬がないと上手く使えません。
 距離を取って攻撃できる銃器は、護身用として極めて優秀なのです。
 もちろん、銃は強盗側にとっても便利な武器ではありますが。そこは日本。銃器の携行をどしどし捕まえればいいだけです。今の日本は、-ドライバー一本をカバンに入れて歩いてるだけで、-ドライバー一本積んで車を走らせてるだけで捕まるのですからね。怪しい輩が猟銃とか持ってたら、「射撃場から帰る途中」と言い訳しても遠慮なく捕まえられます。よね?