朔 (旧暦 葉月朔日、八朔、穂掛け)

 被害者は最初の事件のみ。他はパトカーに穴が空いただけで、近辺住民に怪我は無し。
 そして犯人が自殺。

 警察は事件解決と考えているんでしょうね。
 二次被害が出なかったことを、自分たちの手柄とぐらいに思っているんでしょうね。

 しかし。
 端から見ていて、今回の事件は警察の不手際・不始末がすべてだったとしか考えられませんね。

 そもそも犯人はドラッグで有罪が確定、収監直前だったと聞きます。
 ヤクで頭のいかれている可能性すらある者が自由に出歩いていたというのにも、びっくりですし。けっきょくは銃犯罪を犯したことで、その筋との繋がりも垣間見えてきました。これらをどうして想定し対応できなかったのか。怠慢と批判されても、警察に反論できる余地はないと思いますよ。

 そして、二次被害が出なかったことについては。
 これは断じて警察の手柄ではありません。
 単に、犯人が無関係の者を巻き添えにしない方針を取っていたからにすぎません。最後に立てこもった場所でも、犯人は無関係のご老人を避難させるよう、警察に求めたそうではありませんか。つまり人質とか取る気ゼロだった。
 別に犯人を弁護する気など皆目ありませんが、今回の件で二次被害が出なかったのは、犯人自身のおかげではあるのですよ。逃走中に店とか通行人とか襲わないか、ニュースや記事を見ていて、それを心配してましたからね私は。
 で、警察はというと、逃走中の犯人を見つけながら、パトカーに銃撃されただけで見失うという体たらくです。銃と実弾を持った犯人を野放しにしたことは、近辺住民のかたがたからすれば「冗談じゃない! 警察は何やってんの!?」という怒りが出てあたりまえ。もしも私の近所だったら、やっぱり怖いし、無能な警察に対して怒髪だと思いますよ。


 日本は世界でも特にガン・コントロールの厳しい国です。一般国民が実銃を合法所持する道は険しいですし、とりわけ携帯の容易な拳銃を合法的に所持できる方法は皆無と言っていいほどです。
 ちなみに合法所持の拳銃であっても、警察や麻薬捜査など執行機関の業務以外での携行は絶対に無理。ついでに言うと、「所持」と言っても拳銃の場合は自宅保管ではなく、お上の認めた施設での厳重管理が義務づけられます。だからね、刑事が家に持って帰って眺めるとか、できないのだよ。例えば五輪選手などでも同様。公式に認められた練習場や競技場でしか愛銃を手にできないシステム。

 このように法を遵守する善意の一般国民は銃器に触れる機会がほぼありません。
 なのに、そこそこのお金と、あっち方面とのコネのある人間は闇銃を持っている(今回の犯人は逃走時に二丁も持っていたと言うではありませんか!)。
 ならば警察は、もっとしっかり銃犯罪に対応してもらわないと、丸腰の我々一般国民は本当に困ります。北米などと違い、銃犯罪に対して自己防衛の方法がありませんから(合法所持の猟銃が自宅にあっても、それで押し込み強盗を撃ったら、たぶん撃ったほうが捕まって厳しく処罰される。銃器による正当防衛なんてゼロではなかろうが、まず成立しない。それが日本という国)。

 日本の警察は、もっとプロを育成してほしいと思います。
 さすがに立てこもり事件のたびに SAT を呼ぶわけにもいかないでしょうから、警官全体の銃犯罪に対する対応能力の底上げですね。せめて、北米の各警察で実施されている程度の実戦訓練は行ってほしい。要するに、職務質問しようとする相手がいきなり撃ってくるかもしれない、とかいった想定での訓練ね。
 北米のインストラクターとか呼んだらいいと思うんですけどね。お役所的プライドが邪魔して、できないのかな。

 丸腰の一般国民を守るべき日本の警官が素人揃い。
 一方、個人個人で武装している一般市民を守る北米の警官は、それなりの訓練を積んでいる。
 逆じゃないかとすら思いますよ、必要な組み合わせって。
 

 核兵器に似てるところはあるんですよね、北米の銃器事情って。なにせ、市民の頭数よりも銃器の数が上回ると言われるお国ですから。
 一般家庭や店舗にも防衛用に銃器が備えられている可能性がある。だから犯罪者側にも返り討ちに遭うリスクがある。これが、ある程度の犯罪抑止力となっている事実は否定できないでしょう。
 そんな状況で、日本みたいなガン・コントロールをしようものなら、悪党は武装し善良なる市民は無防備という構図になります。つまりは某世紀末拳法劇画みたく悪人どものやりたい放題。こんなの我々弱者としては冗談じゃありませんね。これもあって、北米では容易に銃規制ができないのですよ。
 日本も、かつては一般国民が普通に拳銃を所持できました。それが銃刀法によって、すべての一般国民から拳銃を取り上げることに成功したのは、そもそもお金持ちなどなど少数派しか拳銃を持っていなかったからですよ。庶民にまで行き渡っていなかったからですよ。だからこそ社会から拳銃を排除できた。現在の日本には、かなりの数の闇銃があるとされていますが、約一億三千万の人口に比べたら比率的には相当に少ないはずです。北米とでは比較にもならない。
 もう二十年以上もしつこく北米に銃規制を求め続けている某日本人夫妻は、もっともっと勉強すべきです(遺族感情には同情できるものの、お国柄の違いを理解していない時点で失礼ながら痛すぎる)。彼らの主張は、要はテロ国家や独裁国家には何も言わず、法治国家にだけ核廃絶を訴えているようなものです。廃絶した途端、テロ国家や独裁国家にやられるって危険性が想像できていない。「自分が率先してやめたら、向こうもやめてくれるだろう」というのは性善説を根拠にしており、すべての場合に通用する理屈ではないですし、もともとが邪な連中にとっては好機到来となるだけです。つまり、性悪説をまったく考慮していない脳天気な考えかたなのですよ。これを感情の先走った愚行と解釈して、どこかまちがってますかね?
 無知からくる内政干渉は慎むべきです。逆に、北米から「日本も拳銃を自由販売化しよう」とか言われたら腹立つでしょ? 少なくとも私は腹立ちますね。日本の事情も判らずに勝手をほざくなと怒鳴ります、たぶん。

 あれれ?
 途中から論点がズレてるな。(;^_^A