八專終わり、三隣亡 (旧暦 睦月廿日、旧廿日正月)

ブラタモリ』終了の報を受け、巷には「誰か後任に据えて続ければいい」という声が出てますね。
 例えば、ナレーターを務めてきた剛くんでいいんじゃね? なんて意見も。

 判ってないなあ。
 タモさんだからこその『ブラタモ』なんですよ。
 剛くんがブラブラ歩いても、それは単に暗記した台本を歩きながらそらんずるだけ。そんなの民放でワラワラある街歩き番組と変わりありません。
 もしも後任を迎えるなら、タモさん並みの高低差マニア、縁フェチ、暗渠好き、鉱物ヲタ、変態扇状地でないといけません。
 その最重要ポイントを、後任での番組継続希望を訴える人々は失念している。

 かつて三本和彦さんが『新車情報』を引退されて。
 後任の自動車評論家氏が(いちおう)同じコンセプトで開始した『クルマのツボ』が、観るも無残なダメ番組で終わったのは。
 その後任氏の姿勢に、「自動車をもっともっと良くしていこう。メーカーには身勝手な車を作らせないようにしよう」という心意気が皆無とは言わないものの弱すぎたからに他なりません。ただ出てくる新車を評価するだけのテンプレ流れ作業。そんな人に三本さんの後釜が勤まるはずないのです。

『ブラタモ』も同じですよ。
 例えタモさんレベルの知識人を後任に据えたとしても、「知ってるけど、まあ好きか嫌いかで言えば好きかないちおう」なんて人では成立しないんです。坂道や地層を目の前に何時間でも熱く語れる人でないとダメなんです。

 どこぞの大学に勤める狂人レベルの学者さんとかのほうが適任ではあると思いますが。それはそれで知名度の問題で難しいでしょうね。
 つまるところ、タモさんが辞めるなら『ブラタモ』は終わる。ということに尽きます。仕方ないですよ。
ブラタモリ』は唯一無二なんです。

 別ジャンルのマニアックな著名人を連れてきて、その趣味全開な濃い番組を新たに作ればいいだけのことです。