天しゃ、甲子 (旧暦 神無月三日)

 これは、さすがにないだろ。

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2011/04/news127.html

 書いてる人はドヤ顔なんだろうけど、的外れもいいトコ。
 そもそも異世界の、しかも神様御用達の湯屋に人間の税制を持ち込む時点で笑止。

 馬鹿記事に少しだけつきあって、少しだけ真面目に思考してみますとね。
 そもそも、あの世界観からすると日本は日本でも現代ではなく、新しくとも十九世紀の文化レベルに近いと思われる。とすれば、税制を論ずるにしても、その時代に準じて考えるべきで。
 となると、千やリンたちは「従業員」というよりは「奉公人」であり、なおかつ最底辺なので「丁稚」と呼ぶのが相応しい。で、丁稚奉公に納税義務があるか? 答えはノー。
 あの時代の日本では藩にもよるが、基本的には表だな(道に面した建物)に対して、間口の広さに比例して課税額が決まる。広く立派な建物を構えていれば、それだけ税金が高くつく、ということ。なので大金持ちでない庶民は、京町家が判りやすいが、税金を安く済ませるため間口を狭くして、その分、奥行きを長~く取って敷地面積を稼いでいる。「鰻の寝床」や「坪庭」は文化ではなく、切実な節税対策なのだよ。
 で、表店に課税され、それは当たり前のこと奉公人の持ち家ではないわけで、つまり奉公人は課税対象から外れている。同様に、道に面していない裏だな(裏長屋)の住人にも課税の話は来ない。課税されるのは大家。他にも下宿人とかが課税対象から外れると思われる。
 千やリンが饅頭を貰おうと、お給金を頂こうと、そこから税引きされることはない(湯婆婆が芸能事務所よろしく不正に天引きしている可能性は否定できないけどね)。リンが将来、夢叶って油屋を辞して街に出て居を構えたら課税されるかな。

 ジブリ作品をネタに税金の話するなら『豚』か『魔女宅』を持ってくればいい。豚野郎なんて「俺は豚だ。そんなのは人間から取ってくれ」とか納税拒否してそうだよ(笑)。
 異世界や人外をネタに税金制度を論ずるには、水木しげるさん級のセンスがないと無理。凡人がやっても、みっともないだけですよ。